エーザイは7月7日、アルツハイマー病(AD)治療薬レカネマブ(米国ブランド名:レケンビ)について、米国FDA(米国食品医薬品局)より「フル承認」を取得したと発表した。レカネマブは、検証試験による臨床的有用性の確認を条件に、今年1月にFDAより「迅速承認」を取得していた。フル承認の取得は、ADの進行を抑制する世界初のAD疾患修飾薬として米国で正式に認められたことを意味する。9月までに承認の可否が判断されるとみられている日本での審査にも影響を与えるのは確実だ。
レカネマブのフル承認は、プラセボと比較して臨床症状の悪化を27%抑制することなどを示した大規模グローバル臨床第3相検証試験(Clarity AD)のデータに基づくもの。エーザイによると、フル承認を受け、米国のCMSはレカネマブ(レケンビ)をメディケアの保険適用の対象に選定した。
■エーザイ・内藤CEO「約40年にわたる研究の成果が認められた」
今年3月の記者会見で米国でのフル承認に「圧倒的な自信を持っている」と強気の姿勢を示していたエーザイの内藤晴夫CEOは7日、「約40年にわたるエーザイのAD研究の成果が認められ、米国の当事者に(レケンビを)お届けできることは、研究開発を中心とするhhc(human health care)企業として誇りとするところ」とのコメントを発表し、レケンビへの広範でシンプルなアクセス環境の構築などに努める考えを示した。
レカネマブは、アミロイドβの脳内異常蓄積がADの原因の1つとする「アミロイドβ仮説」に沿って、エーザイが米バイオジェンと共同開発した抗アミロイドβプロトフィブリル抗体。米国での適応症はADで、治療は「ADによる軽度認知障害または軽度認知症の患者において開始すること」とされている。用法・用量は「治療開始前にアミロイドβ病理が確認された患者に対して10㎎/kgを推奨用量として2週間に1回点滴静注」。
出典:web医事新報