悩めるナース
常勤以外に、トラベルナースという働き方があると聞いて、気になっていました。仕事内容や魅力について、教えてください！

トラベルナースマスター
なんといっても、「新しい場所で、普段とは違った生活を体験できること」が私にとっての魅力ですね。もともとが好奇心旺盛で、同じ場所に長くいられないタイプだし、人間関係の面でも常に新しい人と出会いたいと思っています。そういう意味では、トラベルナース先で、他の地域から来たトラベルナースと仲良くなれるのも、とっても楽しみ！

悩めるナース
確かに、社会人になって暫く経つと、領域外の看護師と出会って、刺激を受ける機会が減っています。

トラベルナースマスター
ナースはそれでなくても忙しいですからね（笑）また、もし都市部を離れるのが嫌でなければ、離島や僻地での看護を経験するのもおすすめです。地元の人との距離が近い分、すぐに仲良くなるし、限られた設備で患者さんをケアするケースも少なくないので、技術的にも精神的にも成長できるはず。私自身、離島での看護を経験して、仕事の幅が広がったように感じています。

キャリアアドバイザー
仕事の幅が広がるという話で思い出したのですが、トラベルナースを経験したことで、以前から興味があった高齢者看護のフィールドに転職を決意された方もいます。その方は、もともとは総合病院に勤務していたのですが、「このまま自分の希望と違う職場で働き続けていいのだろうか」と、日々モヤモヤしていたそうです。そんな時、トラベルナースの存在を知り、介護老人保健施設でのトラベルナースを経験。短期間ではあるものの高齢者の看護に携わったことで、「自分のやりたいことをやろう」という意志が固まったとか。その後は、地元に戻って、介護老人保健施設に転職しました。

悩めるナース
その話、とても気になります。実は私も、就職して３年目となり「このままでいいのかな」と、ずっとモヤモヤしているんです。去年から救命救急センターに配属になったのですが、いつも緊張状態が続いているせいか、疲れがなかなか取れなくて……。

トラベルナースマスター
それは大変ですね。お休みの日はリフレッシュできていますか？

悩めるナース
ここ最近、休日は寝て過ごすことが多く、学生時代の友人に誘われても、断ってしまいがちです。20代のうちに結婚したいのですが、出会いもないし……。まぁ、家と職場を往復する毎日だから、当たり前なのですが。お話を伺っていて、ますますトラベルナースに興味がわいてきたのですが、さきほど例に挙がった高齢者看護への転職をされた方のように、自分の専門領域以外で働くことも可能なのですか？

キャリアアドバイザー
基本的には、各分野の即戦力としての役割を期待されているのですが、病院側の理解があれば、未経験でも専門領域以外のナースとして働くことができます。先ほどのケースの方は、急性期病院のみでの経験でしたが、そこで高齢の患者さんの看護にあたっていたことや、退院支援にも携わっていたことから、未経験の老人保健施設での受け入れが可能でした。もちろん、高い時給をいただいている分、未経験でも甘えは許されませんが、これまでの経験をベースとして別の領域に挑戦してみるチャンスであることは確かです。

トラベルナースマスター
環境を変えてみたり、別の領域にチャレンジしてみたりすることは、いいことだと思いますよ。だって、職場が合わないせいで、ナースという職業自体を嫌になってしまうのはもったいないですから。もし、プライベートの時間が取れないことが一番の悩みなのであれば、「ワークライフバランスが取りやすい領域」という軸で、職場を探してみるのも一案では？

悩めるナース
なるほど……。専門領域を変えるために、トラベルナースを利用するという発想はありませんでした。

トラベルナースマスター
モヤモヤ期にトラベルナースを体験するメリットはほかにもあるんですよ。

悩めるナース
えっ、ぜひ聞きたいです！

トラベルナースマスター
他の領域で経験を積んできたトラベルナースと出会えることが、メリットだと思います。多種多様な考え方、スキルに触れることで、自分を見つめ直すことができるし、将来的にどういうスタイルで働きたいかを考えるきっかけになります。また、環境を変えることで、自分の価値観が見えてくるのもメリット。たとえば、田舎暮らしに憧れて離島に来た人が、半年間暮らしてみて、「やっぱり自分には都会のほうがあっているな」と気づくこともあるかもしれません。まずは、自分の直感に任せて動いてみる。そうすると、視野が広がって、迷いが晴れるってこともあると思いますよ。基本的にトラベルナースは半年間から1年間の勤務なので、人間関係で嫌なことがあったとしても、「数カ月限定だから」と思えば、大抵のことは我慢できますしね。友人の中には、トラベルナース先で、男性のトラベルナースと出会って結婚した人もいますよ。

悩めるナース
え！！仕事だけではなく、結婚につながる出会いがあるなんて！どんどんトラベルナースに惹かれてきました（笑）ところで、みなさんはどのように滞在先を選ばれるんですか？私の場合、特に気になる勤務先がなくて……。

キャリアアドバイザー
人それぞれですが、趣味を起点に選ぶとモチベーションが上がるようです。たとえば、ダイビング好きの方は沖縄、スノーボード好きの方は北海道といった具合。温泉好きの方で、温泉街の近くの病院を探されていた方もいました。新しい人間関係が始まる分、趣味を満喫できる場所のほうが、ストレス解消になったり、同じ趣味の仲間ができたりして、いいそうですよ。

悩めるナース
趣味を起点に選ぶと、ストレス解消にもつながる、と。なるほど！ほかに、トラベルナースの魅力があれば教えてもらえますか？

トラベルナースマスター
最大の魅力として挙げられるのは、短期間でガッツリ稼げること。あと、私の場合は常勤で働いていた時のように、リーダー業務などをしなくていいのが魅力でした。職人気質なのか、目の前の患者さんのケアに集中したいタイプなんですよね。

