看護師経験を活かして『企業』で働く!~治験コーディネーターの働き方~ セミナーレポート|2022/11/1~2022/11/20 開催
セミナー概要
2022年11月オンライン開催/看護師経験を活かして『企業』で働く!~治験コーディネーターの働き方~
マイナビ看護師主催の「看護師経験を活かして『企業』で働く!~治験コーディネーターの働き方~」が2022年11月1日(火)~11月20日(日)の期間限定でオンライン開催されました。
今回は、病院ではない場所で働きたい方に人気の「企業」において、看護職と企業の働き方の違いや、どんな時に医療資格が活かせるか、治験コーディネーターの仕事内容、研修体制や一日の流れなどをお伝えする内容となりました。第1部では、「株式会社EP綜合」採用担当者による『治験業界と治験コーディネーターの仕事内容』を、第2部では、「株式会社EP綜合」採用担当者による会社紹介を、第3部では、『シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社』中途採用担当者による会社説明と、現場で働く治験コーディネーターにインタビューにお答えいただきました。
【セミナー内容】
・治験業界と治験コーディネーターの仕事内容
・株式会社EP綜合 会社紹介
・シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社 会社紹介&看護師インタビュー
セミナーの様子
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セミナーに参加された方の声
- 治験コーディネーター未経験でも理解できる、聞きたかった事柄に沿った内容でわかりやすかったです。その中でも看護師として働いてから治験コーディネーターになった方の話は特に現場が伝わってくる内容で、働き方や仕事内容をイメージするのに参考になりました。
- 実際に1日のスケジュールなど見れるのは良かったです。転勤について気になっていましたが、企業によって違うことが分かり、受ける企業を選ぶための指標になりました。
- 治験についてのイメージをすることができ、具体的な仕事内容が理解できました。それぞれの会社の特徴がよく分かりました。
- 治験コーディネーターがどのような役割を持ち、実際どのように働いているのか、イメージがつきやすかったです。就職した場合どのように研修が進められるのか、参考になりました。
セミナーレポート
【治験業界と治験コーディネーターの仕事内容】
治験の流れと治験コーディネーターの仕事内容についてご説明します。
まず、製薬会社の基礎研究で新薬の候補が見つかると、動物を用いた「非臨床試験」を実施します。そこで安全性が確認されると、人を対象とした治験へと移っていきます。治験は、健康な成人の方を対象に安全性を確認する「第Ⅰ相試験」、少数の患者さまを対象に用法・容量の決定、有効性、安全性を調査する「第Ⅱ相試験」、そして多数の患者さまを対象に、実際の治療に近い形でデータを収集する「第Ⅲ相試験」のスリーステップで行われます。
治験を進めていくうえで欠かせない機関として、治験依頼者である製薬会社、治験を実施する医療機関、その医療機関をサポートしているSMO、治験依頼者をサポートするCROがあり、これらの機関で協力しながら治験を進めていきます。
治験を開始するにあたり、製薬会社から医療機関に対して治験の協力依頼が入ります。治験は、大学病院や総合病院のような大きい医療機関から、小さなクリニックや診療所でも行われていますが、通常の診療業務に加えて治験に協力するのは非常に大変です。そもそも治験の進め方がわからなかったり、治験を実施する環境が整っていなかったりと、さまざまな課題があります。そこで円滑に治験が進められるようにSMOが支援し、臨床現場の内側で治験の効率化を図っています。
なかでもCRCと呼ばれる治験コーディネーターは、患者さま・医療機関・治験依頼者の3者間で、治験が円滑に進むようにコーディネーションしながら幅広い業務に対応しています。
CRCの業務として、治験スタート時に治験実施計画書に記載されている要件(年齢、性別、既往歴など)に合う患者さまを、カルテの中からピックアップする「カルテスクリーニング」を行います。医療機関での勤務経験がある方は、カルテの判読スキルが活かせる業務です。
続いて、ドクターから患者さまにインフォームドコンセント(同意説明)を取得する際には、CRCは補助として治験の細かい部分を説明していきます。説明の際には、治験の目的や検査内容、来院スケジュール等について、ご不安やご負担を軽減できるように患者さまの気持ちに寄り添い、丁寧に説明していきます。
治験薬の投与開始後は、患者さまの来院スケジュールの調整、検査や診察の立ち会いを中心に、患者さまのフォローをしていくのが主な仕事です。治験に対してご不安を抱えていないか、患者さまへのケアも欠かせません。些細なことでも話してもらえるような関係性づくりも大切です。他にも、ドクターとともに報告書を作成したり、治験依頼者へ進捗報告を行ったりと事務作業にも加わります。
