• 2021年12月20日
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精神科看護師はきつい? 仕事内容・給料・向いている人を解説

 

精神科の仕事は「きつい」「大変」と考えている方は多いのではないでしょうか。精神科看護師の仕事は特徴的なため、難しいと感じる方もいるでしょう。

この記事では、精神科看護師の役割や給料事情、あるあるを紹介。向いている人の特徴やスキルアップに役立つ資格も解説しているので、精神科看護師の仕事に興味のある方はぜひ参考にしてください。

精神科看護師の役割・仕事内容

精神科は、ほかの診療科に比べて医療行為が少ないのが特徴です。そのため、看護師は主に心のケアやセルフケアのサポートといった患者に寄り添った対応を求められています。

ここでは、精神科看護師ならではの役割や仕事内容について紹介します。

コミュニケーションによる患者の心のケア

精神科ではうつ病や統合失調症、摂食障害、強迫性障害、認知症、依存症など、「心の病気」と呼ばれる疾患が診療の対象です。そのため、ほかの診療科に比べてコミュニケーションによる患者の心のケアに重きを置いています。

患者によっては意思の疎通が難しかったり、つねに不安を抱えていたりする場合があります。また、なかには疑心暗鬼になって治療を拒否する患者もいます。

治療をしっかりと受けてもらうためにも、まずは信頼してもらうことが重要です。そのため、看護師と患者のコミュニケーションは、精神科においてとても重要な意味を持ちます。

患者の状態の観察・判断

精神疾患を持つ患者の中には、自分の体調や心情についてうまく言葉で伝えられなかったり、自覚できなかったりする人がいます。また、治療を受けたくないがために嘘の申告をする人もいます。

そのため、看護師が日頃から患者の様子を観察して、状態を把握しておくことが大切。患者に異変があったときには、医師にすぐ報告をして適切な治療を施します。

与薬

精神科では薬物治療がメインです。薬の管理や与薬は看護師が行います。

患者によって薬を飲むことを拒否する人もいれば、逆に過剰摂取をする人もいます。そのため、看護師による薬の管理はとても重要です。規定量の薬を渡すだけでなく、きちんと飲み込んでいるかまでを確認します。

また、点滴で与薬する場合も注意が必要です。点滴の針を抜くだけでなく、なかには針やチューブを使って自傷行為をしてしまう患者もいます。ほかの患者に危害を及ぼす可能性もあるため、点滴投与は必ず看護師の目の届く範囲で行います。

日常生活のサポート

精神科では入浴介助やトイレ誘導、歯磨き、整髪、買い物代行、お金の管理など、ありとあらゆるサポートを行います。ほかの診療科で入浴介助やトイレ誘導などをすることはあっても、買い物代行やお金の管理をすることはほぼないでしょう。

これらのサポートは、患者が社会復帰をするためのリハビリでもあります。そのため、必要以上に介入しすぎず、患者の生活をフォローするといったスタンスで行うことが大切です。

精神科看護師の1日のスケジュール

精神科看護師のスケジュール

ここでは、精神科看護師がどのように働いているのか1日のスケジュールを日勤と夜勤に分けて紹介します。

精神科看護師の日勤のスケジュール

精神科看護師の日勤のスケジュールは、以下のとおりです。

8:00 出勤 患者のカルテを見て、情報収集を行う
8:30 申し送り 夜勤の看護師から申し送りを受け、全スタッフで情報を共有する
9:00 ラウンド 病棟内をラウンドし、バイタル測定・与薬・内服確認・検査介助などを行う
12:00 昼食介助 食事の摂取確認および誤嚥がないか見守りながら介助をする
12:30 休憩 交代で休憩を取る
13:00 ラウンド 病棟内をラウンドし、コミュニケーションを取りながら与薬・内服確認を行う
15:00 介助 入浴介助や清潔ケア、カウンセリングなどを行う
16:00 記録 看護記録を記入する
16:30 申し送り 夜勤の看護師へ申し送りを行う
17:00 退勤

医療機関によっては、午後に機能訓練やレクリエーションを行うところも。患者と密に関わる場面が多いため、特にコミュニケーション能力が必要とされます。

精神科看護師の夜勤のスケジュール

精神科看護師の夜勤のスケジュールは、以下のとおりです。

16:00 出勤 患者のカルテを見て、情報収集を行う
16:30 申し送り 日勤の看護師から申し送りを受け、全スタッフで情報を共有する
17:00 ラウンド 病棟内をラウンドし、患者の様子を観察する
18:00 夕食介助 食事の摂取確認および誤嚥がないか見守りながら介助をする
18:30 バイタル測定・点滴 バイタル測定や点滴、検査データの確認を行う
19:00 休憩 交代で休憩を取る
20:00 就寝前のケア 眠前薬の与薬やおむつ交換、歯磨き介助などを行う
21:00 消灯 ラウンドして、患者の様子を観察する
1:00 仮眠 交代で仮眠を取る
3:00 ラウンド 病棟内をラウンドし、患者の様子を観察する
6:00 点灯 ラウンドして患者を起こしながら、様子を観察する
7:00 朝食介助 食事の摂取確認および誤嚥がないか見守りながら介助をする
8:30 申し送り 日勤の看護師へ申し送りを行う
9:00 退勤