悩めるナース
知れば知るほど魅力的な働き方です！とはいえ、先ほどからいいお話ばかり伺ってきたので、デメリットについても教えてください。やるからには、メリット、デメリット両方を知っておきたいので！

トラベルナースマスター
よく言われるのが、勤務先の病院を見学できないことでしょうか。事前に様子がわからないせいで、「ホームページの写真と全然違って、建物が古すぎる！」なんて嘆いていた友人もいました。だからこそ、ぜひやっておいてほしいのが、同じ病院にどのぐらいトラベルナースがいるかを事前に確認すること。慣れないうちは、トラベルナースがいる病院のほうが安心でしょう。受け入れ経験がない病院だと、トラベルナースの対応に慣れておらず、同僚の常勤ナースの対応の冷たさに苦労することもあるんですよね。

キャリアアドバイザー
さすがマスター、視点が鋭いですね。こちらは離島へ行った方の苦労話なのですが、限られた設備の中で、最善のケアを求められるのが大変だったそうです。その方は、独学で何とか知識不足を補ったと話していましたが、簡単なことではないですよね。とはいえ、明るい性格の方だったので、「美味しいものを食べて、自然に触れていると、疲れはすぐに吹っ飛んじゃう」と、その次も離島に行かれていましたけど（笑）

トラベルナースマスター
CAさん、デメリットがいつの間にかメリットの話に戻っていますよ！

キャリアアドバイザー
失礼しました！職業柄、ついメリットを追い求めたくなるんです（笑）話を戻しましょう。キャリアアドバイザー視点でのデメリットを挙げるとすれば、トラベルナースとしての適性がなかった場合に、“逃げ場”がないことだと思います。ですので、面談時に適性がないと思った場合は、トラベルナースの求人への応募をお断りさせていただくこともあるんです。

悩めるナース
向き、不向きがあるなんて、考えてもいませんでした。お断りするケースについて伺っておいてもいいですか？

キャリアアドバイザー
向き、不向きの前にお伝えしたいのは、臨床経験が少なくとも３年は必要だということ。先ほども話題に挙がっていたように、トラベルナースは専門領域のプロ、つまり即戦力として期待されているからです。そして、性格面の向き不向きでいうと、柔軟性がある人やコミュニケーション能力が高い人が向いているといえるでしょう。特に、これまでの経験に縛られず、その場で臨機応変に動くことができて、課題解決力がある人が理想。一方、向いていないのは、石橋を叩いて渡るような慎重なタイプでしょうか。たとえば、事前の面談で病院の情報を必要以上に知りたがるような人や、生まれ育った土地から出たことがない人は合わない可能性があります。現地に行く前は、看護部長さんと電話で面接するだけなので、「現地に行ってみたらイメージと違った」と落ち込んでしまうような人にはおすすめしません。

トラベルナースマスター
柔軟性とコミュニケーション力は重要ですよね。新しい土地、新しい人間関係の中で仕事をするわけだから、好奇心が旺盛で新しい環境にワクワクできる人、トラブルも楽しめるような前向きな人がいいでしょう。

悩めるナース
ところで、先ほどトラベルナースは短期でガッツリ稼げると仰っていたのが、ずっと気になっていました。実際のところ、いくらくらい稼げるのでしょうか？

キャリアアドバイザー
専門領域、勤務場所、夜勤の有無などで変わりますが、夜勤専従で月に9回入って、60万円ほど稼いでいた人がいました。

トラベルナースマスター
それは好条件ですね。いますぐ応募したいくらい（笑）私は学費を貯めるために夜勤専従で働いた際、３カ月で150万円稼いだのが最高です。準夜勤後は、タクシーチケットが別途支給され、VIP気分を味わえました。もし、お金を貯めたいなら、離島がおすすめですよ。生活コストがかからないので、気づいたら貯まっているんです。仲よくなったご近所さんが、ドアノブにお魚をかけておいてくれたり、野菜を地元の人が病院に持ってきてくれたりすることも。私の場合、土日は海でのんびり過ごすのが日常なので、本当にお金を使いません！！

悩めるナース
それはいいですね。私は、お休みの日にストレス発散目的で、浪費してしまうこともしばしば。何のために働いているのか疑問に思うことがあります。

キャリアアドバイザー
付け加えると、交通費や住宅手当も支給されるところが多いんですよ。そのほか、家具・家電付きの住居を用意された人もいるし、家具・家電が付いていない場合は追加で支度金が出たケースも。ユニークな事例だと、現地の移動手段として自転車が支給された人もいました。多くの場合、都内で生活するより、生活コストを浮かせられるように感じます。

悩めるナース
社会保険などの福利厚生についてはいかがでしょうか。

キャリアアドバイザー
2カ月を超える勤務契約であれば、社会保険に加入できるケースがほとんどなので、安心してください。契約期間は最長で6カ月ですが、契約後の更新・期間延長も可能性もあります。私の知っている範囲では、最長で3年間ほど、トラベルナースとして同じ病院で働いた人もいますよ。

悩めるナース
そんなに長く働けるものなんですね！

キャリアアドバイザー
はい。お互いが合意したうえで延長できるのが、常勤とは違うよさだという声をよく聞きます。ナースには、責任感が強くて完璧主義の人が多い印象ですが、責任感が強くて完璧主義の人であるほど、新しいことにチャレンジするハードルが高くなりがち。トラベルナースはそういう方たちにもチャレンジしやすい働き方の一つだと思うので、上手に活用して、自分らしいキャリアを築いてもらえたら嬉しいですね。