このように、CRCは医療機関の中で患者さまや他職種と向き合いながら、治験が適正かつ円滑に進むようサポートをしています。体感としては、3:7で事務仕事にボリュームがあると感じていますが、高度な事務スキルが必要なわけではありません。基本的なタイピングやPCスキルがあれば十分対応が可能です。SMOのCRCとして業務を行う場合、医療行為はできませんが、今まで培った医療知識や経験を活かしつつ、新たにビジネススキルを身につけられるという点も魅力のひとつです。
【株式会社EP綜合】
SMO業界日本最大手の株式会社EP綜合は、幅広い疾患領域における豊富な実績とノウハウを持ち合わせている企業です。本セミナーでは、採用担当者による会社紹介と、中途入社したCRCのリアルな声をお届けしました。
<採用担当者による会社紹介>
EP綜合は、SMO業界における売上高・従業員数ともに業界No.1の企業です。全国各地に拠点を構え、大小問わずさまざまな医療機関と提携しており、看護師、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師など、さまざまな医療資格をもったCRCが、それぞれの経験や強みを活かしながら活躍しています。
エリア限定採用ではないため、転居を伴う転勤の可能性はありますが、ライフイベントの関係で転勤が難しい場合は断ることも可能です。ただ、パートナーの転勤に合わせて赴任先でもCRCのキャリアを継続できることは、全国展開しているEP綜合ならではのメリットだといえます。
入社後のフォロー体制として、基礎から学べる豊富な研修を取り揃えています。まずはCRC業務のベースとなる知識を身につけるため、疾患や薬学についてのみならず、検査に関することや守るべき法令・ルールなど、E-learningを用いて幅広く学んでいただきます。その後、座学と実務を結びつける導入研修を実施し、テスト合格後は現場へ配属されます。
定期的なフォローアップ研修に加え、疾患別研修も豊富に取り揃えているため、未経験の疾患領域に対しても安心して臨んでいただけます。パソコンスキルをご心配される方も多いですが、基本的な操作ができれば問題ございません。
フレックスタイム制を採用しているので、ご自身でスケジュールを組んでメリハリのある働き方ができます。有給休暇は、入社日に規定に基づいた日数が付与されます。有給休暇とは別にリフレッシュ休暇も付与されるので、社員の多くは長期の旅行を楽しんでいます。
産後も長く働いていただけるように、産前産後休暇は8週間前から取得が可能です(法定では産前6週間前から)。さらに、お子さまが3歳になるまで育児休業を取得でき、復職後は時短勤務を利用して、無理なく子育てと仕事の両立ができます。このように、社員が安心して長く働ける制度を取り揃えているのが弊社の魅力です。
<中途入社したCRCの声>
「入社当初、苦労したことは?」との問いには、ビジネスマナーや専門知識の習得、パソコン操作などさまざまな意見が挙がっています。中途採用で入社するCRCの多くは未経験ですが、今までの医療機関でのご経験を活かせる場面は多数ございます。
看護師資格を持っている方は、以下のスキルや経験を活かすことができます。
・検査結果や治療を理解しやすい
・疾患や治療に幅広く知識がある
・患者さんとの関わり方がわかる
・カルテが読める
・薬剤の知識がある
・検査の所要時間や詳細がわかる
前職と比較して感じるギャップとしては、「夜勤がなく、ライフサイクルが安定する」「長期休暇を取りやすい」「医療行為がないので手技などのスキルが求められない」「医師から頼ってもらうことが増えた」などの声が上がっています。
次に、「やりがいを感じるのはどのような時?」という質問には、「患者さまに感謝された時」「医師に頼られている時」「関わった治験薬が承認販売された時」などの声が多く挙げられました。他にも、「施設スタッフや依頼者、モニターと良好な関係性を築いて治験を円滑に動かせている時」など、治験をしっかりとコーディネートできていると実感できた時にやりがいを感じる方も多いようです。
また、CRCに向いているのは次のような人です。
・さまざまな関係者の間に立って業務を調整する「調整力のある人」
・ひとつひとつの業務に責任をもって取り組む「責任感のある人」
・データ入力やカルテスクリーニングなどの細かい業務も苦にならない人
・予想外の事態にも落ち着いて対応できる「臨機応変に対応できる人」
・多く関係者と関わって業務を進めていくうえで、他人を理解しようとする姿勢のある人
CRCは、ルーティンワークではなく、患者さまや医療従事者のスケジュールを調整しながら、スケジュールを組んで対応する仕事です。定期的にグループミーティングを行うなど、フォロー体制も整えています。決して楽な仕事ではありませんが、医療現場の最前線で目の前の患者さまだけではなく、未来の患者さまへも貢献ができるやりがいのあるお仕事です。
【シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社】
SMO業界のパイオニアであるシミックヘルスケア・インスティテュート株式会社は、全国28拠点に展開しており従業員数は全体で約900名、これまでに大学病院からクリニックまで約2,630の医療機関を支援してきました。本セミナーでは、採用担当者による会社紹介の後に、現場で働く看護師の方に、前職とのギャップや1日の業務の流れなどをお聞きしました。
