• 2021年10月8日
  • 2023年6月13日

プリセプター制度とは? メリットや役割・必要なスキルを解説

 

プリセプター制度は、先輩看護師が新人看護師の指導や教育を行う制度です。プリセプターには、職場で経験を積んで十分な実力と指導力があると認められた看護師が選ばれます。しかし、プリセプター制度になじみがない場合、制度の実情が分からず不安に思う人もいるでしょう。

今回は、プリセプター制度の概要やほかの教育制度との違い、メリット・デメリットなどを解説します。プリセプター制度を取り入れている職場で働く際は、プリセプター制度に対する理解を深めておきましょう。

目次

プリセプター制度とは?

プリセプター制度とは、先輩看護師が新人看護師にマンツーマンで指導・教育・フォロー・ケアを行う制度です。指導を行う先輩看護師を「プリセプター」、指導を受ける新人看護師を「プリセプティ」と呼称します。

各病院の教育・指導制度によって異なるものの、プリセプター制度には6か月~1年程度の期間を設けるケースが一般的です。プリセプター制度はプリセプターシップとも呼ばれ、新人看護師が臨床現場に立つ初期段階で用いることで高い効果の発揮が期待されます。
(参考:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン」

プリセプター制度の目的

プリセプター制度の目的は、教育担当者が、仕事を通してアセスメント、看護技術、対人関係、医療や看護サービスを提供する仕組み、看護職としての自己管理、就業諸規則など、広範囲にわたって、新人看護師へ手本を示すことです。国の法改正によって、2010年4月から新人看護職員に対する臨床研修の実施が努力義務化されたことを受け、多くの医療・介護施設でプリセプター制度が採用されるようになりました。
(出典:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン」

新人看護師が看護学生時代に机上や研修で身に付けた技術や知識を、実際の臨床現場で役に立てられず、実力不足を痛感するケースはめずらしくありません。また、「シフト制が思っていたよりつらい」「人間関係が面倒」など、看護技術以外で仕事へのやる気を失うケースもあります。

プリセプター制度は、明確な指導者を指定することで、プリセプティに看護技術や自己管理方法を伝授し、仕事や対人関係の悩みをきめ細やかにフォローする制度です。プリセプティが一人前の看護師になるまで導くことで、新人の実力育成や職場への定着を目指します

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プリセプター制度の種類

プリセプター制度の種類

プリセプター制度には以下の3つの種類があり、具体的な内容や指導方法は職場や部署によって異なります。

  • プリセプターとのマンツーマンとなる
  • プリセプターの上にシニアプリセプターが付く
  • 精神的なフォロー役にメンターが付く

プリセプターとのマンツーマンとなる

プリセプター制度の基本形です。プリセプターとプリセプティがともに業務にあたりながら、プリセプターが看護技術や日常業務などの指導・教育、精神的なフォローを行い、看護師としてのお手本を示します。

プリセプターの上にシニアプリセプター(アソシエイト)が付く

プリセプターの上に支援・補佐役のシニアプリセプターが付き、全体の指導・教育の進捗状況を監督する形です。職場によってはプリセプターが日常業務の指導・相談を行い、シニアプリセプターが実践的な技術指導を行うなど、役割を分担するケースもあります。

精神的なフォロー役にメンターが付く

看護技術や日常業務などの指導・教育はプリセプターが担い、プリセプティの精神的なフォローはメンターが担当する形です。プリセプティに寄り添う立場で精神的・人間的な成長を手助けし、中長期的なキャリアを見据えて支援を行います。

プリセプター制度の指導内容

プリセプター制度の指導内容

プリセプター制度における指導内容は次の4つです。

  • 業務内容の教育・指導
  • 看護知識の学習支援
  • 看護技術習熟度の確認・評価
  • 精神面のフォロー

プリセプター制度には、スキルアップだけではなく、プリセプティの職場への定着を促す役割もあります。

ここからは、プリセプター制度の4つの指導内容について詳しく解説します。

業務内容の教育・指導

プリセプティに業務内容を教育・指導し、看護実践時のサポートも行います。業務の進捗状況や知識・技術の習得度を共有し、把握することも大切です。

看護知識の学習支援

看護知識を身に付けるために必要な予習内容や、実践後のレポート提出を指示します。レポート内容を確認し、場合によっては訂正・指導を行わなければなりません。

看護技術習熟度の確認・評価

職場ごとに定められている看護技術のチェックリストに基づき、プリセプティの看護技術を評価します。習熟が不十分と判断された項目は、再教育や学習のサポートが必要です。

精神面のフォロー

プリセプティが仕事に失敗したり人間関係に不安を抱いていたりした場合は、相談に乗る・励ますなどをし、精神面のフォローを行います。信頼関係を築き、業務をスムーズに遂行できたときには褒めて自信を持たせることも重要です。

