• 2022年9月13日
  • 2022年9月14日

パワハラって言われないか不安。Z世代の後輩へのベストな指導法は?

 

▶︎​​定期的に看護師を辞めたくなる……どうやってモチベ維持すればいい?

プリセプターとして後輩看護師にしっかり指導をしたいけど、パワハラになりそうで怖い……。このお悩みに対して、作家のワタナベ薫さん、ロリータモデル兼看護師の青木美沙子さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

新人看護師がプリセプターと仲良くなるには?距離の縮め方教えて!

相談者

看護師6年目(新卒からオペ室で病棟経験なし)です。

リーダーの立場なので後輩をサポートしていますが、指導してもあまり響いておらず、理解してもらえないことが多くて悩んでいます。

また、社会人として先輩方への敬語の使い方や、先輩に確認をしてもらう際の事前の挨拶など、後輩として気をつかうべきことができていない後輩が多いなと正直感じます。

そんななか、上司からは「時間外で課題を与えないように!」とお達しが出ているものの、準備が間に合っていない後輩が多くて困っています。

だったら早く来て間に合うようにしてほしいのですが、今の時代そういった発言はパワハラに捉えられてしまうこともあるので難しく……。

どういう関わりをすればちゃんと育ってくれるのでしょうか。もちろん後輩を潰すようなことはしたくないです。が、しっかり伝えることは伝えて、いいオペナースになってほしいのです。

イマドキの後輩の指導法について、何かアドバイスいただけたら幸いです。

出典:マイナビ看護師

▶︎1年目の看護師がすぐ辞める。新人の芽を潰すリーダーを改善させるには?

スペシャリスト3人のアドバイスは?

ワタナベ薫_profile

実業家
ワタナベ薫さん

お気持ちお察しいたします。
今は同じような悩みを持たれる管理職の方がとても多いですね。

たしかに時代と共に人は変わりましたが、コーチング的観点からすると、人を教える基本は今も昔も変わりません。

〜人を教える基本〜
・教え手が模範者であること。
・できたことを承認すること(褒めること)。
・できなかったことは、忍耐強く相手の尊厳を尊重しながら教えること。
・我が子を見る目で成長を願い、愛と厳しさで接すること。
・どうするべきかを自分で考えさせ、答えを引き出してあげること。

特に、「役割の中で自分は何をしたらいいと思うのか?」を聞き、その人の答えを引き出すことが重要。自分の言ったことには責任が伴いますから、その自覚を感じてもらい、主体的に動けるように励ますことが肝心です。

しかし、それでも覚えない人もいます。しょうがないですね。
自分の時代と比べればイライラが募るばかりですので、いい意味での諦めと、順応性を発揮して、ご自身のやるべきことに意識を向けられることをおすすめします(byワタナベ薫さん)。


ロリータモデル・看護師
青木美沙子さん

後輩への指導法はとても悩みますよね!

今だから言えることですが、私の時代は先輩より早く来て、事前に勉強してレポート提出するのが当たり前だったので……。

時間外労働に関しては問題なので、自宅で各自やってもらうのが1番ですよね。

ただ、社会人としてのマナーはしっかり教えた方が良いです。敬語の使い方や挨拶は、別の業界でも当たり前のマナーなので、先輩として助言するべきだと思います。

「看護技術など勉強しないと後々困るのは自分自身」だということを伝えた上で、「自分のキャリアのために頑張ろう」と伝えのはいかがでしょうか?

自分のためだと思うことで、やらされている感もなくなり、やる気が出ると思います!(by青木美沙子さん)


産業医
井上智介さん

後輩の指導や教育にはとても気をつかうご時世ですが、それでも指導するなら後輩のプラスになるようにしたいと思える相談者さんは素敵ですね。

職場での指導は「何を言われるか」よりも「誰に言われるか」が大切。

人間は感情の動物なので「○○さんの言ってることは正しいけど……従いたくない」ということも起きます。

それを回避するためには、後輩が相談者さんに対して心理的な安心感を持てるような信頼関係を構築できているかがポイント。

朝の挨拶のように短い時間でもいいので、後輩と接する回数を増やして、仕事の話ばかりではなく相手の趣味や好きなことなど人間的な側面の話もするように心がけてください。

さらに、先輩と後輩という“タテ関係”だけではなく、自分も同じようにまだまだ不完全な存在だという“ヨコ関係”も大切にしてください。

そのためには「自分も昔は大きなミスをしてね……」とか「最近になってやっと分かったんだけど……」のような弱みや本音を、相談者さんから自己開示することも信頼感につながるので、ぜひ挑戦してみてください(by 井上智介さん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 後輩に指導するということは、指摘したり教えたりするだけでなく、モチベーションをあげるお手伝いをすることも含まれているようです。一筋縄には行かないことも多いかもしれませんが、相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

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ワタナベ薫さん
株式会社WJプロダクツ代表取締役
メンタルコーチ、作家。国内最大級のオンラインサロン運営やコーチング養成スクール運営など。女性たちの悩みを解決すべく人生を謳歌する方法を発信している。自身がプロデュースした手帳『人生が変わる未来手帳』ほか、著書多数。

Twitter:https://twitter.com/wjproducts1

青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長

雑誌『KERA』『姉ageha』でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。

Twitter:https://twitter.com/aokimisako

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター

産業医・精神科医。大阪府在住。島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、赤縁の眼鏡、金色のアフロヘアと白衣姿でSNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

Twitter:https://twitter.com/tatakau_sangyoi

著者プロフィール