看護師と一口にいっても、外来看護師や病棟看護師、救急看護師など、その種類はさまざまです。近年は高齢者人口が増加していることもあり、介護施設や訪問看護ステーションで活躍する看護師も多くいます。
では、働く場所によって看護師の仕事内容に違いはあるのでしょうか。この記事では、職場ごとに異なる看護師の仕事内容について解説します。看護師に必要なスキルや得られる経験についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
看護師の具体的な仕事内容にはどんなものがある?
看護師には、医療施設をはじめ美容クリニックや介護施設、訪問看護、学校、企業など、さまざまな職場があります。「医師の診察補助と患者さんのサポート」はどの職場でも共通していますが、そのほかの仕事内容は異なります。
それでは、職場ごとに看護師の仕事内容を見ていきましょう。ここからは、下記7つの職場ごとにおける看護師の業務内容を詳細に説明します。
(1)外来看護師の仕事
(2)病棟看護師の仕事
(3)手術室看護師の仕事
(4)救急看護師の仕事
(5)美容クリニックで働く看護師の仕事
(6)訪問看護師の仕事
(7)保育園看護師の仕事
外来看護師の仕事
病院やクリニックで医師の診察補助をするのは外来看護師の仕事です。仕事内容は医師の診察補助を含め、主に以下の4つが挙げられます。
【外来看護師の仕事内容】
- 医師の診察補助
- 療養相談や指導
- 事務作業
- 病棟との連携業務
医師の診察補助では、患者さんの服を脱がせる・患部が見えるようにするなど、医師が診察しやすいようにサポートします。事前に、患者さんから主な症状や家族の既往症を聞き出すことも仕事の1つです。
療養相談や指導は、医師の診察後に患者さんに対して行います。服薬方法や食事制限などの指導や、医師に直接聞きづらかったことへの回答も看護師の役割となります。
規模の小さいクリニックなどでは事務作業も看護師の仕事です。入院施設のある病院では、ベッド状況の問い合わせなど病棟との連携業務も行います。外来看護師についてさらに詳しく知りたい方は、下記もチェックしてみましょう。
病棟看護師の仕事
病棟で入院患者さんを看護するのは、病棟看護師の仕事です。入院生活のすべてをサポートするため、仕事内容は多岐にわたります。
【病棟看護師の仕事内容】
- 検温
- 食事介助
- 排泄介助
- 血液検査や尿検査
- 注射
- 点滴や薬の管理
- 検査についての説明
- 診察や検査をする場所への移動介助
- メンタルサポート
夜勤時には、病棟の見回りも行います。患者さんが急変した場合は、担当医や当直医に連絡して判断を仰ぎます。
入院患者さん本人だけでなく、家族の相談相手になることも仕事のひとつです。また、患者さんの入院生活に密着するためクレーム等を受ける場合がありますが、担当患者さんから直接感謝されることも度々あります。夜勤手当が支給されるため、稼ぎやすいことも特徴です。病棟看護師についてさらに詳しく知りたい方は、下記もチェックしてみましょう。
手術室看護師の仕事
手術室看護師の仕事内容は、主に「器械出し看護(直接介助)」と「外回り看護(間接介助)」です。
器械出し看護とは、手術の様子を見ながら執刀医に必要な器具や機材を渡すことです。正確さやスピードはもちろん必要ですが、何より冷静さと確実な技術が求められます。医療器具は日々進歩しているため、情報収集を怠らないことも重要です。
外回り看護とは、器械出し以外の仕事を指します。手術中の記録や患者さんの体位変換、ガーゼ数のカウント、薬剤管理など多くの仕事を進めます。
手術室看護師には、緊急手術に対応できるように「自宅待機(オンコール)」と「当直」があることも特徴です。待機時間は長いものの、手術がなければ土日祝日は休めることがほとんどです。手術室看護師についてさらに詳しく知りたい方は、下記もチェックしてみましょう。
救急看護師の仕事
救急看護師の仕事内容は、救急外来での初期治療や検査、診療の補助です。必要に応じて医療機器を準備したり、検査や緊急手術に備えたりもします。
救急外来には、緊急性の高い状態の患者さんが運ばれてきます。そのため、スピードや高度な判断力が求められることが特徴です。
救急外来にはいろいろな診療科の患者さんが来るため、幅広い知識を身に付ける必要もあります。重篤な患者さんの家族をケアすることも救急看護師の仕事です。検査や手術の終了時間を伝える・不安を取り除くなどして、家族をサポートします。
救急外来は24時間体制のため、夜勤があることがほとんどです。なお、病院だけでなく、ドクターヘリで現場に駆けつける救急看護師もいます。
美容クリニックで働く看護師の仕事
美容クリニックで働く看護師の仕事内容には、以下のようなものがあります。
【美容クリニックで働く看護師の仕事内容】
- 受付
- 電話応対
- カウンセリング
- 注射
- レーザー照射
- 手術介助
- 器具の準備
- クリニック内の清掃
美容クリニックの看護師は、給与水準が高い傾向にあることが魅力です。一方で、クリニックによっては営業ノルマを課される場合もあります。
美容クリニックには、「美容整形外科」と「美容皮膚科」の2種類があることも特徴です。
入院施設を完備している美容整形外科では、夜勤や残業が発生する場合もあります。美容皮膚科では手術をしないため、残業は少なめです。
美容クリニックは自由診療のため、診療料金を自由に設定できます。そのため、給与水準が高めなことが魅力です。美容クリニックについてさらに詳しく知りたい方は、下記もチェックしてみましょう。
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訪問看護師の仕事
訪問看護ステーションに勤務する看護師の仕事内容は、医師の指示書を元にした医療処置や、利用者さんの日々の健康管理です。
病院などで働く看護師とは異なり、訪問看護ステーションから直接利用者さんの住む場所に出向いて仕事をすることが特徴となっています。
医療処置では、カテーテルの交換やインシュリン注射、血糖値測定、点滴などを行います。そして健康管理では、体温や血圧、脈拍などを測定して記録します。終末期を迎えている利用者さんに対して、痛みの緩和処置を行うことも特徴です。