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プリセプター制度とほかの教育制度の違い

プリセプター制度とほかの教育制度の違い

新人看護師の教育制度には、プリセプター制度以外にもさまざまな種類があります。たとえば、チューターシップやメンターシップ、チーム支援型、ローテーション研修、カルガモ方式などです。

病院によって、プリセプター以外の制度を取り入れているケースもあれば、プリセプター制度とほかの教育制度を併用している場合もあります。

ここからは、厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」で提示された3つの教育制度について紹介するので、参考にしてください。

チューターシップ

プリセプティにチューター(相談相手)を配置し、業務や学習の効率的な進め方、精神面・生活面での相談・支援を行います。チューターは「指導」ではなく「相談」を担当するため、看護技術や日常業務の実践的な指導は別の看護師が受け持つケースが一般的です。

メンターシップ

プリセプティの味方として指導・助言を行い、理解者として相談に乗るという役割を果たします。メンターは精神面での支援を主とし、中長期的なキャリアを視野に入れながら人間的な成長を援助する立場です。実践的な指導を行うことはあまりありません。

チーム支援型

プリセプティに特定の指導者を付けず、配属されたチームの先輩たちから得意分野をそれぞれ指導してもらう役割分担型の教育体制を指します。

プリセプター制度のメリット

プリセプター制度のメリット

プリセプター制度は、新人看護師のスキルを底上げするとともに、新人看護師の職場への定着が期待できる教育制度です。プリセプター制度にはほかにも、マンツーマン形式の研修制度ならではの多くのメリットや魅力があります。

ここからは、プリセプター制度のメリットを、プリセプター側とプリセプティ側に分けて解説します。

プリセプター側

プリセプターとして新人を指導する場合に得られるメリットは、主に以下の3つです。

プリセプター側のメリット

  • 自分が持つ技術や知識の再確認ができる
  • 教えることで自分の能力向上も見込める
  • プリセプティが評価されると自分の評価も上がる

プリセプティに分かりやすい教育を行うためには、プリセプター側が指導内容を理解していなければなりません。プリセプターとして看護業務の基礎を復習し、業務を意識的に振り返ることは、プリセプター自身の看護実践能力の向上にもつながります。

プリセプティ側

プリセプター制度を通してプリセプティ側が得られるメリットは、主に以下の3つです。

プリセプティ側のメリット

  • 分からないことがあれば直接質問しやすい
  • 技術を習得しやすい
  • 実践時もサポートが入るため、精神的な負担が少ない

プリセプター制度では先輩看護師からマンツーマンで教育的指導を受けられるため、分からないことがあればその場で質問しやすい点が大きなメリットです。先輩看護師に付きっきりで指導してもらえるため、技術や知識も身に付きやすい傾向にあります。

また、看護現場で動揺しても先輩看護師にフォローしてもらいやすい環境のため、新人看護師にとっては心強い制度といえるでしょう。

プリセプター制度のデメリット

プリセプター制度のデメリット

プリセプター制度について気をつけることとして、プリセプター制度には多くのメリットがある一方、デメリットも存在することが挙げられます。プリセプター制度を活用するうえでは、デメリットも十分に理解し、考慮することが大切です。

ここからは、プリセプター制度のデメリットを、プリセプター側とプリセプティ側に分けて解説します。

プリセプター側

プリセプター制度を活用する場合、プリセプター側には以下のようなデメリットが発生することが考えられます。

プリセプター側のデメリット

  • 通常業務以外の仕事が増え、負担が大きくなる
  • プリセプターへのサポート体制が整っていない場合がある

プリセプターになった看護師は、通常の看護師業務に加えて、プリセプティの指導計画を立てる、評価を行うといった仕事をしなければなりません。プリセプターへのサポート体制が整っていない職場の場合、プリセプターへの負担が大きく感じる場合があるでしょう。

プリセプティ側

プリセプター制度を活用する場合、プリセプティ側には以下のようなデメリットが発生する可能性があります。

プリセプティ側のデメリット

  • 教育担当者を選べないケースが多い
  • 能力不足のプリセプターもいる

プリセプティ側は基本的に、自分の教育担当者を選べません。相性が悪いプリセプターに当たった場合、人間関係がストレスになり、仕事や職場が嫌になるケースがあります。

また、プリセプターの実務能力や指導力が足りていない場合も、プリセプティ側の精神的な負担につながります。

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看護師がプリセプターになるには?

