• 2022年5月20日
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在宅看護と訪問看護は何が違う? 仕事内容や共通点を解説

 

これから看護師を目指す方だけでなく、すでに看護師として働いている方の中にも、「在宅看護と訪問看護の詳しい違いが分からない」という方はいるのではないでしょうか。2つの言葉には明確な違いがあるので、医療現場で働く際にはそれぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

当記事では、在宅看護と訪問看護の概要やメリット・デメリットを整理したうえで、それぞれの違いや共通点について解説します。在宅看護と訪問看護の両方について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

在宅看護とは?

在宅看護とは、病気や障がいを持つ方が住み慣れた自宅で療養できるように看護することを指します。医療機関への通院が困難な方や、終末期を家族とともに自宅で過ごしたいという方が主な対象です。看護は日常的なケアが中心となる一方、病気などの対応については看護師や介護福祉士、理学療法士などさまざまな職種がかかわります。

在宅看護を行う際は、各種訪問サービスの利用や、福祉用具の購入やレンタルなど、被看護者の方が安全に暮らせるような環境の整備が必要です。

在宅看護と病院医療の違い

病院医療は治療が最優先となる一方で、在宅看護は患者さんやその家族の意思に加えて、QOL(生活の質)が優先される点が異なります。在宅看護における看護師の役割は、患者さんが自分らしい人生を送れるように医療的なケアを通じて支えることです。医師と多職種の情報を「橋渡しする役割」も担います。

在宅看護は患者さんにとって、病院よりもリラックスした状態で診療や看護が受けられるメリットがあります。いつもと変わらない生活環境の中で療養できることは、精神的な安定につながるでしょう。入院や通院にかかわる家族の負担を軽くできることも、在宅看護の魅力です。

在宅看護の重要性

在宅看護の重要性が高まっている理由として、深刻な高齢化が挙げられます。厚生労働省の資料によると日本の高齢者数(65歳以上)は2025年に3,657万人となり、2042年のピークに向けてさらに増加する見込みです。

年齢を重ねると身体の機能が衰え、生活習慣病などの慢性疾患にかかりやすくなります。治療は長期化する傾向があるものの、足腰の衰えなどにより思うように通院できなくなるケースが多く見られます。終末期医療に関する調査では、「自宅で療養したい」と回答した方が国民全体の60%以上にのぼっており、在宅看護は現代の医療ニーズに適した看護形態といえるでしょう。

医療と介護が連携を図るうえでも、在宅看護は重要な位置付けです。ケアマネジャーの50%近くが「医師との連携が取りづらい」と感じている現状があります。患者さんの状態が積極的に共有される環境ができれば、医療と介護がそれぞれ最適なサービスを提供することが可能です。在宅看護の充実は、地域包括ケアシステムの実現に大きく寄与します。
(出典:厚生労働省「在宅医療・介護の推進について」

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訪問看護とは?

訪問看護とは?

訪問看護とは、自宅で継続的な療養を行う患者さんのところへ医療従事者が訪問するサービスを指します。主治医の指示にもとづき医療処置などが行われるという特徴があり、診療科目は内科系をはじめ、精神科・脳神経科・整形外科などさまざまです。

サービスは医療保険または介護保険のいずれかが適用となり、利用料金(費用)の負担割合は各地町村の地域区分などにより決まります。訪問看護を提供する拠点には、訪問看護ステーション・病院・クリニックなどがあります。
(出典:厚生労働省「訪問看護」