「自宅待機(オンコール)」があるものの、夜勤は発生しません。時間を調整しやすいため午後のみ働く、週4日だけ働くことも可能です。
訪問看護をもっと知りたい方には、次の記事もチェックしてみてください。
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保育園看護師の仕事
看護師のなかには保育園で働く人もいます。以下が主な仕事内容です。
【保育園で働く看護師の仕事内容】
- 子どもの健康管理
- 職員の健康管理
- 保護者への保健指導や情報提供
子どもの健康管理では、保育園内の衛生状態のチェック、健康診断の補助、アレルギーを持つ子どもへの対応などを行います。もちろん、子どもが体調を崩したときの対応も必須です。子どもが体調を崩したときには、保護者への連絡や医師との相談も行います。
職員の健康管理では、健康診断の際に病院との連絡役を務めます。子どもや保護者へ保健指導が必要なときには、事前に職員に内容を説明することも仕事の1つです。
保護者への保健指導や情報提供とは、「保健だより」などを発行して、感染症などについて注意喚起することです。加えて予防接種の情報提供も行います。
看護師の1日のスケジュールは?
病棟で働く看護師は、患者さんの看護を24時間365日体制で行います。そのため、日勤と夜勤があることが特徴です。ここでは、日勤で働く看護師と夜勤で働く看護師に分けて、1日の勤務スケジュールを具体的に紹介します。
日勤 | |
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8:00~9:00 |
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9:00~11:30 |
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11:30~ |
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13:00~13:30 |
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13:30~15:00 |
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15:00~16:00 |
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16:00~17:00 |
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17:00 |
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夜勤 | |
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16:00~17:00 |
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17:00~18:00 |
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18:00~19:30 |
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19:30~20:00 |
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20:00~21:00 |
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21:00~21:30 |
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21:30~ |
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6:30~7:00 |
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7:00~8:00 |
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8:00~9:00 |
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9:00 |
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なお、職場によっては3交代制勤務として「日勤」と「準夜勤」「深夜勤」に分けられるケースもあります。3交代制の準夜勤と深夜勤の場合、夜勤帯の勤務時間は上記に挙げた夜勤スケジュール(2交代制勤務)よりも短くなることが特徴です。
看護師の夜勤は大変?

看護師は、職場によって夜勤の必要性も発生します。普段であれば睡眠している時間に勤務することとなるため、「大変なのではないか」と考える方もいるでしょう。
ここからは、夜勤の頻度や夜勤のメリットとデメリットについても説明します。
夜勤の頻度は?
マイナビ看護師が公表している「看護師白書(2020年度版)」の調査では、1か月あたりの平均夜勤数は「4~5回」であるという職場が約6割を示していることが分かります。
前述の通り、夜勤をすれば夜勤手当が得られます。夜勤1回ごとに手当は発生するため、月に5回夜勤をすれば、5回分の夜勤手当が得られるということです。夜勤1回あたりの平均手当額は「10,000~10,999円」の職場が最も多いものの、具体的な金額は職場によって大きく異なります。15,000円以上の夜勤手当が得られる職場も全体の15.7%と、決して少なくありません。
(出典:マイナビ看護師「看護師白書 2020年度版」)
夜勤のメリットとデメリット
夜勤には、いくつかのメリットがある一方で、当然デメリットも存在します。
夜勤をするメリット |
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夜勤をするデメリット |
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看護師に必要なスキルは?
