• 2023年2月14日
  • 2023年2月15日

「辞めたい」が口癖の看護師にどう接したらいい?

 

「辞めたい」が口癖の看護師。フォローしても素直に受け入れてくれないし……どうしたらいい? このお悩みに対して、人気ブロガーのDJあおいさん、作家のワタナベ薫さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

「辞めたい」が口癖の看護師にどう接したらいい?

相談者

私が働いている診療科には、ミスを指摘するたびに「辞めたい」と言う4年目の看護師がいます。

その度に私や上司、先輩がその子の話を聞いたり、よかったところを伝えたりするのですが、素直に受け入れてくれず、どうしたら彼女のモチベーションを高められるのかわかりません。

その場をおさめるために適当に褒めているわけじゃないのに伝わらないし、それどころか卑屈になるばかり……。かといって辞める気はなさそうなので、いい加減疲れました。彼女にどう接するべきでしょうか?

スペシャリスト3人のアドバイスは?

人気ブロガー
DJあおいさん

注意をすれば「辞めたい」と言う。かといって褒めると卑屈になる。どちらも自己防衛ですね。きっと繊細で傷つきやすいのでしょう。

結論から言えば、注意をする必要も褒める必要もありません。ただただ「話」をすればいいだけです。

注意をすることも褒めることも、上からの物言いになりますので、どちらもある程度の圧力が掛かってしまいます。

人材育成に最も必要なのは「上から目線」ではなく「横から目線」。同じ目線で話をしてあげることによって親和性が生まれます。そうすると、働くモチベーションに関して上からの圧力による外発的動機付けをする必要もなく、内発的動機付けができるようになるということです。

繊細で傷付きやすい人は面倒な人だと思われがちですが、どちらかといえばわかりやすい人であり、扱いを間違えなければ扱いやすい人になります。

対等の立場になってコミュニケーションを重ねていれば、勝手にモチベーションを上げて勝手に頑張ってくれるはずですよ(by DJあおいさん)。


ワタナベ薫_profile

実業家
ワタナベ薫さん

コミュニケーションの基本の一つとして「相手を否定しない」、「相手が言ったことを受け止める」というのがあります。

たとえば「辞めたい」と相手が言ったときに、「あなたは能力も才能もあるし、評判もいいから辞めるなんて言わないで」と言いたくなるかもしれません。しかし、引き止めることはある意味、相手の言っていることを受け止めていないことになります。

ではこのタイプの方には、どう接したらいいのか? 話を聞く側はニュートラルにそのまま受け止めて、「そっか。辞めたいか〜……」と返すだけでいいです。

相手の言ったことに対して、どう返したらいいかわからない場合は、相手の言ったことをそのままオウム返しでOK

もしかしたらその方はモチベーションが低いのがデフォルトなタイプかもしれません。それが通常運転だと思い、気にせず接してみるといいかもしれません(byワタナベ薫さん)。


産業医
井上智介さん
相談者さんはとても優しい方ですね。一生懸命に相手と向き合っているのが伝わってきます。

とはいえ、卑屈な態度をとる相手だとヘトヘトになってしまいますね。まずはあなたの優しさがあなた自身を苦しめないように注意してください。

落ち込んでいる相手をみて「何とかしなきゃ」と思い、つい体が反応してしまうかもしれません。でも、冷たいようですが、相手との境界線をしっかり引かないと、時間もエネルギーも奪われてしまうばかりです。

なにか悩んだときは、それが相手の問題なのか自分の問題なのか分けて考えるようにしましょう。たとえば相手が「辞めたい」と悩んでいても、それは相手の問題なのであなたが首をつっこむ必要はありません。

その一方で、褒めるところを見つけるのはあなたの特技ですから、それは存分にいかしてください。ただ、褒めたあとの相手の反応は期待しないことです。相手がどんな反応するかは、あなたの問題ではないですからね(by 井上智介さん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 余計な気を揉んでアドバイスしたり励ましたりする必要はなさそうですね。「傾聴」「寄り添う心」を意識していかれると良さそうです。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。

ワタナベ薫さん
株式会社WJプロダクツ代表取締役
メンタルコーチ、作家。国内最大級のオンラインサロン運営やコーチング養成スクール運営など。女性たちの悩みを解決すべく人生を謳歌する方法を発信している。自身がプロデュースした手帳『人生が変わる未来手帳』ほか、著書多数。

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

著者プロフィール