訪問看護の主な仕事内容

訪問看護の一般的な仕事内容は、下記の通りです。

健康状態の観察と助言 問診やバイタルチェックで健康状態を確認し、必要に応じて助言を行う
医療処置 訪問看護指示書に従い、点滴・インスリン注射・カテーテル管理などを行う
家族の支援・相談 看護するうえで分からない点などを尋ね、助言や必要な支援を行う
在宅療養上の世話 家族や介護関係者と分担して、清潔管理・食事管理・排泄管理・呼吸管理などを行う
褥瘡(じょくそう)の管理 褥瘡の処置や予防のための指導、リスク評価などを行う
認知症と精神疾患のケア 内服管理や住環境の整備、家族に対応の仕方などの助言を行う
医療機器の管理と指導 専門業者と連携して機器の管理を行うかたわら、吸引器・吸入器・酸素濃縮器・人工呼吸器などの使用方法を指導する
リハビリテーション 身体機能や嚥下機能の回復、拘縮予防や廃用症候群の予防を目的としたリハビリテーションを行う
ターミナルケア 終末期・がん末期における看取りや、家族の精神的なケアを行う

訪問看護師は、介護分野の知識や技術も必要となります。また、医療的な視点はもちろん、患者さんや家族に寄り添った視点が求められることも特徴です。

訪問看護の仕事のメリット・デメリット

訪問看護の仕事には、メリット・デメリットの両面があります。代表的なメリットは下記の3つです。

メリット
  • 患者さんとじっくり向き合える
  • 在宅医療のスキルを身に付けられる
  • ワークライフバランスの実現につながる

訪問看護では、急性期病棟よりも一人ひとりの患者さんに対して手厚いケアを行える環境にあります。知識や技術の幅が広がるので、キャリアの選択肢が広がります。残業や夜勤が少なく、プライベートを充実させやすいこともメリットの1つです。

訪問看護の仕事の代表的なデメリットは下記の3つです。

デメリット
  • オンコール対応がある
  • 自己判断と責任が求められる
  • 事故のリスクや移動の大変さがある

職場によっては患者さんの容体が急変した際に、急な訪問を行う場合があるので、休日や夜間に出勤することもあるでしょう。また、フォロー体制は整備されているものの自己判断が必要な場面もあり、責任の重さを辛いと感じる看護師の方も少なからずいます。ほかにも、自転車やバイクで訪問する場合は、悪天候時や夏場の炎天下で移動に苦労する可能性があります。

在宅看護と訪問看護の違い

在宅看護と訪問看護の違い

在宅看護は、デイケアや訪問介護サービスなどを利用しながら「家族」がケアを行います。一方、訪問看護は看護師などの「スタッフ」によるケアが中心となります。

患者さんの立場から見た場合、「医療行為が受けられるかどうか」が最大の違いです。在宅看護と訪問看護では言葉の意味合いだけでなく、その性質が大きく異なることを認識しておきましょう。

在宅看護と訪問看護には共通点もある!

在宅看護は基本的に家族が行うものの、看護師が自宅まで出向くこともあります。こうした状況を踏まえて見えてくる在宅看護と訪問看護の共通点は、以下の2点です。

【向いている方の特徴】

在宅療養を行う方に対して献身的な姿勢であることはもちろん、生活に寄り添ったケアを行いたいと考えている方が適任です。また、内部・外部の関係者に対して、積極的にかかわりが持てる方も向いています。そのほか、挨拶やマナーを大切にできることも必須です。訪問看護師を検討する際には、自分の性格やタイプを十分に考慮しましょう。

【服装を選ぶときの注意点】

立場や職種を問わず在宅療養に携わる方は、服装を選ぶ際に下記の点に気を付ける必要があります。

  • 清潔感があること
  • 動きやすいこと
  • 色が派手すぎないこと
  • 手入れが楽にできること

相手に不快な思いをさせないためには、汚れやシミなどが目立つ服を避けることが大切です。スムーズにケアができるよう、動きやすさも重視しましょう。

訪問看護師が着る服としては、移動のしやすさからパンツタイプがよく選ばれます。ブラウンやグレーなど、落ち着いた印象を与える色の服がおすすめです。

まとめ

在宅看護とは自宅で療養をする方に対する看護であり、訪問看護はその一環として利用される医療サービスを指します。近年の高齢化に伴い、訪問看護の需要は今後も高まるでしょう。在宅看護と訪問看護はケアを担う方が異なるだけでなく、医療行為の有無も違いとして挙げられます。

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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

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