<採用担当者による会社紹介>
弊社は治験の支援だけでなく、健康増進、未病・予防、予後まで、すべてのステージにおけるサービスを提供しています。医療機関の関連施設を中心に総合的な支援を行なう中で、特に注力しているのが「メッドコンシェルジュサービス」です。こちらはSMOで培ったノウハウとネットワークを用いて、医師や医療従事者の方たちから意見をいただき、サービスを提供しています。
生産性を上げる効率的な働き方を推奨している弊社は、裁量労働勤務制度を採用し、時間管理を行わずに個々の裁量にまかせているため、より効率的で自由な働き方ができます。テレワーク制度も導入しているので、患者さまの来院スケジュールによっては、在宅で勤務することも可能です。また、女性が多く活躍する弊社の復職率は91.2%と非常に高く、そのような点が評価されて、日経Womanの「女性が活躍する会社ベスト100」にも選出されました。
中途入社の方は8割から9割が未経験ですが、豊富な研修が用意されていますのでご安心ください。ご入社後2週間の集合研修で、同期入社のみなさんとロールプレイングしながらCRCの基本知識を学んでいただきます。
その後は各オフィスに配属され、先輩社員からOJTの指導を受けます。個人差はありますが、入社後1、2年ほどで一人で担当が持てるようになります。OJTが終わった後も、知識・能力の充実を図るとともに、コンプライアンス意識の継続的な向上に取り組んでいただきます。
評価制度・昇給については、最初にご自身で目標シートを作成していただき、配属先の上司と面談をしたうえで目標を確定します。その目標達成に向けて業務を推進し、1年後の評価によっては昇給や昇格、冬季のボーナスなどに反映されていきます。
CRCのキャリアに関しては、マネジメントやSMA、グループ内でモニターに転籍することも可能です。もちろん、より専門性の高いCRCを目指す方向けのキャリアもご用意しております。
<看護師インタビュー>
看護師として11年間働いた後、コーディネーターとして現在5年目になります。CRCに興味を持ったきっかけは、親族の症状改善を目の当たりにし、薬は人の人生を変えることができると感じたことです。シミックグループのホームページで充実した研修内容を見て、未経験でも安心して働けると思い、転職を決めました。また、夜勤がないということにも魅力を感じました。
CRCと看護職とのギャップを感じたのは、事務仕事や書類作成が多いことです。パソコンがあまり得意ではなかったので、最初は「大丈夫かな」と不安でしたが、研修で学んだり、パソコンが得意な同僚に教えてもらいました。それでも困った時はITサポートデスクが設置されているので、問い合わせをすることができ安心しました。また新しく覚える用語が多く、治験と医療現場で用語の意味が異なるものもあったので覚えるのに苦労しましたが、先輩に「全部覚えなくても大丈夫。必要なときに調べることができれば問題ないよ」と言っていただき、安心して研修に取り組むことができました。
OJTは3か月で終了することを目標としており、1か月ごとに進捗を確認し、チェックリストにあるすべての項目の目標を達成できれば終了となります。期間中はOJT担当の先輩と一緒に行動しますが、徐々に一人での対応を増やしながらも、何かあったときにはすぐにサポートしてもらえる体制が整っているので安心です。
1日の業務は、まず8時半くらいから事前準備、9時から11時くらいまでは病院で患者さんの対応や検体の処理を行います。その後は対応した内容のワークシートを作成し、12時から15時くらいまでメール確認や電話対応、先生との打ち合わせなどがあります。お昼休憩は日によってまちまちです。午後から2人目の対応をすることもありますが、遅くても18時半までには作業が終わります。
患者さまの来院に合わせた業務スケジュールを組んでいるので、午後の対応がなければそのまま帰宅したり、午前中にテレワークをして午後から施設訪問をしたりといった調整が可能です。めったにありませんが、勤務時間外に患者さまからご相談のお電話をいただくこともあります。患者さまが自己判断で問題を起こしてしまわないためにも、時間外でも対応した方が処理がスムーズに進むので、そこまで負担には感じていません。
CRCは、看護師の知識や経験を活かしつつ、新薬の知識も深められる学びの多い職業だと感じています。私自身、患者さまから「薬が効いた」「症状が改善された」と喜んでもらえることが一番嬉しく、仕事のモチベーションにもつながっています。患者さまの治療に貢献できる可能性がある魅力的な仕事なので、ぜひ一緒に頑張れたら嬉しいです。
今回のセミナーでは、新薬開発に欠かせない治験業界の大手2社にご参加いただき、看護師資格を活かしながら企業で働くことができるCRCの仕事について詳しくお聞きしました。CRCは、新薬開発を通じて目の前の患者さまだけではなく、未来の患者さまへ貢献できるやりがいのある職種です。セミナーを視聴していただき、疑問に感じたことやもっと詳しく知りたいことなど、マイナビではみなさんのお悩みに個別にお答えいたします。「未経験だけど大丈夫?」「どんな働き方があるの?」など、どのようなことでも構いませんので、ぜひキャリアアドバイザーにご相談ください。