• 2022年1月6日
  • 2022年6月9日

派遣看護師とは? 給料事情やメリット・デメリットを解説

 

「正社員以外の働き方を知りたい」「派遣の働き方や待遇が気になる」という看護師の方もいるのではないでしょうか。看護師の雇用形態には正社員や契約社員、パート・アルバイト、派遣などがあり、働き方や給与形態がそれぞれ異なります。また、派遣といっても単発や短期、長期、紹介予定派遣など種類はさまざまです。

この記事では、派遣看護師の働き方や勤務先を紹介。看護師が派遣として働くメリットやデメリットも解説しています。派遣として働くことを考えている看護師の方は、ぜひご一読ください。

看護師の派遣とは?

派遣会社の派遣スタッフとして働く看護師のことを、「派遣看護師」といいます。
正社員や契約社員、パート・アルバイトの看護師の場合、雇用契約を結ぶのは勤め先である医療機関や施設です。一方、派遣看護師は派遣会社と雇用契約を結びます。そのため、給料の支払いや社会保険の管理などを行うのは、働いている医療機関ではなく雇用元の派遣会社です。

看護師派遣は禁止されている?

かつては、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)によって、看護師派遣は禁止されていました。しかし、法改正によって2006年から条件付きで解禁されています。

許可されている看護師派遣の条件は、以下のとおりです。

①医療機関以外で看護師業務を行う場合
②医療機関以外の社会福祉施設などで看護師業務を行う場合
③産休・育休に入っている看護師の代替労働力して働く場合
④3~6ヶ月後に直接雇用に切り替わる紹介予定派遣として働く場合

①の医療機関は、病院・クリニック・助産所・介護老人保健施設・患者の自宅(訪問看護サービス)が該当します。また、②の医療機関以外の施設は、有料老人ホームやデイサービス、特別養護老人ホーム、社会福祉施設、保育園などです。

なお、上記の③と④に該当する場合は、医療機関であっても、看護師派遣が可能です。さらに、2021年4月からは、へき地の医療機関への看護師派遣も許可されています。

参照元:
e-Gov法令検索 – 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
e-Gov法令検索 – 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令

看護師派遣の種類

看護師派遣には4種類あり、働き方や勤務期間がそれぞれ異なります。派遣看護師として働きたい方は、派遣の種類について把握しておきましょう。

単発派遣

単発派遣は、1日〜1週間程度の短期間だけ働く派遣のことです。

健康診断やワクチン接種、イベントナース、ツアーナースといった仕事が多い傾向にあります。また、一時的に看護師が必要となった医療機関や施設の臨時要員として、単発派遣で求人を募集していることもあります。

単発派遣は、空いた時間を有効活用したい方やダブルワークをしたい方におすすめの働き方です。

短期派遣

短期派遣は、2〜3か月の期間だけ働く派遣のことです。

病院やクリニックといった医療機関よりも、介護老人保健施設や老人ホームなどの社会福祉施設の求人が多い傾向にあります。

一定期間のみ働きたい方や次の転職先が見つかるまで働きたい方に、おすすめの働き方です。

長期派遣

長期派遣は、同じ勤め先で数ヶ月〜最長3年間にわたって働く派遣のことです。

社会福祉施設や介護施設の求人が比較的多いですが、産休や育休による代替要員としての求人もあります。

一定期間のみ安定して働きたい人や長期間同じ場所で働きたい人は、長期派遣がおすすめです。なお、6か月以上働く場合は、有給休暇も取得できます。

紹介予定派遣

紹介予定派遣は、直接雇用を前提に1日〜最長6ヶ月間働く派遣のことです。

直接雇用になるタイミングは双方の合意があってからですが、派遣期間満了の1ヶ月ほど前に切り替わるのが一般的です。

勤務先は、介護施設や訪問看護ステーションが多い傾向にあります。将来的に直接雇用を望む方や、職場選びを慎重に行いたい方におすすめの働き方です。

看護師のおもな派遣先と仕事内容職場と仕事内容

仕事をしている派遣看護師

派遣看護師は、医療機関や介護施設、健診センターなど、さまざまな場所で活躍しています。以下では、看護師のおもな派遣先と仕事内容を紹介しているので、自分に合った勤務先はどこかを考えてみてください。

