• 2024年4月13日
  • 2024年5月9日

脾臓とは? 主な機能・役割や状態が悪い場合に起こり得る症状を解説

 

人間の体内にはいくつもの臓器(内蔵)が存在しており、各臓器がそれぞれの役割を果たしながら人体の健康を維持しています。

心臓・肺・肝臓・胃などは、誰もが一度は耳にしたことのある代表的な臓器ですが、人間に必要な臓器はほかにも多くあります。なかでも「脾臓(ひ臓)」は、あまり知られていない臓器でありながら、人間の免疫を担う重要な存在である点が特徴です。

そこで今回は、脾臓の概要や主な機能・役割から、脾臓が悪い場合に現れる症状、さらに脾臓にかかわる症例まで詳しく紹介します。

脾臓とは? 主な機能・役割について

脾臓(ひ臓)とは、左上腹部、肋骨のすぐ下に位置する重さ120g程度の小さな臓器です。脾臓には血液が豊富に含まれていることから、表面は暗い赤色となっており、スポンジのように柔らかい点が特徴となっています。

脾臓は、老化した赤血球の破壊・除去という役割を果たすほか、血小板の貯蔵庫としても機能します。また、脾臓内にはリンパ球が多くあり、免疫に関するはたらきもすることから、非常に重要な造血・リンパ器官といわれています。

ここからは、脾臓が担う「濾過機能」「免疫機能」「貯蔵機能」「造血機能」の4つの機能について、それぞれ詳しく説明します。

濾過機能

「濾過機能」は、脾臓の最も代表的な機能です。

脾臓内は網目構造となっており、健康な赤血球は問題なくすり抜けます。しかし、老化した赤血球や変形した異常血球、さらに血液中の微生物や外部から侵入した病原菌・細菌は構造内のマクロファージによって捕捉され、破壊する形で処理されます。

マクロファージとは
白血球の一部であり、比較的大きいアメーバ状の免疫細胞です。大食細胞ともいわれており、体内に侵入した菌といった異物を貪食する能力に優れています。

血液の中にある赤血球の寿命は3か月といわれており、老化すると酸素を運び込めません。しかし、脾臓の濾過機能によって老化した赤血球は淘汰され、新たな赤血球だけが残り、正常に酸素が運び込まれるようになります。

また、脾臓は病原体をはじめとした異物の侵入を防ぐはたらきをすることから、各種感染症の第一次的防御機構ともいえるでしょう。

免疫機能

濾過機能に次ぐ脾臓の重要な機能が、免疫機能です。

そもそも脾臓は、マクロファージと血管腔(脾索・脾洞)によって構成され、食作用器官として機能する「赤脾髄」と、リンパ組織によって構成され、免疫機関として機能する「白脾髄」があります。

脾臓の免疫機能は、大きく「一次応答」と「二次応答」の2つに分けられます。

まずは濾過機能で赤脾髄がはたらき、マクロファージをはじめとした細胞が老化した赤血球や外部からの侵入物を察知して破壊します。こうした免疫反応が、一次応答です。

そして、一次応答では対処しきれなかった場合は、二次応答として白脾髄内のヘルパーT細胞がB細胞(形質細胞)に対して、抗原を破壊する免疫グロブリンをつくるよう指令を出します。B細胞によって産生した可溶性抗体やキラーT細胞などが異常血球を攻撃し、次々に破壊します。

また、免疫機能において何らかの反応を示したB細胞やキラーT細胞は、病原体が体内から消滅することでほとんど死滅しますが、一部は感染・破壊の記憶を残したままメモリーT細胞・B細胞となって長期間生存する点も特徴です。そのため、次に同じ病原体が体内に侵入してきた際は、一次応答時よりも早い段階で病原体を察知し、攻撃や抗体の産生を行えるようになります。
(出典:一般社団法人 日本血液製剤協会「免疫について」

貯蔵機能

脾臓は、全血小板の約1/3を貯蔵しているといわれています。

そもそも血小板とは、赤血球や白血球と同様に血液中の有形成分の1つであり、主に止血・血液凝固の役割を果たす細胞です。

体内の血管が傷つき出血したときは、脾臓に貯蔵している血小板が活性化し、傷口を防いで血栓をつくりながらそのほかの血小板や赤血球を密着させて止血します。出血を伴うケガをした際に「かさぶた」ができるのは、体内でこうしたはたらきをしているためです。

また、脾臓に貯蔵する血小板は、血流の調節機能にも関係します。激しい運動をするなどして体が酸素を必要としたときは、貯蔵しておいた血液を全身の血液循環内に送り出すことも可能です。

造血機能

脾臓は、造血機能も果たしています。

そもそも造血(血球造血)とは、血液の細胞成分を形成することです。「血球新生」「血球産生」とも呼ばれます。

通常、造血作用は造血幹細胞が存在する骨髄内で行われますが、大量出血によって骨髄だけでは対処しきれない場合や、何らかの原因で骨髄そのものの機能が低下した場合は、代わりに脾臓が造血を行うこととなります。

