• 2022年4月14日
  • 2022年5月17日

看護師に暴言を吐く患者さん…。師長のフォローも手薄だし、どう対応すれば?

 

患者さんからの度重なる暴言やモラハラ、看護師はどう対応するべき?この悩みに対して僧侶の大愚和尚、作家のワーママはる(尾石晴)さん、ブロガーのDJあおいさんの3人のスペシャリストがアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

oishi haru/尾石晴さん
作家・Voicyトップパーソナリティ・兼業大学院生・オンラインヨガ『ポスパム』代表と、さまざまな顔を持つ二児のママ。

DJあおいさん
作家・アルファツイッタラー・人気ブロガー

大愚元勝さん(大愚和尚)
僧侶・佛心宗大叢山福厳寺住職・作家

看護師に暴言を吐く患者さん。どう対応すれば?

質問者

モラハラ患者に困っています。

私は急性期病棟で勤務しているのですが、入院期間が3ヶ月と長期になってきた70代の男性患者さんが暴言を吐いてくるんです。

看護師判断が可能な処置に対して「看護師がしてはいけない」と決めつけ、「看護師に言っても意味ない」「看護師の言うことなんて聞くわけない」と処置を拒否します。

特に20代看護師に対しては「若いから分かってない」「出ていけ」と一刀両断。自己解釈と偏見がとにかくすごくて、看護師のいうことを全く聞いてくれないんです……。

主治医へ早期の退院依頼はしているのですが、「もう少しかかるから我慢して」と取り合ってくれません。

病棟師長は「大変だよね」と言いますが、患者さんに対して何か言ってくれる訳ではありません。泣き出す1年目看護師もいます。 

もうどうしたらいいのか分かりません…。

出典:カンゴトーク

スペシャリスト3人のアドバイスは?

作家
oishi haru/尾石晴さん

暴言は精神的なダメージが尾を引くのでつらいですよね。上司や組織がフォローしてくれないのは困りものです。

70代男性患者さんということですので、おそらく加齢に伴い怒りをコントロールしている脳の前頭葉抑制が利きづらくなって“キレる老人化”していることも考えられます。

また、「看護師の言うことなんか」「若い看護師なんか」などの発言から察するに、この患者さんは“立場重視型”で、社会的承認(=あなたはすごい)を求めているのではないでしょうか。

つまり、“俺はすごいのだから「看護師」や「若輩者」ではなく「医者」が対応しろ”ということです。

この手の人は「敬い」や「尊重」を感じると態度が柔らかくなる傾向にあります。

やりこめたい気持ちもあると思いますが(本当は「うるせー」と言ってやりたい。笑)、こちらが一枚ウワテになりましょう。

具体的には、「〇〇さんのご指摘はごもっともでしたので、今日から手技がいちばん上手い看護師が対応しますね」など、いなす対応されてはいかがでしょうか。もちろん、これは通常勤務対応の範囲で行ってくださいね。

その患者さんが早く退院される日を願っています。

 

人気ブロガー
DJあおいさん

「入院」というと、患者さんの身になってみれば、健康面での不安もあるでしょうし、環境の変化というストレスもあるでしょうから、やり場のない苛立ちが募るのも分からなくはないですよね。

人は自分が抱えている痛みを他者に分かってもらいたいという欲求があります。

本来なら素直な気持ちを吐露すればいいだけの話なのですが、プライドが高い人はなかなかそれができないんです。

その代わりに、自分の抱えている痛みと同じだけのストレスを違う誰かに与えようとしてしまう。

「私はこれだけストレスを抱えているのですよ」と他者に知らしめるかのように、いちいち反発心を煽るようなことを言ってしまう。

その言葉が辛辣であればあるほど、それだけその人のメンタルはボロボロだということです。

できることなら、その声にできない気持ちに寄り添ってあげてほしいところですが、あまりにひどいようなら“スルースキル”で対応してください。

たとえその患者さんに何を言われても、反発することなく「貴重なご意見ありがとうございます」とありがたく頂戴しておくこと。

頂戴してしまえばもう自分のものですから、あとは家に帰ったらその貴重なご意見をゴミ箱へダンクすればいいだけですよ。

 

僧侶
大愚和尚

どんなに健康に見える心にも、毎日毒素が発生しています。
例に漏れず、この患者さんの心にもです。

仏教ではこれらの毒素を「貪瞋痴(とんじんち)」と呼ばれる3つに大別しています。

貪は、「こうしたい」という欲
瞋は、貪が満たされないと生じる怒り
痴は、知恵がない(無知)によって生じる妄想、思い込み
などです。

入院が長期に渡るほど身体に不調がある患者さんは、必ず心にも不調をきたし、貪瞋痴は増大しやすくなります。

体の不調だけなら看護師さんもサポートできますが、心が病気の人を受け入れることは大変です。

しかし、病院であるがゆえに、そうした病人を受け入れざるを得ないと腹を括ることも必要でしょう。

そのためにもまずは「この患者さんの心は病気なんだ」と知ることです。

患者さんのいなし方が上手な先輩たちにアドバイスを受けながらも、そうやって自分の心をしっかり守ってください。

そして、覚えておいてほしいのが、患者も医療者も、私たちはみな老病死から逃れることはできないということ。

その患者さんと同じような状況が、自分の親にも、そして自分自身にも訪れる日がいつか来るかもしれない。だからこそ今、受け止めて学ぶ機会だと割り切ってみるのも一つの手といえるでしょう。

三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 身体的不調は心も蝕みやすいもの。患者さんの怒りの背景に想像力を働かせつつ、自分の捉え方ひとつ、対応の仕方ひとつ変えてみると、状況を改善することができるかもしれません。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)


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oishi haru/尾石晴さん
作家/Voicyトップパーソナリティ/元子持ち女性管理職
外資系メーカーに16年勤務。子持ち管理職経験を持つ。ワンオペ育児の合間に、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター・ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を複数確保。2020年4月退職。音声メディア「Voicy」では1,500万回再生超えのトップパーソナリティとして活躍中。SNSの総フォロワー数は7万人超え。現在は雑誌「レタスクラブ」での連載など文筆活動の傍ら、2020年ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。『ワーママはるのライフシフト習慣術』など。
 Twitter:https://twitter.com/wa_mamaharu

DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。

Twitter:
https://twitter.com/djaoi
https://twitter.com/DJ_aoi

大愚元勝(大愚和尚)
佛心宗大叢山福厳寺住職/(株)慈光マネジメント代表取締役/慈光グループ会長
僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、経営者、作家などの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語 』(扶桑社)など著書多数。
Twitter:https://twitter.com/Taigu_gensho

著者プロフィール