医療機関(病院・クリニック)

病院・クリニックなどの医療機関は、派遣看護師の代表的な職場の一つです。紹介予定派遣のほか、産前産後休業・育児休業・介護休業中の看護師の代替要員として働きます。

仕事内容はバイタルチェックや診療のサポート、ナースコール対応のほか、ベッドメイクや備品整理といった雑務など多岐にわたります。基本的に直接雇用の看護師と行う仕事は変わりませんが、勤める医療機関によっては、在籍している看護師のサポートがメインの場合もあります。

介護施設

有料老人ホームやデイサービスといった介護施設も、派遣看護師の代表的な職場の一つです。単発派遣から紹介予定派遣まで、あらゆる派遣形態で働けます。

介護施設ではおもに、利用者のバイタルチェックや服薬・点滴管理、口腔ケアなどを行います。また、施設によっては介護職のサポートとして食事・入浴・着替え・排泄といった利用者の身の回りのお世話や介助などを行うこともあります。

保育施設

派遣看護師は保育園での勤務も可能です。求人は少ない傾向にあるものの、介護福祉施設と同様で単発派遣から紹介予定派遣まで、あらゆる派遣形態で働くことが可能です。

仕事内容は、おもに園児の健康管理が中心です。園児のけがの応急処置や手洗い・歯磨き指導などを日々行います。なかには、クラスに入って担任の保育補助も担うケースもあります。

企業

一般企業でも派遣看護師は働いています。

おもな仕事内容は、社員への健康診断の実施や健康に関する指導、メンタルヘルスケアなどです。コールセンターで、医療機器の使用方法の説明や指導業務、患者の電話対応などをすることもあります。また、保健師の資格を持っている人は産業保健師としての勤務も可能です。

健診・検診・献血センター

健診・検診・献血センターでも、派遣看護師は活躍しています。

健診・検診センターでは健康診断や人間ドック、がん検診などを実施しており、看護師は健診のほかに医師のサポートや消毒業務などを行います。健診・検診・献血センターは日勤のみの勤務なので、子育て中で夜勤が難しい方は働きやすいといえるでしょう。

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派遣看護師として働く5つのメリット

派遣看護師のメリット

派遣の働き方には、直接雇用とは異なるメリットがあります。以下では、派遣看護師として働くメリットを5つ紹介します。

1.時給が高い傾向にある

正規雇用の看護師が月給制であるのに対し、派遣看護師は時給制です。「時給制=安い」というイメージを持つ方もいますが、派遣看護師の時給は一般的に2,000円前後。同じ時給制のパート・アルバイトで働く看護師よりも、時給は高めです。

そのため、平均給料の水準が低い地域でも、派遣であれば比較的高い給料で働ける場合があります。

2.希望する期間・時間で働ける

働く期間や勤務時間など、希望する条件で働けるのが派遣のメリットです。「次の仕事が決まるまで働きたい」「家事や育児と両立させながら働きたい」など、一定期間や決まった時間だけ働きたい希望がある人にとって、働きやすい雇用形態といえます。

3.人間関係のしがらみが少ない

どのような職種・職場においても、人間関係のしがらみはつきものです。しかし、一定期間での勤務が前提となる派遣看護師は、人間関係のしがらみに巻き込まれることは少ないといえるでしょう。

また、たとえ職場内で人間関係のトラブルに巻き込まれたとしても、派遣元の担当者に相談したり契約更新しないといった選択をしたりすることで、職場を離れることが可能です。

4.サービス残業が少ない

派遣看護師がサービス残業をすることはほぼないでしょう。派遣看護師が残業をした場合、勤務記録をもとに派遣会社が勤務先に残業代を請求します。したがって、残業代が支払われないといった心配はありません。また、持ち帰りの仕事を任されることも基本的にないと考えて良いでしょう。