脾臓が悪い場合に現れる症状

脾臓が悪い場合に現れる症状

あらゆる内蔵のなかでも、特に胃や大腸は食事や生活習慣、ストレスによって弱りやすいことでも知られています。

胃や大腸が弱るとどうなるかは理解できている方は多い一方で、胃の近くにある脾臓が悪い場合に起こり得る症状を知っている方は非常に少ないでしょう。

脾臓が弱ると、下記の症状が発生します。

  • 貧血(貧血に伴う顔面蒼白・息切れ・疲労・脱力感など)
  • 不正出血
  • 食欲不振
  • お腹や背中の痛み
  • 黄疸

これらの症状は、脾臓が一時的に弱っているときだけでなく、脾臓に関する病気の初期症状としても発生することに注意が必要です。

症状が軽微なケースでは数年以上気付かず、長期的な治療を要する可能性もあります。少しでも異変を感じたら、すぐに内科・消化器内科を受診しましょう。

脾臓にかかわる症例

脾臓にかかわる症例

脾臓にかかわる症例としては、「血液疾患」「門脈圧亢進症」「腫瘍性疾患」「脾損傷・破裂」「脾動脈瘤」「感染性脾腫」「代謝性疾患」などさまざまなものがあります。

なかでも、特に代表的な症例は「遺伝性球状赤血球症」「特発性血小板減少性紫斑病」「脾腫」の3つです。最後に、代表的な症例3つの概要や原因、症状などについて詳しく紹介します。

遺伝性球状赤血球症

遺伝性球状赤血球症とは、赤血球膜が脾臓で破壊され、軽度~重度の貧血をきたす疾患です。三大遺伝性溶血性貧血のなかで最も発症しやすいことでも知られています。

遺伝性球状赤血球症の原因は、赤血球膜の形状をつくる物質が遺伝子的な異常によって欠損し、通常は楕円形の赤血球が球状になる点にあります。球状の赤血球は脾臓で破壊されやすくなり、血管外溶血を起こすのが特徴です。

主な症状は、貧血・黄疸・脾腫が挙げられます。赤血球膜の形状をつくる物質の欠損度によって重症度が異なり、症状の程度は個人差が大きいことも覚えておきましょう。また、血管外溶血によってビリルビン産生が長期間持続するため、胆石症や溶血発作を引き起こすおそれもあります。

特発性血小板減少性紫斑病

特発性血小板減少性紫斑病とは、血小板の減少につながるほかの明らかな基礎疾患や原因薬剤の関与なく、血小板が減少してあらゆる出血症状を引き起こす疾患です。

特発性血小板減少性紫斑病の原因は、「自身の体内にある血小板に対する抗体、つまり自己抗体ができるため」とされています。なお、なぜ自己抗体がつくられるのかの原因は未だに解明されていません。

自己抗体によって脾臓内で血小板が破壊され血小板が減少すると、出血しやすくなるほか、血尿や血便、月経過多といった出血症状が発生します。重度の場合は、脳出血を発症する可能性があることにも注意が必要です。

また、特発性血小板減少性紫斑病は発症から6か月以内に治癒する急性型と、血小板減少が6か月以上続く「慢性型」の2種類があります。急性型は小児に多く、慢性型は成人、特に成人女性に多く発症する点も特徴です。

脾腫

脾腫とは、脾臓が「触れて分かる程度」に大きく腫れた状態を指します。その名称から「脾臓の腫瘍・腫瘤」とイメージする方もいますが、脾腫は脾臓そのものの疾患ではなく、ほかの病気の影響によって起こる症状です。原因となる病気には、肺炎やマラリアをはじめとした細菌感染症のほか、肝硬変、血液がんなど多岐にわたります。

通常、健康な成人の脾臓は重さ120g程度の手のひらサイズですが、脾腫の場合は通常サイズの倍近くの大きさに変わります。

脾臓が大きくなった分、血球と血小板をより貯蔵できるようになるため、血液中の血球と血小板が減少して貧血や出血症状が起こりやすくなります。また、大きくなった脾臓が裏側の胃を圧迫することから、すぐに満腹を感じる・腹部や腰、背中に痛みが生じるケースもあるでしょう。

脾腫を治療するには、脾腫の原因となった病気を治療しなければなりません。脾腫による症状が重度の場合は、脾臓摘出術を行い脾臓ごと取り除くか、放射線療法によって脾臓を小さくするかのいずれかの治療法を選択することとなります。

まとめ

脾臓(ひぞう)とは、左上腹部、肋骨のすぐ下に位置する比較的小さな臓器です。「濾過機能」「免疫機能」「貯蔵機能」「造血機能」の4つの役割を果たしており、最大の造血・リンパ器官ともいわれています。

脾臓が弱った場合の症状としては、貧血や食欲不振、腹痛、黄疸が挙げられるものの、これらは脾臓に関する病気の初期症状としても現れることに注意してください。

全国の看護師求人を豊富に掲載する「マイナビ看護師」では、業界に精通したキャリアアドバイザーによる無料転職サポートサービスも提供しております。「過去の勤務経験で培った医療・看護知識を活かして理想の職場ではたらきたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※当記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています

著者プロフィール