• 2022年7月6日
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DMATとは? 活動のメリットやDMATになるための方法など徹底解説!

 

DMATは、大規模な災害・事故発生といった有事に国や都道府県の要請を受けて出動する、災害派遣医療チームです。被害発生直後の急性期に迅速な医療を提供し、より多くの方を助けるために奔走します。医療の現場で働く方・働きたいと思っている方の中には、「いつかDMATの隊員になりたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

当記事では、DMATの果たす役割や抱える課題、隊員として活動するメリット、DMATになるための方法などを解説します。

DMATとは?

DMATとは、多数の傷病者が発生した大規模災害や事故現場に急行し活動する、災害派遣医療チームのことです。「Disaster Medical Assistance Team」の頭文字を取り、DMATと呼ばれています。

DMATにおける1チームの構成員は、専門的な訓練を受けた4〜6名の医師・看護師・業務調整員です。高い機動性をもって災害発生直後の急性期(48時間以内)に現地入りし、救助活動を行う消防・警察・自衛隊など、関係機関と連携を取り協力しながら救命・医療活動を行います。

DMAT発足のきっかけとなったのは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災です。当時は災害現場における医療の在り方が確立されておらず、また「クラッシュ症候群」などへの対処法も認知されていませんでした。平時の医療体制が機能していれば救えたはずの命が多数失われたと報告されています。

阪神・淡路大震災で浮き彫りになった課題と教訓を活かし、医師が災害現場で医療行為を行うことのできる「日本DMAT」が2005年に誕生しました。
(出典:厚生労働省DMAT事務局「DMATとは」

DMATの任務

DMATは、各自治体の災害拠点病院に配置されており、大規模な災害や事故が発生した際に現地へ派遣されます。DMATの活動内容は主に以下の4種類です。

現場活動

災害・事故現場で下記のような医療活動を行います。

  • 緊急治療
  • 負傷者のトリアージ
  • がれきの下の医療
病院支援

被災地域内の医療機関に対して、下記のような医療支援を行います。

  • 災害拠点病院の支援・強化
  • 負傷者・病人のトリアージ
  • 診療支援
  • 被災地情報の収集・発信
地域医療搬送

医療の必要度に応じて、適切な医療機関へ搬送します。

  • 災害現場から被災地域内の医療機関への搬送
  • 被災地域内の医療機関から近隣地域、もしくは広域搬送拠点医療施設(SCU)への搬送
  • 被災地域外のSCUから、医療機関への搬送
広域医療搬送

被災地域内や災害拠点病院では対応しきれない重症患者の医療支援を、空港に設置されたSCUで行います。

  • 被災した患者さんの症状の安定化
  • 被災地域外へ搬送するためのトリアージ

(出典:総務省消防庁「DMATとは」

DMATの活躍の場

2005年の発足以来、DMATは日本中に広がりを見せており、2019年3月末時点で1,686チーム・14,204名が隊員として登録しています。

下記は、DMATが活躍した現場の一部です。

  • 新潟県中越地震
  • 渋谷区温泉施設爆発事故
  • 東京マラソン
  • 秋葉原連続通り魔事件
  • 東日本大震災
  • 伊豆大島土砂災害

基本的には大規模な災害や事故現場がDMATの派遣先ではあるものの、緊急医療が必要となり得る大規模なスポーツイベントなどで活動するケースも見られます。
(出典:公益財団法人総合安全工学研究所「DMAT(災害医療派遣チーム)」
(出典:東京都福祉保健局「現場活動1」

DMATが抱える課題

DMATはチーム数・隊員数が増加傾向にある一方、いくつかの課題があります。特にDMATの重要な課題として挙げられているのは、下記の3つです。

  • DMAT事務局の強化
  • 政府・行政との連携強化
  • EMIS(広域災害救急医療情報システム)の活用度の強化

被災現場で迅速かつ的確な医療を提供するためには、情報の収集・伝達力の強化が欠かせません。上記課題の早急な解決は、DMATに課せられた使命を果たすために必須です。

また、災害や事故によって現場の状況や必要とされる医療は異なります。どのような現場に派遣されても柔軟に対応する能力が欠かせません。
(出典:厚生労働省「東日本大震災におけるDMAT活動と今後の課題」