5.委員会や勉強会は免除されるケースがある

委員会活動や勉強会が勤務終了後に行われる場合、派遣看護師は参加を免除されることが多いです。また、責任が重い仕事も正社員の看護師が担うことが多く、派遣看護師が携わることはあまりありません。正社員の看護師と行う仕事内容は変わりませんが、体力的にも精神的にも負担は少なめといえるでしょう。

派遣看護師として働く4つのデメリット

派遣看護師のデメリット

派遣看護師として働くメリットがある一方で、デメリットもあります。派遣として働こうと考えている看護師の方は、デメリットも把握しておきましょう。

1.同じ職場で働き続けることができない

派遣看護師の場合、同じ職場で働き続けることができません。同じ職場で働き続けられる最長期間は、長期雇用の3年です。

職場の雰囲気や仕事内容、人間関係などが良かった場合、「このままずっとここで働いていたい」という気持ちが芽生えるケースもあります。しかし、派遣看護師は派遣期間終了とともにその職場から離れなければならないのです。

2.勤続年数・キャリアに応じた昇給が見込めない

正社員の看護師は勤続年数やキャリアに応じて昇給しますが、派遣看護師は初めに定められた時給もしくは日給で働き続けるのが一般的です。また、ボーナスも基本的にありません。

経験やスキルに応じて柔軟に時給や日給を設定されることも少ないため、ベテラン看護師の方ほど正社員の看護師との待遇差を痛感するでしょう。

3.入社・入職時の研修がないことが多い

正社員の看護師の場合、入職時に基本的な働き方やスキルを学ぶ研修が行われますが、即戦力として雇用される派遣看護師は研修がないことがほとんどです。研修があったとしても、設備や業務の流れなどの簡単な説明だけで、マンツーマンでのサポートは基本的にないと考えたほうが良いでしょう。

4.ローンの審査が通りにくい

派遣雇用の場合、カードローンや住宅ローンといった各種金融サービスのローン審査が通りにくい場合があります。派遣雇用は正規雇用に比べて「給料が安定していない」というイメージがあり、社会的信用度がそれほど高くないためです。

ローンを組む予定がある人は、正社員として働いているうちに各種金融サービスを利用しておいたほうが良いでしょう。

派遣看護師のデメリットは解消されつつある

派遣看護師に向いている人の特徴

働き方改革の一つとして2020年4月に施行された「同一労働同一賃金制度」と、同時期に改正された「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)」によって、前述した派遣看護師のデメリットは解消されつつあります。

同一労働同一賃金とは、同一企業内において正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について不合理な待遇差の解消をめざす制度です。

派遣雇用の場合、以前までは通勤手当や家族手当、住宅手当が支給されないのが一般的でした。しかし、同一労働同一賃金制度には、これらの手当の支給は努力義務と明記されています。また、正社員と同様に福利厚生が受けられるようになり、職務に必要な技能・知識を習得するための教育訓練も実施しなければならないと定められました。デメリットが解消されることで、今後はさらに派遣看護師として働く人が増えるでしょう。

参照元:
厚生労働省 – 労働者派遣法が改正されました
厚生労働省 – 同一労働同一賃金ガイドライン
厚生労働省 – 平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>

まとめ

看護師は、派遣社員として働くことが可能です。
派遣看護師は同じ時給制のパート・アルバイトの看護師よりも比較的時給が高く、サービス残業が少ないのがメリットです。勤務する期間も決まっているため、一定期間だけ働きたい方やダブルワークを希望している人には、働きやすい雇用形態といえるでしょう。ただし、勤める職場によって働き方や仕事内容は異なります。そのため、自分に適した勤務先を選ぶことが大切です。

自分に合った働き方ができる職場を探している方は、マイナビ看護師をご利用ください。
マイナビ看護師では、一人ひとりの希望や適性に合った求人をご紹介しています。今後のキャリアを含めたご提案も行っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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