• 2021年11月15日
  • 2021年11月17日

厚労省がオンライン初診の取扱いで具体案を提示~オンライン診療の指針見直し検討会

 
11月10日に行われた「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、厚労省が初診からのオンライン診療の取扱いについて具体案を提示しました。かかりつけ医、またはそれに準じる一定の情報を持つ医師を受診する場合と、そうでない場合で対応を区別する形で整理。後者については、オンラインによる「診療前相談」の実施を求め、その際に医学的情報が取得でき、医師・患者間で合意に至った場合に限って、初診からのオンライン診療を認めるとしました。

厚生労働省は11月10日の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に、初診からのオンライン診療の取扱いについて具体案を提示した。かかりつけの医師または、それに準じる一定の情報を持つ医師を受診する場合と、そうでない場合で対応を区別して整理。後者については、オンラインによる「診療前相談」の実施を求め、その際に医学的情報が取得でき、医師・患者間で合意に至った場合に限り、初診からのオンライン診療を認めるとした。

厚労省の案では、受診の申込みから診療に至るまでに、▶初診・再診のいずれか(再診はオンライン診療可)、▶初診の場合は症状がオンライン診療に適するかどうか(適しない場合は対面診療を実施)、▶オンライン診療に適した症状の場合は医学的情報が十分にあるか―の3つの確認工程を設定。これらの工程を経て、初診からのオンライン診療が可能になるのは、①かかりつけの医師を受診する場合、②かかりつけの医師に準ずる一定の情報を持つ医師を受診する場合、③前者のいずれにも該当しないが診療前相談で医学的情報が取得でき、医師と患者が合意した場合―と整理した。

このうち②で求める診療に必要な医学的情報については、患者の症状や背景は多様であり、一律に定めることは困難と判断。オンライン診療の実施前に患者が自身の持つ医学的情報を医師に提供し、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合に、オンライン診療を実施できることとする。

診療前相談で医学的情報を取得でき、合意に達した場合は実施を容認

③については、医師と患者がオンライン上でリアルタイムのやりとりを行う診療前相談を通じて、患者の症状や医学的情報を確認。適切な情報が把握でき、医師・患者双方がオンラインでの診療が可能と判断し、相互に合意した場合にオンライン診療を行う。オンライン診療に至った場合は、相談時に患者から得た情報を診療録に記録。診療に至らなかった場合も、診療録に準じて保存しておくことが望ましいとした。医療機関には、診療前相談の結果、オンライン診療を行えない可能性があることや、事前相談の費用等について、自院へのホームページに掲載するなど、患者への周知を図ることも求める。

症状が初診からのオンライン診療に適しているかどうかの判断や、処方の可否の判断は、日本医学会連合が作成した診療ガイドラインを参考に対応する。処方については、新型コロナウイルス感染症対応の時限的・特例的措置と同様、▶麻薬・向精神薬の処方は不可、▶基礎疾患等の情報が把握できない患者へのハイリスク薬(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤など)の処方は不可、▶基礎疾患等の情報が把握できない患者の処方日数は7日に制限―とする考えを示した。

検討会では、診療前相談の内容の記録について、オンライン診療に至るまでのやりとりや、実施を判断した根拠についても診療録への記載を求めるべきだとする意見などが出たが、全体的な方向性には概ね賛同が得られた。このため、次回は今回の議論を反映させた最終案が提示される見通し。


出典:Web医事新報