• 2023年12月9日
  • 2023年12月7日

看護師の残業時間は長いって本当? 実態や理由・対策方法を解説

 

看護職に限らず、医療業界における残業時間は大きな問題になっており、国は働き方改革として医師・看護師などの残業時間削減を目指しています。しかし、現状看護師さんの半数近くが感じている悩みとして、「業務量が多い」というものがあります。看護師さんや、これから看護師を目指そうとしている方にとって、残業の実態は気になるポイントでしょう。 この記事では看護師の残業時間の実態について、日本医療労働組合連合会(以下、医労連)が行った調査より解説するとともに、残業が長くなる理由や対策方法も伝えます。

看護師の残業時間の実態

看護師さんの残業時間の実態について、医労連が行った「2022年 看護職員の労働実態調査」では以下のような統計があります。

【看護師の1月あたり時間外労働時間】

なし 5時間未満 5~10時間未満 10~20時間未満 20~30時間未満 30~40時間未満 40~50時間未満 50~60時間未満 60~70時間未満 70~80時間未満 80時間以上
7.4% 28.5% 22.4% 22.3% 10.4% 4.4% 3.1% 0.8% 0.3% 0.1% 0.3%
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

調査では、9割以上の看護師さんが時間外労働をしており、時間外労働時間のボリュームゾーンは5時間未満~20時間で、全体の約7割を占めていることが分かります。

また、勤務形態別の1日あたりの平均時間外労働時間は、以下の通りです。

【1日あたり時間外労働の平均値】

勤務形態 始業時間前労働時間 就業時間後労働時間
日勤 22.1分 46.3分
準夜勤務 22.3分 23.3分
深夜勤務 18.5分 25.7分
夜勤2交替 23.9分 29.3分
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

どの勤務形態の場合も、始業前よりも終業後の労働時間が多く、始業前・終業後の労働時間を合わせると40分以上の時間外労働をしていることが分かります。始業前・終業後の労働時間合計が最も多いのは日勤で働く看護師さんです。一方、始業前・終業後の労働時間合計が最も少ないのは深夜勤務の看護師さんという結果になりました。

しかし、最も残業時間が少ない深夜勤務の看護師さんの場合でも、2022年12月時点での日本人の平均的な1月あたり時間外労働時間である10.5時間を超えています。日勤で働く看護師さんの場合、平均的な時間外労働時間のおよそ2倍残業しているという結果になりました。

3交替勤務の場合は一般的に残業が発生しないとされているにもかかわらず、看護師さんの残業が多い実態がうかがえます。

看護師の日勤の平均残業時間

医労連が行った「2022年 看護職員の労働実態調査」によると、日勤で働く看護師さんの1日あたりの平均時間外労働時間は以下です。

【日勤(交替勤務含む)の看護師の1日あたり時間外労働時間】

なし 約15分 約30分 約45分 約60分 約90分 約120分以上
始業時間前 25.3% 28.8% 29.4% 9.5% 5.9% 0.7% 0.4%
始業時間後 12.8% 13.9% 23.3% 9.4% 20.5% 11.8% 8.4%
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

始業時間前と後で分けると「時間外労働なし」の回答も一定数見受けられ、「始業時間前のみ時間外労働がある」「始業時間後のみ時間外労働がある」という看護師さんがいることが分かります。

始業時間前に15分~30分の時間外労働、終業時間後に30分~60分の時間外労働をする看護師さんが多い傾向にあります。割合としては少ないものの、2時間を超える時間外労働が発生するケースもありました。

看護師の夜勤(2交替)の平均残業時間

夜勤(2交替)で働く看護師さんの平均時間外労働時間は以下です。

【夜勤(2交替)の看護師の1日あたり時間外労働時間】

なし 約15分 約30分 約45分 約60分 約90分 約120分以上
始業時間前 32.8% 18.1% 26.1% 10.6% 9.3% 2.6% 0.5%
始業時間後 28.7% 14.7% 26.6% 9.2% 14.2% 4.9% 1.6%
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

「時間外労働時間なし」と答える看護師さんが多い一方で、始業時間前・終業時間後ともに約30分の時間外労働をしている看護師さんも多くいるという結果になりました。

病棟別の看護師の残業時間

看護職の残業時間は、病棟によっても異なります。1か月あたり20時間以上の残業があると答えた看護師さんが多い職場は、以下の通りです。

【職場別・1か月あたり20時間以上の残業があると答えた看護師の割合】

一般病棟(7対1) 28.0%
一般病棟(10対1) 22.8%
一般病棟(13対1) 20.3%
一般病棟(15対1) 17.4%
地域包括ケア病棟 20.0%
精神病棟(7対1) 4.0%
精神病棟(10対1) 7.2%
精神病棟(13対1) 10.2%
精神病棟(15対1) 2.8%
療養病棟 14.1%
その他 11.8%
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

一般病棟(7対1)が最も多い28.0%、次いで一般病棟(10対1)が22.8%、最も少ない職場が精神病棟(15対1)で2.8%という結果になりました。7対1の一般病棟は急性期の患者さんが多いため、容体急変などが多く、残業につながっていると考えられます。

看護師の残業時間が長い理由

看護師の残業時間が長い理由

看護師さんの残業時間が日本人の平均残業時間である10.5時間と比べると2倍以上である理由は、主に看護師不足が原因です。医労連の調査では人手不足により「仕事量が多すぎる」という不満を感じている看護師の割合が48.7%と約半数近くに達しています。
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