看護師がプリセプターになるには?

プリセプターになることは、新人看護師と一緒に成長できる、ステップアップのチャンスでもあります。プリセプターになる方法や選ばれる基準について気になっている方もいるのではないでしょうか。

以下では、厚生労働省が公表した「新人看護職員研修ガイドライン」に基づき、新人の実地指導者にふさわしい人物・能力の条件を紹介します。

プリセプターにふさわしい人物・スキル

プリセプターとなる看護師に特別な資格やスキルは必要ありません。しかし、一般的には3年以上の職務経験を有した中堅看護師が任命される傾向にあります。

【人物】

看護職員として必要な基本的知識、技術、態度を有し、教育的指導ができる者であることが望ましい。

【能力】

  • 新人看護職員に教育的に関わる能力
  • 新人看護職員と適切な関係性を築くコミュニケーション能力
  • 新人看護職員の置かれている状況を把握し、一緒に問題を解決する能力
  • 新人看護職員研修の個々のプログラムを立案できる能力
  • 新人看護職員の臨床実践能力を評価する能力

(引用:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン」

プリセプターの選定担当者は、職場ごとで必須となる技術や知識の基準をクリアした看護師から選ぶケースがほとんどです。そのため、職場で勤務経験を重ねたからといって、すべての看護師がプリセプターに指名されるとは限りません

プリセプターに選ばれたということは、「看護師として十分な人柄と指導能力を備えている」と評価された証です。この抜擢をチャンスと捉え、新人看護師の素質や能力を伸ばすとともに自らの実力向上も目指しましょう。

プリセプター業務の1日の流れ

プリセプター業務の1日の流れ

プリセプター業務の1日は、下記の流れで進みます。

勤務開始時 1日のスケジュールの共有/プリセプティの様子を確認する
勤務中 仕事の進み具合を具体的に聞く
勤務終了時 プリセプティの考えを引き出して1日を振り返る

プリセプターとしてプリセプティを教育する際は、下記の点に注意しましょう。

  • 気付いたことは、業務終了時ではなくその場で指導する
  • 質問されたこと以外にも、積極的に技術や知識を伝える
  • 「この場合はこうする」など、指導内容は具体的に教える

以下では、プリセプターの仕事内容・教育時に注意すべきことを、1日の時間帯ごとに解説します。

勤務開始時:1日のスケジュールの共有/プリセプティの様子を確認する

勤務開始時は、その日のスケジュールを確認します。おおよその流れを共有できたら、プリセプティの業務進行具合を確認する・フォローに入れるタイミングを伝えておきます。同時に、プリセプティが担当業務に過度の緊張や不安を抱いていないか観察しなければなりません。

可能な限りプリセプティの自立を促すことが望ましいものの、患者の安全が最優先です。プリセプティの技術習得度に合わせて適宜スケジュールを調整し、業務に立ち会い、事前に学習・確認する時間を確保しましょう。

勤務中:仕事の進み具合を具体的に聞く

勤務中は、勤務開始時に共有したスケジュールの進み具合を確認します。仕事の進捗状況を確認する際、「大丈夫? 」という聞き方をすると、プリセプティは「大丈夫です」と反射的に答えかねません。「○○はどこまで進んでる? 」「今日は外来が多いから◯◯を先に終わらせよう」など、具体的な質問や指示を心がけましょう。

また、新人のうちは休憩に入るタイミングが掴めないこともめずらしくありません。休憩時間の少し前から様子をうかがい、スムーズに休憩入りできるようフォローしましょう。勤務開始時に立てた計画にこだわらず、進捗状況に合わせて柔軟にスケジュールを変更することで、現場の状況に即した優先順位の付け方を実践を通じて学ぶ機会を与えられます。