看護師として働くためには、国家資格である看護師免許(看護師資格)が必要です。看護師資格を取得するためには、看護師国家試験の受験資格を満たしたうえで、国家試験に合格する必要があります。受験資格の一般的な取得ルートは、下記の通りです。

看護師国家試験に合格すると晴れて看護師として働けますが、幅広いフィールドで活躍するためにはさまざまなスキルを積むことが大切です。ここからは、看護師として活躍するために必要なスキルを5つ紹介します。
コミュニケーション能力
看護師は、患者さんのニーズを常に理解しながら、それを業務に活かす必要があります。患者さんのニーズをしっかりと把握するためには、日々のコミュニケーションが欠かせません。そのため、看護師にとってコミュニケーション能力は重要性の高いスキルです。
コミュニケーション能力といっても、会話を盛り上げるためのスキルではありません。患者さんとの信頼関係を築くためのスキルです。マナーを守った接し方はもちろん、患者さんの話を最後までしっかり聞いてあげるスキルが最も大切といえるでしょう。
向上心
医療技術は日々進歩しており、看護のあり方も時代とともに変化します。今後も活躍し続け、より求められる看護師になるためには、高い目標を掲げて日々スキルを磨き続けられる「向上心」が必要です。
日本看護協会では、スキル向上を図るためのさまざまな看護研修を実施・開催しています。研修はほとんどがパソコンやスマートフォンから参加できるオンライン配信・オンデマンド研修となっているため、自身の掲げる目標に適した研修に一度参加してみてはいかがでしょうか。
(出典:日本看護協会「研修ポータルサイト」)
体力
看護師は日勤・夜勤とで勤務時間が不規則となったり、緊急対応や患者さんの生活介助で日々走り回ったりする必要があるため、体力が必要不可欠です。なかには、体力面を理由に転職する看護師も少なからず存在します。
体力をつけるためには、できる限り健康的な生活をしましょう。1日3食の食事でしっかり栄養をとることはもちろん、普段からストレッチ・トレーニングなどで全身を動かすなどして、日々の業務に体力が追い付かなくなる状況をつくらないようにすることが大切です。
精神力
看護師は、ほかの職種と比較して仕事量や仕事幅の変化が大きいとされています。したがって職業性ストレスを感じやすく、看護業務のストレスで休職や転職をする方も少なからず存在します。
看護師として長く働き続けながら着実にスキルアップ・キャリアアップを目指すなら、精神力も必要といえるでしょう。
(出典:日本看護協会「メンタルヘルスケア」)
責任感
看護師は患者さんの生死に関わる仕事です。1つのミスで重大な問題に発展する可能性があることから、責任感も重要な要素といえます。
看護師のやりがいは?

仕事量の多さや夜勤など大変なことはたくさんありますが、看護師だからこそ得られるものもあります。
【看護師が得られるスキルや経験】
- 患者さんの「ありがとう」
- 患者さんが回復していく姿
- 多くのスタッフとの連携プレー
患者さんの症状がよくなったときや退院するときの「ありがとう」という言葉がやりがいという看護師さんは少なくありません。具合が悪くてつらそうな姿を見ているからこそ、回復したときの感謝の言葉は印象に残ります。
患者さんが徐々に回復している姿を見られることも、看護師ならではの経験です。特に病棟看護師だと、食事が摂れるようになった、歩けるようになったなど、改善の過程を見ている分よろこびも大きくなります。
医師や同僚看護師、作業療法士、薬剤師など、各スタッフと連携して患者さんを救うことは、看護師としてのスキルを高めてくれます。さまざまなスタッフと連携することで、ひとりでは感じられない充実感も得られるでしょう。
まとめ
看護専門学校などを卒業予定の方は、まずは外来看護師や病棟看護師など、病院勤務を目指すとよいでしょう。病院勤務では、看護師に必要な基本技術を身に付けられます。ただ、看護師が活躍できる職場は病院だけではありません。もし、自分の看護師キャリアに悩んで転職を考え始めたら、看護師・准看護師の求人サイト「マイナビ看護師」を利用してみましょう。
マイナビ看護師では、希望条件や実績に合わせた転職サポートも無料で提供しているため、理想の就職先や転職先を見つけたい看護師さん・現在の働き方や勤務環境に少しでも不満を抱えている看護師さんは、ぜひお気軽にご相談ください。
※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています