• 2023年1月31日
  • 2023年1月31日

新人看護師が辞めたいと思うきっかけは? 辞めるかどうかの判断基準も

 

この記事では、新人看護師が仕事を辞めたいと思うきっかけや、辞めたいと思ったときの対処法を詳しく解説します。辞めるかどうかの判断基準や転職のコツにも触れるため、現職にお悩みの看護師さんは、ぜひお役立てください。

辞めたいと思う新人看護師は多い?

看護師の仕事はやりがいが多い一方で、体力的・精神的にハードな面も少なくありません。そのため、仕事に慣れていない新人看護師さんをはじめとして、中堅・ベテランの看護師さんでも「看護師の仕事を辞めたい」と感じることは珍しくないといわれています。

厚生労働省が行った看護師を対象とする調査によると、新人看護師を含む看護師全体の就業継続予定は以下の通りです。

(8)就業継続の予定とその理由
 就業継続の予定については、「現在の施設で看護職員として働き続けたい」(64.0%)が最も多く、次いで「他施設で看護職員として働きたい」(17.2%)となっていた。「看護職員以外として働きたい」は 3.4%、「仕事はしない」は 1.4%であった。(図6)

就業継続の予定を年齢別にみると、「他施設で看護職員として働きたい」の回答は年齢が高くなるほど減少し、「現在の施設で看護職員として働き続けたい」が増加していた。(図7) 

この調査では、約36%の現役看護師が現在の職場を辞めたいと回答しています。退職後に希望するキャリアは人によって異なりますが、「現在の職場を辞めたい」と考える看護師さんは珍しくないといえるでしょう。

また、新卒・既卒を問わず、実際に看護師の仕事を辞める方も多くいます。日本看護協会によると、2020年度における正規雇用看護師の離職率は以下の通りです。

看護師の離職率

正規雇用看護職員 新卒採用者 既卒採用者
10.6% 8.2% 14.9%
(引用:日本看護協会「2021 年 病院看護・外来看護実態調査 報告書」

このように、入職から1年以内に退職する新卒採用者(新人看護師)の方もいます。なお、実際に辞める方もいますが、対処法や解決策を考えられる場合もあるため、まずは辞めたいと思ったきっかけを整理し、自身の状況を冷静に考えてみましょう。

新人看護師が辞めたいと思うきっかけ

新人看護師が辞めたいと思うきっかけ

新人看護師さんをはじめとして、看護師さんのなかには経歴の長さを問わず、「現在の職場を辞めたい」と感じている方も多くいます。現在の職場を辞めたいと考えた看護師さんが、そのような考えに至った理由・きっかけにはどのようなものがあるでしょうか。

(8)就業継続の予定とその理由

(中略)

 現在の施設で看護職員として働き続けたいと回答した者の理由は、「通勤が便利だから」(51.9%)が最も多く、次いで「人間関係がよいから」(39.2%)、「勤務時間が希望にあっているから」(26.2%)、「休暇がとりやすいから」(21.2%)となっていた。(図8)

一方、他施設で看護職員として働き続けたいと回答した者の理由は、「他施設への興味」(34.1%)、「給与に不満があるため」(31.1%)、「休暇がとれない・とりづらいため」(24.5%)であった。

看護職員以外として働きたいと回答した者の理由は、「他分野(看護以外)への興味」45.9%、「責任の重さ・医療事故への不安がある」37.3%であった。(図9)

仕事はしないと回答した者の理由は、「休暇がとれない・とりづらいため」が 24.3%、「責任の重さ・医療事故への不安があるため」20.6%であった。

厚生労働省が行った看護師全体を対象とする調査によると、ほかの職場で看護師として働きたい方の多くは、ほかの施設への興味や、現在の職場の待遇を理由に挙げています。一方で、看護師の仕事そのものを辞めたいと考えている人のなかには、責任の重さや医療事故への不安など、精神面での負担を挙げる方も多く見られました。

新人看護師さんが仕事を辞めたいと思う理由は人によってさまざまですが、代表的なものとして以下の3つが挙げられます。

  • 仕事内容・やりがい
    「仕事内容が思った以上にハードだった」「先輩看護師と看護方針が異なり、自分が思い描いていた理想の看護ができない」というケースも少なくありません。入職前に抱いていたイメージと現実の仕事内容・やりがいに大きな乖離を感じて「辞めたい」と考える方も多数います。
  • 人間関係
    看護師は患者さんやご家族、同僚の看護師、医師やほかの医療職など、人と関わることが多い職業です。現場での人間関係の構築がうまくいかず、ほかの職場・職業への転職を考える方も珍しくありません。
  • 給与条件
    高収入といわれることも多い看護師ですが、業務内容の割に給料が安いと感じる方も多くいます。職場によっては高く感じない給料で大変な激務に取り組む必要があるため、モチベーションが上がらず退職という道を選ぶ方も少なくありません。

