• 2022年8月24日
  • 2022年9月13日

急性期の看護、6年目でも全く自信が持てない……。どうしたら?

 

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看護師歴6年目になるけど、急性期の知識や技術に全く自信が持てません……。この看護師さんのお悩みに対して、マイナビキャリアアドバイザー、ロリータモデル兼看護師の青木美沙子さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

急性期の看護、6年目でも全く自信が持てない……。どうしたら?

相談者

看護師歴6年目なのですが、いまだに自分の知識や技術に自信が持てません。

 

キャリアアップのために今の病棟(急性期)に転職したのですが、先輩看護師さんの知識も豊富で勉強になる反面、自分は全くついていけず悔しくて情けないです。

 

私の新人時代にはプリセプター制度がなく、その日その日で指導してくださる先輩が変わったのもあり、ついなあなあな知識と技術でここまで来てしまいました。

 

それだからか、血液検査やレントゲン、CT、MRIを見て判断することもできません。
看護をしていても先輩方のような鋭い観察力とアセスメント力もません。
自分より今の新人さんの方が知識も技術もすごいと思うくらいです。

皆さんはどのような経験や努力、年数を重ねて自信を付けましたか?

 

急性期が嫌になったわけではないのですが、このように自信が持てないのなら、もう少し落ち着いていて身の丈にあった場所で働く方がベストなのでしょうか?

出典:マイナビ看護師

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スペシャリスト3人のアドバイスは?

マイナビCA

急性期の臨床症状とモニターの数値から患者さんの状態を完璧にアセスメントする自信って、実はいつまでたっても持てなかったりするものなんですよね。全て自分で判断できて自信を持って対応できる人は少なくて、「そもそも悩むこと?」と考えている人もいるほど。

相談者さんは自信を持っていないからこそ、常に患者と真剣に向き合っているのだと思います。患者さんに寄り添えるかどうか、まずはその気持ちが大事です。

真面目で向上心がある相談者さんですから、これまでの看護師経験の中でも培ってきたことはたくさんあるはず。

今はスキルアップのために急性期で奮闘していて、医療技術的なところをたくさん求められている状態だと思いますが、知識面・技術面はそれこそ経験を積んでいくしかありません。まずは、今まで自分が積んできた経験を認めて、自分を褒めてあげてください。

 

その上で、相談者さんが目指す看護師像やどうなりたいのかロールモデルを具体的に紙に書き出してみましょう。そのためには、どんなことをすればいいのかも書き出してください。そこに対して、現状できているか・できていないかを振り返り、それを持って上司に相談してみてください。

 

上司からは客観的なアドバイスをもらったり、求められていることを聞いてみたりしてもいいと思いますよ。自分の得意不得意が見えてくるので自信が持てる部分も自覚できます(byマイナビCA)。

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ロリータモデル・看護師
青木美沙子さん

転職したばかりなのもそうですが、病院によって勝手が違うのは仕方ないですし、そんなに自分に劣等感を感じる必要はないと思います。

私の看護師のファーストキャリアは大学病院だったのですが、1年経って後輩ができて、そこで初めて少しずつ自信を持つことができるようになりました。3年目でプリセプターやリーダーを担当し、やっと自信がついたという感じです。

後輩ができると頼られることが増えたり、自分で判断しないといけない場面も増えたりして、大変ですよね。でも、そのような状況を乗り越えていくと自信に繋がると思います。

せっかく勇気を出して転職をしたと思うので、今の職場のまま挑戦してみるのも看護師の経験値を上げるいい機会だと思いますよ。

焦る必要はないので、前の病院と比べずに新たな気持ちで頑張ってください!(by 青木美沙子さん)

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産業医
井上智介さん

相談者さんは自分の成長を諦めずに、必死に食らいつく姿勢がとても素敵ですね。

それでも知識と技術に不安があるみたいですね。もしかしたら、今は知識と技術に対する懸念が『点』で存在しているかもしれません。いつかそれが『線』になっていくことで、鋭いアセスメントなどにつながっていくのでしょう。

ただ、点が線になっていくスピードは、その人の性格などによっても異なるので、まず何よりも焦らないことが大切です。まじめな性格だからこそ、普段から自分が出来てないことや足りていないことに目が向きがちなのかもしれません。

ただ、看護師の評価は決して知識や技術だけではありません。不安を抱える患者さんにちょっとした声かけで安心させることも大切な看護です。

嫌いではない急性期を離れてしまうのは、もう少しだけ“看護”というものを幅広く捉えられるようになってからでもいいのではないでしょうか。

普段から些細なことでも構わないので、『患者さんにとってプラスになったと思える今日の行動』を自ら振り返る習慣を取り入れてみてください(by 井上智介さん)。


三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 転職したばかりの新しい環境では何かと不安になりがちなので、まずはできることに目を向けて自信を育てていくのが良さそうです。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)

マイナビCA
株式会社マイナビのキャリアアドバイザー。看護師領域を担当してからこれまで1,000人以上のキャリアカウンセリングの実績を持つ。病院まで直接足を運んでいるからこそ、職場の雰囲気や人間関係などの求人票には載っていない情報を提供できるのが強み。看護師ひとり一人の価値観を尊重し、理想のキャリアへ導くことを心がけている。

青木美沙子さん
ロリータファッションモデル / 看護師 / 日本ロリータ協会会長

雑誌『KERA』『姉ageha』でロリータモデルをしつつ正看護師としても働く。2009年、外務省任命カワイイ大使として25カ国45都市以上の国を歴訪。2013年、日本ロリータ協会を設立。ロリータファッションBOOKの発売やプロデュース業も行うなど、精力的に活動している。

Twitter:https://twitter.com/aokimisako

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター

産業医・精神科医。大阪府在住。島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、赤縁の眼鏡、金色のアフロヘアと白衣姿でSNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

Twitter:https://twitter.com/tatakau_sangyoi

著者プロフィール