DMATとして活動するメリット|求められるスキル

DMATとして活動するメリット|求められるスキル

DMATとして活動するメリットの代表例は、下記の通りです。

  • 被災現場で多くの方の命を救える
  • 医療従事者として豊富な現場経験が積める
  • 高度かつ現場に即した医療知識が身につく
  • どのような現場でも冷静に対応できる精神力が身につく

DMATが派遣される現場では多くの被災者が命を失う恐れがあり、中には病院への搬送を待っていると手遅れになるケースもあります。「病院で待機しているだけでは救えない命を自分の手で守り切れた」という実感は、医療従事者として何物にも代えがたい経験と自信になるでしょう。

また、DMATとして活躍するためには、下記のようなスキル・能力が求められます。

  • 凄惨な状況下でも取り乱さない精神力
  • 起伏の激しい現場でも機敏に動ける体力
  • 現場の状況を冷静に見極め判断する能力
  • 医療現場・救急現場における豊富な経験

DMATが派遣される現場は、悲惨な状態であるケースが多くなります。助けたくても助けられない場合や、目の前で苦しんでいる方の命に順番をつけなければならないこともあります。精神的・体力的なつらさに潰されることなく、医療従事者としての使命を全うできる強さが、DMATの隊員として求められる資質です。

医療従事者がDMATとして活動するための流れ

医療従事者がDMATとして活動するための流れ

医療従事者がDMATとして活動したい場合、DMATの指定医療機関で働いていることが必須の条件となります。2022年6月時点で、全国にあるDMAT指定医療機関の数は約830です。

各都道府県に最低でも4つ以上は設置されているので、将来的にDMATへの配属を希望する方は、該当する医療機関への就職・転職を検討するとよいでしょう。

ここでは、医療従事者がDMATとして活動するための流れを紹介します。
(出典:EMIS「医療機関情報検索(一般向け)」

【推奨】救命救急または救急外来に勤務

DMATの指定医療機関で働く場合でも、救命救急または救急外来での勤務がおすすめです。DMAT隊員となるためには、DMAT隊員養成研修の受講に加えて、指定医療機関に所属する職員として、都道府県を通して厚生労働省に推薦される必要があります。

一般病棟などから推薦される方もいますが、救命救急や救急外来の勤務者のほうがDMATの隊員として選ばれる確率が高くなるでしょう。また、DMAT隊員養成研修の修了後は、即戦力メンバーとして任務に参加できる可能性も上がります。

【必須】DMAT隊員養成研修の受講

DMAT隊員になるためには、DMAT隊員養成研修の受講が必須です。研修は全国で行われているものの、すべての都道府県で常時開催されているわけではありません。早めにスケジュールを確認しておきましょう。

DMAT隊員養成研修は、全4日間の日程で各種講義・訓練・筆記試験・実技試験が行われます。事前に都道府県が認定する基礎研修を修了している場合の研修期間は、2.5日です。すべての講義・訓練を修了し、試験に合格することで隊員登録証が発行され、DMAT隊員の資格取得となります。

【必須】技能維持研修の受講

DMAT隊員は5年ごとの更新制となっています。DMAT隊員登録証が発行された後も隊員資格を維持し続けるためには、5年以内に2回以上、技能維持研修の受講が必要です。

技能維持研修は、DMAT隊員や統括DMAT登録者に必要とされる知識・技術・資質の維持や向上を目的として行われます。DMATの活動の中で新たに得られた経験や知見を隊員に周知し、今後の活動に反映させるためにも重要な研修です。
(出典:厚生労働省DMAT事務局「令和3年度 DMAT技能維持研修及び統括DMAT登録者技能維持・ロジスティクス研修実施要領」

まとめ

DMATは、医師・看護師・業務調整員で構成された災害派遣医療チームです。発災直後から被災地内外の急性期医療に携わることで、多くの方の命を守ります。DMATの隊員となるためには、DMAT指定医療機関で働くことが必須の条件です。

マイナビ看護師では、看護職専門のキャリアアドバイザーが無料で転職活動のサポートを行っています。将来的にDMAT隊員として活躍するためにDMAT指定医療機関を探したいと考える方は、ぜひマイナビ看護師へご相談ください。

※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています

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