新人看護師が辞めたいと思ったときの対処法

新人看護師が辞めたいと思ったときの対処法

社会人として働くうえで「仕事を辞めたい」と感じることは誰にでもあることです。リスクを避けるためにも、辞めたいと思ったときには感情的に行動せず、一度冷静になって自分の状況を整理してみましょう。

ここでは、新人看護師さんが「看護師の仕事を辞めたい」と思ったときに自分でできる対処法・改善策を解説します。

先輩など周囲の人に相談する

「看護師の仕事を辞めたい」と感じたときには、まずはプリセプターをはじめとする同じ職場の先輩や同期の看護師など、信頼できる周囲の人に相談しましょう。周囲の人に相談することで、悩みを解決できるようなアドバイスをもらえる場合があります。

また、話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になり、思考が整理されるため、冷静に行動・決断できるようになります。最初は「転職」「退職」といった具体的な話は避けながら、周囲の人に悩みを相談してみましょう。

有休を取る

仕事を辞めたいと感じたときにすぐ取り組める対処法として、仕事を休んで休息を取ることが挙げられます。有給休暇が残っている場合は活用し、一度仕事から離れる時間を作りましょう。

十分な休息を取れば気持ちがリセットでき、仕事への取り組み方や悩みへの対処法、異動や転職・退職といった今後のことについて冷静に考えられるようになります。「趣味に没頭する」「旅行に行く」「十分な睡眠を取る」など自分がリフレッシュできる休日を過ごし、心の余裕を取り戻しましょう。

志望動機を思い出す

看護師の仕事に辛さを感じたときには、一度初心に戻ってみるのも1つの方法です。「人の役に立てる仕事がしたい」「人の心に寄り添える仕事がしたい」など、看護師という職業を志望した理由を思い返してみましょう。

看護師を目指すことになったきっかけや志望動機を思い返すことで、自分が目指したかった看護師像や理想の看護方針がより明確になることが期待できます。仕事へのやる気やモチベーションも取り戻せるでしょう。

新人看護師が辞めるかどうかの判断基準は?

新人看護師が辞めるかどうかの判断基準は?

新人看護師さんのなかには、入職から1年以内に「辞めたい」と感じる方や、実際に退職する方も少なくありません。しかし、「本当にこの理由で辞めてもよいのか」「転職・退職して後悔しないか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

仕事を辞めたほうがよいかどうかの判断基準の1つとして、「自分の努力や工夫で解決するかどうか」が挙げられます。例えば、処置のミスやインシデントが多い方の場合、「ミスを防ぐ工夫や対策を講じる」「知識やスキルのレベルアップを図る」などが考えられるでしょう。

一方で、自分の努力や成長だけでは解決が難しい問題がある場合は、離職や転職を検討することも選択肢の1つです。以下のような状況の場合は、無理をせずに転職・退職を考えたほうがよいでしょう。

◆新人看護師が離職・転職したほうがよいケース

  • メンタルヘルスや体調など、精神的・身体的な異常が出始めている
  • 夜勤や時間外労働が多いなど、職場環境が悪い
  • 職場でのハラスメント(パワハラ・セクハラなど)や、いじめで悩んでいる

新人・若手看護師の転職のコツ

新人・若手看護師の転職のコツ

勤務年数の短い新人看護師・若手看護師が転職を成功させるためには、ポイントを押さえた転職活動をすることが大切です。ここでは、新人看護師・若手看護師における転職のコツのうち、実践しやすいものを紹介します。

◆新人看護師・若手看護師が押さえておきたい転職のコツ

  • 転職理由を明確にする
    現状をどのように変えたいか、転職理由や希望条件を明確にしましょう。転職活動時の軸にもなります。
  • キャリアプランを明確にする
    今後のキャリアプランを明確化し、現段階での経験不足を補っておきましょう。
  • 看護師専門の転職エージェントに相談する
    看護業界に精通している転職エージェントに相談し、サポートを受けてみることも1つの方法です。まずは転職サイト・求人サイトに登録し、情報を集めてみましょう。

まとめ

新人看護師さんが辞めたいと思うきっかけは、仕事内容や人間関係、給与条件などが関係していることが多いといわれています。辞めたいと思ったときは、感情に任せて退職してしまうことは避け、周囲の人に相談する、有休を取る、志望動機を思い出すなどして一旦冷静になりましょう。そのうえで、自分の希望する働き方やキャリアプランとの乖離が大きいと感じる場合は転職を視野に入れることもおすすめです。

マイナビ看護師では、業界に関する深い知識を持つキャリアアドバイザーが転職をサポートいたします。新人看護師さんとして経験が浅く今後のキャリアに悩んでいる、転職するかどうか悩んでいるという段階でもお気軽にご相談ください。

※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています

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