勤務終了時:新人の考えを引き出して1日を振り返る

勤務終了時は、1日を総括する時間です。プリセプティを指導する立場としては、あれもこれもと詰め込みたくなりますが、ここはグッと抑えて重要なポイントのみ簡潔に伝えましょう。また、プリセプターの考えを一方的に述べたり、「はい/いいえ」で終わるような質問をしたりしてはなりません

感じたこと・考えたことを、自分の言葉で表現させることがプリセプティの成長につながります。そして、疑問・質問には具体的なアドバイスを送り、褒めるべきところはしっかりと褒めることで、プリセプティのやる気を引き出せるでしょう。

【時期別】プリセプターの看護師の役割

【時期別】プリセプターの看護師の役割

約1年にわたるプリセプティの教育では、時期によってプリセプターの役割が下記のように変化します。

4~6月 手本を見せながら意味・根拠を伝える
7~9月 実務の中で優先順位の付け方を教える
10~12月 長所を伸ばして課題解決を図る
1~3月 技術や知識の習得状況に気を配る

ここでは、プリセプターの役割や教育方針を時期別に解説します。

4~6月:手本を見せながら意味・根拠を伝える

4~6月は、プリセプターとプリセプティがペアを組み、付きっきりで看護業務の基本から教える時期です。

多くの場合、入職直後は数日間業務を見学させる「シャドーイング」を行います。シャドーイングでは、プリセプターが実際の業務を見せながら、一つひとつの行為が持つ意味・目的・根拠を教えることが大切です。身体の動きや作業内容だけでなく「なぜこうするのか」を理解することで、プリセプティが患者を受け持ったときに自信を持って看護に従事できるでしょう。

また、4~6月は「リアリティショック」を起こしやすい時期です。プリセプティが不安やストレスを抱え込まないよう、精神面のフォローにも気を配りましょう。

7~9月:実務の中で優先順位の付け方を教える

7~9月は、プリセプターの受け持ち患者が通常人数に戻り、プリセプティも少しずつ受け持つ患者を増やす時期です。この時期は、増えた業務の割り振りや情報収集がうまくいかず、仕事の効率が悪くなるプリセプティが増えます。

仕事に手間取る原因を考える際は、自分の経験を例に挙げながら具体的なアドバイスを送ることが必要です。仕事の優先順位が付けられない場合は、実務の中で効率的な仕事の回し方を教えましょう

10~12月:長所を伸ばして課題解決を図る

10~12月は、プリセプティが身に付けるべき基本項目の習得に目処が立ち、実用頻度の低い処置の指導も視野に入れられる頃です。同時に、プリセプティ同士の習得度合いに個人差が出てきます。そのため、習得が進んでいる項目は褒めて伸ばし、苦手とする業務はフォローに入るなど、個人に合わせた指導方法を選択しなければなりません。

プリセプティ自身が習得度合いを気にしている場合は、同期と比較して技術の習得を焦るよりも、「目の前の患者に向き合い安全な医療を届ける」ことを重視するよう伝えましょう。

1~3月:技術や知識の習得状況に気を配る

1~3月は、ほとんどの業務でプリセプティの自立が進み、プリセプターの指導する機会が少なくなる時期です。そのため、未経験の技術を経験済みと誤認したり、習得度合いのチェック漏れを起こしたりしないよう、気を引き締めなければなりません。「新人を卒業したプリセプティが必要な技術を学んでいない」という事態を引き起こさないためには、習得状況の念入りな確認が重要です。

また、1年間を総括して振り返ると同時に、2年目に向けての抱負や課題を認識させることも欠かせません。1年間の努力を評価して褒めることで、独り立ちするプリセプティに自信を付けさせ、一人前の看護師として先輩となる自覚を持たせましょう。

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プリセプターとして指導する際のポイント

プリセプターとして指導する際のポイント

プリセプターに任命された看護師さんのなかには、プリセプティへの指導に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。プリセプターとして指導する際は、プリセプティや周囲と積極的なコミュニケーションを欠かさないことが大切です。

ここからは、プリセプターとして指導者側になる際に押さえておくべきポイントを7つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

新人の緊張を解くことを意識する

新人看護師の多くは、慣れない環境の中、業務を覚えようと必死になっています。さらに、失敗して先輩に怒られるのではないかという不安も抱えており、心に余裕がありません。

しかし、プリセプティが過度に緊張したままでは、教育内容がうまく伝わらなかったり、ミスをする可能性が高くなったりします。プリセプターは、新人看護師の緊張を解くことに重点を置き、新人看護師が学びやすい環境づくりをすることが大切です。

