患者からのセクハラ、毅然とした態度でいても防げない……このお悩みに対してスポーツメンタルコーチの鈴木颯人さん、ブロガーのDJあおいさん、産業医の井上智介さんの3人のスペシャリストがアドバイスします!
イラスト:菜々子
今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち
鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事
作家・アルファツイッタラー・人気ブロガー
井上智介さん
産業医・精神科医・yahoo!ニュース公式コメンテーター
患者からのセクハラ、看護師はどう対処すべき?
毅然とした態度で「やめてほしい」ときっぱり伝えても、やめてくれない時はどうしたらいいと思いますか?
相手の思う壺かもしれないですが、大ごとにはしたくありません。
出典:マイナビ看護師
スペシャリスト3人のアドバイスは?
「1人で頑張らない」、これがポイントだと思います!
まずは大前提として、職場で相談できる人がいたら相談し、担当を変えてもらえるのであれば変えてもらいましょう。その上で、自分自身がセクハラに対してどんな心持ちでいるかが重要になります。
アスリートの世界では、師弟関係内のパワハラ問題がメディアでも取り上げられるようになりました。これまでのスポーツの世界では我慢することしか出来なかったのですが、被害者が告発することで選手を守ろうとする世の中に変わってきています。
ハラスメントをされると、ついその場をどう切り抜けるかを考えがちですが、根本的に改善しなければ、また別の患者さんからセクハラを受ける可能性もあります。
大ごとにしたくない気持ちもわかりますが、決して自分だけで頑張ろうとせずに、周りの行政や相談窓口にも相談し、世の中全体を巻き込みながら変えていく気概でいましょう。
セクハラはいけないこと、社会的制裁を受けるようなこと、それはどんな低俗なスケベオヤジでも知っていることです。
しかしセクハラをする男性のほとんどは、自分の行いがセクハラであるという自覚はありません。セクハラの定義に抵触しない程度の、ちょっとした悪ふざけのつもりなのです。
時代と共に価値観も変化して、その都度個々人の価値観も時代に合わせてアップデートしていかなければならないのですが、セクハラをする男性の多くは10年前20年前の価値観からアップデートされていません。
昔は許されたであろう行為が今はセクハラと定義付けられていることを知らないのです。だから、それがセクハラであると分かるまでは無自覚にセクハラを続けてしまうのです。
つまり、大事なのはその行為がセクハラであると知らしめること。
セクハラをした患者さんに対して怒ったりなだめたりするよりも、「それってセクハラですよ、今後は気を付けてくださいね」と、ハッキリと『セクハラ』というワードを入れて注意することですね。
医療人は患者さんに寄りそうことが当然ですよね。とくに入院になると、寝食の時間を共有するので心理的な距離も近くなり、あなたが大ごとにしたくない気持ちも理解できます。
しかし、患者さんは神様ではないですし、何をしても許されるわけではありません。ハラスメントは決して個人間のトラブルではなく、企業(病院)として取り組むべき由々しき重大な問題です。
まずは、あなたの上司に相談しましょう。残念ながら「あなたも隙があるからダメなのよ」と突き放すような、あなたの苦しみに共感できない上司もいます。それでもあきらめずにもっと上の人に相談して、最低でも3人にはSOSを出してください。あなたのつらさを理解し、対策を講じてくれる人がいるはずです。
もし、だれも真剣に向き合わないようなら、スタッフの人権や尊厳を軽視している職場であり、あなたがそこで働き続ける意味は薄いでしょう。自分で自分を守ることも忘れないで。
三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 今後もセクハラしてくる患者さんと顔を合わせていかなければならないことを考えると、穏便に済ませたいと考えがちですが、セクハラを我慢することは看護師の仕事ではありません。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。
企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)
鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事
1983年、イギリス生まれの東京育ち。脳と心の仕組みを学びながら、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。金メダリストから学生アスリートまで、野球、サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによってパフォーマンスを激変させるアスリート、チームを輩出。著書に『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)、『一流を目指すメンタル術』(三五館)など。
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。
井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
産業医・精神科医。大阪府在住。島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、赤縁の眼鏡、金色のアフロヘアと白衣姿でSNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。