夜勤帯では不穏になる患者も多いため、患者が寝ている間もラウンドは頻繁に行います。なかには、看護師が来ない時間を見計らって自傷行為をする患者もいるので、病室に行く時間はあえて固定しないよう工夫する医療機関もあるようです。

精神科看護師の給料

精神科看護師の給料

精神科看護師の給料は、ほかの診療科の看護師とそれほど差はないと考えられます。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、看護師の平均給料は33万8,400円、賞与が85万7,500円。よって、平均年収は491万8,300円です。

このことから、精神科看護師の給料は30万円前後、年収は400万円から500万円程度といえるでしょう。ただし、精神科看護師は緊急のオペや急患が少ない分、残業も少ないといわれています。勤める医療機関によって異なりますが、時間外手当がつかない分、残業の多い看護師よりも給料が少ない可能性があります。

なお、精神科認定看護師や公認心理師、臨床心理士などの資格を有していれば、資格手当がつく場合も。給料アップのために、資格取得をめざすのも良いでしょう。

【参照元】厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況

精神科看護師のメリット・デメリット

精神科看護師の女性

精神科看護師の役割・仕事内容で述べたように、精神科はほかの科とは一線を画す診療科です。そのため、精神科ならではのメリットもあれば、大変なことやきついと感じることもあります。

以下では、精神科で働く看護師のメリット・デメリットについて紹介します。

メリット

精神科ではコミュニケーションによる心のケアに重きを置いているだけに、患者一人ひとりにじっくりと寄り添った看護が可能です。さらに、精神疾患の治療はほかの診療科の疾患に比べて長期にわたります。退院したあとも通院が必要な患者もいれば、再度入院する患者もいるのです。多くの患者とは長期間関わりを持つため、信頼関係も生まれやすいでしょう。

また、精神科では緊急入院や急変が発生する場面は多くありません。比較的残業が少ないため、プライベートを充実させたい方や育児と仕事を両立させたい方には、働きやすい職場といえます。さらに、医療処置もほかの診療科に比べて少ないため、ブランクがある看護師の方の復帰先としてもおすすめです。

デメリット

精神科では投薬治療がメインとなるため、医療処置を行うことはほとんどありません。そのため、看護スキルは習得しづらいといえます。さらに、最新の医療技術や医療機器に触れる機会も少ないのが現状です。看護師としてのスキルアップをめざす人にとっては、もの足りないと思うこともあるでしょう。

また、精神的に不安定な患者とコミュニケーションを取るのは、容易なことではありません。意思の疎通ができないだけでなく、暴言を言われたり、ときには暴れられたりなど体力的にも精神的にも負担は大きいです。患者の言動に振り回されて、ストレスを抱える看護師も少なからずいます。

精神科看護師のあるある! 病むって本当?

ここでは、精神科看護師のあるあるを紹介しています。

精神科看護師として働いていれば、「あるある! 」と感じることがあるようです。実際の現場の様子を想像しながらご覧ください。

  • 認知症の患者さんが、ラウンドをする私(看護師)を見て「泥棒‼︎ 泥棒‼︎ 」と連呼した
  • 認知症患者の部屋にラウンドで入ったら、「一体誰なの⁈ 」と大声を出された
  • 点滴をするときに腕を押さえたら、つねられ、叩かれ、噛まれました。まだ内出血しています
  • ケアのときに、患者さんにメガネを取られたり投げられたりするのでコンタクトにしています
  • チューブ抜去防止や転落防止などのために身体抑制をしています
  • 開放病棟の患者さんが、タクシーに乗って無断で自宅に帰ってしまった
  • 定時前には手を洗って帰る準備ができる

精神疾患のなかでも、特に認知症患者から看護師として認識されないという声が多くありました。疾患の特性上しょうがないことですが、慣れないうちは落ち込んでしまう看護師の方もいるようです。

また、暴力をふるってしまう患者も多いため、患者の周囲に危険を及ぼす物は置かないのはもちろん、医療機関によってはナース服のポケットにハサミを入れないように徹底しています。なかには、メガネではなくコンタクトにする看護師もいるようです。

大変なイメージを受ける「あるある」が多いですが、緊急入院や急変が少ない精神科の特性上、残業が少ないという声も聞かれました。

精神科看護師の向き・不向き

ここでは、精神科看護師に向いている人と不向きな人の特徴を紹介します。精神科看護師をめざしている人は、ぜひ参考にしてください。

精神科看護師に向いている人

精神科看護師に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 精神的にタフである
  • 根気強く気長に向き合える
  • 観察力がある
  • 人とコミュニケーションを取るのが好き

精神科には、心ない言葉を投げかけたり暴力的な行動を起こしたりする患者もいるため、真に受けすぎずに割り切れる性格の人のほうが働きやすいでしょう。また、そういった患者に対して根気強く気長に向き合える人が向いています。