慢性的な看護師不足は、2022年時点での看護師・准看護師の職業別有効求人倍率が、2.20と全職業の平均1.19を大きく上回る点からも裏付けられます。看護師不足を原因とする残業時間増加は、全国の病院が抱える悩みといえるでしょう。
(出典:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」

くわえて、看護師さんの仕事内容によって、残業時間が増えやすくなっていることが考えられます。

急患や容体急変に対応する必要がある

看護師さんにとって避けては通れないのが、急患や患者さんの容体急変によるナースコール対応です。緊急時に対応できる人員が多い病棟であれば残業時間を減らせますが、人員不足の病棟に勤務している場合、急患や容体急変への対応で残業せざるを得なくなるでしょう。

また、急患で急遽入院する患者さんが現れた場合、患者さんや患者さんのご家族へのヒアリング業務・窓口業務等が追加で発生し、残業時間の増加につながります。

状況によっては予期せぬ残業が起こるだけでなく、人員不足で休日にヘルプ出勤するケースもゼロではありません。

勤務時間外の研修や会議が多い

研修会や勉強会は看護業務の質向上のために重要な業務です。また、医師や看護師、そのほかの医療・介護職で会議を行い、意思決定する場は必要です。しかし、全体的な業務が多いことから、院内勉強会や研修会、委員会業務や後輩への指導を勤務時間外に行うケースが多々あります。

【月あたりの研修会・会議の時間】

5時間未満 49.0%
5~10時間未満 2.8%
10時間以上 0.6%
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

研修会など費やされる時間は1月あたり平均で約5時間未満に抑えられてはいるものの、日常業務と並行して実施することが困難なケースが多く、残業発生の原因となります。

さらに、42.6%の看護師さんは、勤務時間外の研修会や会議の残業代が不払いであり、サービス残業になっている実情があります。
(出典:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」

看護記録の記載に時間がかかる

看護師さんの業務内容には、患者さんに実施した処置内容や、容体の変化を記録する看護記録への記載などの書類業務が含まれます。

看護記録は患者さん一人ひとりに対して作成する必要があるため、担当患者さんの人数が増えれば増えるほど、看護記録の作成にかかる時間が増えていきます。ほかの業務が忙しいと落ち着いて看護記録を記載する時間がとりにくいケースもあるでしょう。

看護記録は当日中に作成しなければならない病棟が多く、かつ正確な内容を記載しなければならないため、申し送り後に残業する看護師さんもいます。また急性期病棟ではオペ出し、オペ後の記録もあり提示間近にオペから帰ってきた場合は夜勤スタッフの人数も少ないため引継ぎも困難で残業として、観察を続け記録を取る必要が出る場合があります特に業務に慣れる前の新人看護師さんは書類の作成に時間がかかり、結果として残業が発生する可能性もあるのです。

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残業時間を短くするために看護師ができる対策

残業時間を短くするために看護師ができる対策

医療職の働き方改革として、日本看護協会を中心に残業時間を減らす取り組みが進められているため、今後看護師さんの残業時間はより短くなる可能性が高いといえます。
(出典:日本看護協会「看護職の働き方改革」

ただし、残業時間を減らすには、一人ひとりの看護師さんが働き方を工夫し、省力化や役割分担、効率化を進めていくことが大切です。例として、以下のような対策が挙げられます。

  • 看護記録や申し送りのフォーマット化
  • 役割分担を工夫する
  • 業務の効率化

勤務の度に発生する業務である「看護記録作成」「申し送り」にかける時間の削減は、残業時間の削減に直結するでしょう。記録をフォーマット化することで、作成する側の時間が短縮できるだけでなく、引継ぎを受ける看護師さんの情報収集時間も短縮できます。

看護師さんごとにメインで担当する業務を分担する手段も有効です。それぞれの業務に特化することで、事前準備の時間が減ります。役割分担だけに限らず、一人で業務を抱え込まずに、自分のキャパシティ・スキルに応じて病院へ業務量や業務内容改善の相談をするとよいでしょう。

看護師個人でできる残業対策としては、日々の業務スケジュールに優先順位をつけて業務効率アップを計るとよいでしょう。個々の作業にかかる時間を洗い出し、隙間時間にできる業務をほかの業務の合間に行う・時間がかかりすぎている業務があれば改善策を検討するなどをしましょう。また一日の行動計画を早めに立て、一人で抱えきれないと判断した場合は清潔ケアなど他のスタッフにも協力を早めに依頼したり、リーダー看護師に相談しておくことも必要です。

それでも残業が減らない職場であれば、看護師向け転職サイトや転職エージェントを活用して転職をすることも手段の1つです。

まとめ

看護師の時間外労働時間のボリュームゾーンは5時間未満~20時間であり、日勤で働く看護師さんの労働時間は1日あたり1時間を超えます。日本人の1か月あたり平均残業時間は10.5時間のため、看護師の時間外労働時間は平均より長いといえるでしょう。

理由としては、慢性的な看護師不足にくわえて、急患や容体急変への対応、時間外の勉強会や会議への参加、看護記録などの書類業務の多さが挙げられます。残業時間を短縮するには、看護記録や申し送り用書類のフォーマット化やメイン業務の分担、スケジュールの優先順位付けなどが有効です。

どうしても残業時間が減らない場合は、より残業時間が短い職場への転職も有効です。マイナビ看護師では、看護業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりの看護師さんの希望に合った職場を紹介します。職場の残業時間に悩んでいる看護師さんは、ぜひマイナビ看護師にご相談ください。

※当記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しています

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