別の新人と比べて評価しない

プリセプターとして指導していると、ついほかのプリセプティと比較しがちです。しかし、「基礎は遅いが応用は速い」「習得は遅いが正確性が高い」など、プリセプティの成長度合いには個人差があります。プリセプティを評価する際は、他者と比較せず、客観的かつ冷静に判断を下さなければなりません。

ミスへのフォローを行う

新人にミスは付きものです。ミスを叱ることも時には必要ですが、ただ厳しく叱責するだけではプリセプティを委縮させ、さらなるミスを招きかねません。ミスをしたプリセプティは十分に落ち込んでいます。プリセプターとして必要なことは、同じ失敗を繰り返さないために指導し、前向きに業務へ取り組めるよう精神的なフォローに努めることです。

対等な立場で接する

プリセプターはプリセプティの指導者にあたる立場ですが、上下関係が厳しすぎるとプリセプティの心に遠慮が生まれ、相談や質問をためらう傾向があります。

プリセプターはプリセプティと対等な立場の構築を意識し、信頼関係を築くためのコミュニケーションを図ることが大切です。

相手のありのままの状態を認め尊重する

新人指導において特に避けたいのは、自分自身の物差しで新人看護師を測ることです。「入職して○か月経っているのなら、このくらいできて当たり前」のような固定観念で考えることは、お互いのためになりません。

プリセプターがプリセプティの「できない」「知らない」現状をありのまま認め、受け入れることで、適切な看護師教育・指導につなげられます。相手の現状を認めたうえで関わり方を考えることは、プリセプター制度に必要な「信頼関係の構築」にもつながるでしょう。

若い世代の特徴を知っておく

新人職員の指導の際には、若い世代の特徴を知っておくことも大切です。

Z世代には、適応力が高く優秀な人材が多い一方で、現実主義であり、辞職や転職に対する決断が早い方も多い傾向があります。また、自分らしさを表現できる環境を好む傾向も強いといえます。

若い世代の新人看護師に適切な教育をするためには、最初に「看護師としてなりたい姿」を聞いておきましょう。目標とする看護師像を目指すための教育方針などを共有すれば、新人看護師側は先輩看護師が自分と向き合ってくれていると感じ、力を発揮しやすくなる可能性があります。

1人で抱え込まず周囲と協力する

プリセプターを任されたからといって、プリセプティに関するすべてを1人で抱え込む必要はありません。本来、新人教育は職場全体が一丸となって行うべきことです。自分では対応しきれない問題が起こった場合や、プリセプターとしての悩みが生じた場合は、周りの人に相談して協力を求めましょう。

プリセプターとしてのNG対応

プリセプターとしてのNG対応

プリセプター制度では、プリセプターとプリセプティが良好な関係を築くことが大切です。プリセプターがプリセプティが委縮する場合、指導がうまくいかなくなります。

ここでは、プリセプティが委縮する代表的なNG行動を3つ紹介します。

  • 質問に対して冷たい態度をとる
    プリセプター側が忙しく、余裕がないときには質問などに対して冷たい態度をとりがちです。忙しいタイミングやすぐに答えられない内容の場合は、プリセプティに理由をきちんと伝え、穏やかな雰囲気で対応するとよいでしょう。
  • 業務を急かす
    プリセプティのフォローの際に、「まだできていないの? 」と急かすのはNGです。急かして焦らせればミスを誘発します。
  • 褒めずにダメ出しばかりする
    新人教育においてはできなかったことに目が行きがちですが、できなかったことよりも、できたことに着目しましょ 。

また、プリセプターは「見守っている」つもりでも、プリセプティは「見張られている」と感じ、ストレスを感じる場合もあります。指摘ばかりではなく、よかった部分を褒めることで、プリセプティは見守られていると感じるようになるでしょう。

まとめ

プリセプター制度は、先輩看護師が1人の新人看護師をマンツーマンで担当し、教育・指導する制度です。プリセプティは直接指導を受けることで技術や知識を習得しやすい、プリセプターは自らの技術や知識の向上が見込めるなどのメリットがあります。ただし、マンツーマンが基本の制度とはいえ、新人教育は職場全体で責任を持って行うことが前提です。1人で解決しきれない問題が起こった場合は、遠慮せず周囲に相談しましょう。

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※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

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