なお、自身の症状や心情をうまく言葉で伝えられない患者も多いため、観察力とコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。

精神科看護師に不向きな人

精神科看護師に不向きな人の特徴は、以下のとおりです。

  • 看護技術の習得に魅力を感じる
  • 人と話すのがあまり得意ではない
  • 患者の言動を気にしすぎてしまう

先進医療に触れることや看護技術の習得に魅力を感じる人は、精神科の業務にもの足りなさを感じる可能性があります。

また、コミュニケーションを取るのが苦手だったり患者の言動を気にしすぎたりする人は、ストレスを溜めてしまう場合も。患者と意思疎通がうまく取れないことに悩んでしまい、辞めたいと思う看護師もいるようです。

精神科看護師になるには

精神科看護師の勉強をしている女性

疾患の特性上、大変なことも多い精神科ですが、残業が少ないことや患者とじっくり関われるといったことから、精神科看護師になりたいという方は多くいます。

ここでは、精神科看護師のなり方や志望動機例、スキルアップに役立つ資格を紹介します。

特別な資格は必要ない

精神科看護師になるために、特別な資格は必要ありません。看護師免許があれば、精神科看護師になれます。

高齢者が増加している近年は、認知症患者も増加傾向に。そのため、精神科看護師のニーズも高まっています。精神科看護師をめざしている方は、積極的に求人に応募すると良いでしょう。

なお、精神科看護師を募集している求人では、精神科での看護経験を問わないものも多く見受けられます。そのため、新卒で精神科看護師として活躍することも可能です。

精神科看護師をめざす際の志望動機例

ここでは、精神科看護師をめざす際の志望動機例を、新卒者用と転職者用の2つに分けて紹介します。志望動機を考える際の参考にしてください。

・精神科看護師をめざす新卒者の志望動機例

私が精神科看護師を志すようになったのは、精神看護学実習がきっかけです。同じ疾患でも患者さまによって症状やケアをしたときの反応が異なるため、医療的な技術以上にコミュニケーション能力が重要だと身を持って感じました。患者さまに真摯に向き合ってケアをすることで、実習が終わる頃には笑顔を見せてもらえるまでになりました。

貴院は精神科専門病院として治療をするだけでなく、心の込もったケアを行うことを重視されています。患者さまが安心して治療に専念できるようなコミュニケーションの取り方を磨いていきたいと考え、貴院を志望いたしました。

・精神科看護師をめざす転職者用の志望動機例

私は消化器内科の病棟で4年間勤務してきました。看護を行ってきたなかで、患者さまに心を開いていただくと同時に、病状が回復していくことが何度かありました。このことから、心と体には深い関係があると実感し、精神科看護師をめざすようになりました。

私は4年間の病棟勤務で、患者さまのわずかな変化も見逃さない観察力を養えたと自負しています。精神科専門の貴院でも、観察力を活かし一人でも多くの患者さまの回復に貢献したいと考えています。

精神科看護師のスキルアップに役立つ資格

精神科看護師としてスキルアップをめざすのであれば、精神科認定看護師や公認心理師、臨床心理士の資格を取得するのがおすすめです。

・精神科認定看護師

精神科認定看護師は、一般社団法人日本精神科看護協会が認定する資格です。

看護師として5年以上の実務経験と、そのうち3年以上の精神科看護実務経験があれば出願可能です。精神科認定看護師教育課程を修了後に精神科認定看護師認定試験を受けて合格すれば、資格を取得できます。

【参照元】一般社団法人 日本精神科看護協会 精神科認定看護師制度

・公認心理師

公認心理師は、国内初の心理系の国家資格です。2018年9月に第1回公認心理師試験が実施されました。

公認心理師の資格試験を受験するには、基本的に大学または大学院で指定科目を履修する必要があります。受験までのプロセスは容易ではなく、試験の合格率も高いとはいえません。しかし、国家資格であるため、取得をしたら活躍の場は広がるでしょう。

【参照元】厚生労働省 公認心理師
           公認心理師の資格取得方法について

・臨床心理士

臨床心理士は、心理系の民間資格の中では最も知名度が高いといえるでしょう。1988年に第1回目の試験が行われ、2021年4月1日時点で38,397人が臨床心理士として認定されています。

臨床心理士の資格試験を受験するには、指定大学院または専門職大学院を修了している必要があります。

【参照元】公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会 臨床心理士とは

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まとめ

近年は、ストレス社会によって心に問題を抱える人が増えています。また、高齢化に伴い認知症患者も増加傾向にあります。そのため、精神科病院および精神科看護師の需要は、今後さらに高まるでしょう。

精神科看護では、コミュニケーションによる患者の心のケアに重きを置いています。人とコミュニケーションを取るのが好きな方や根気強く患者に向き合える方は、精神科看護師に向いているでしょう。

精神科看護師をめざす方は、マイナビ看護師にご相談ください。

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