• 2021年10月7日
  • 2021年10月15日

アドバンス助産師とは? 取得するメリットや申請方法・更新方法も

 

病院の産婦人科や助産院では、アドバンス助産師を取得した助産師が活躍しています。助産師は助産師資格の取得だけで働けるものの、アドバンス助産師は取得すると多くのメリットがある資格です。

助産師の働き方を調べていて、アドバンス助産師のメリットや取得方法に興味をもつ人も多いのではないでしょうか。当記事では、アドバンス助産師の概要から、取得するメリット、アドバンス助産師の申請方法・更新方法・再認証申請方法までを徹底解説します。

アドバンス助産師とは

アドバンス助産師とは、助産にかかわる高度な知識と技術を認証された助産師のことです。一般財団法人 日本助産評価機構が運営する「CLoCMiP(クリニカルラダー)レベルIII認証制度」の認証を受けた助産師が、アドバンス助産師と呼ばれます。

助産師として働くためには、国家資格である助産師資格が必要です。しかし、助産師資格は更新制ではなく、助産師個人の習熟度を確認できない問題がありました。助産師の助産実践能力を審査する仕組みとして、2015年に設けられた制度がCLoCMiPレベルIII認証制度です。

CLoCMiPレベルIII認証制度は、下記の3つを主な目的としています。

(1)助産分野の専門的能力強化を図る

(2)妊婦・褥婦や新生児へ良質な助産ケアを提供する

(3)助産師の属する組織が、助産師の能力を客観的に理解する助けとする

アドバンス助産師の仕事内容

アドバンス助産師に認証された助産師は、自律して助産ケアを提供することが期待されています。病院・クリニック・助産院などの医療機関において、助産師が主体的な立場で分娩介助などの助産ケアを提供することが、アドバンス助産師の仕事内容です。

アドバンス助産師は、高齢出産やハイリスク妊産婦に対する助産ケアも行います。異常分娩のときには医師・看護師と連携し、チーム医療における助産師として働くことも大切な役割です。

アドバンス助産師の給与相場

前提として、助産師の給与相場は下記の通りとなっています。

助産師の給与相場(全国平均) 約570万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

アドバンス助産師を取得すると、助産師の給与にプラスして資格手当が支給されます。資格手当は月額約1万~2万円が相場であり、年間額に直すと約12万~24万円です。

つまり、アドバンス助産師の給与相場は約582万~594万円となります。ただし、アドバンス助産師の資格手当を支給していない施設もあることに注意してください。

アドバンス助産師と助産師の違い

アドバンス助産師と助産師の違いを、2つのポイントに分けて解説します。

・必要な資格
助産師になるために必要な資格は、看護師資格と助産師資格の2つです。助産師国家試験では、受験資格として看護師資格の取得を定めています。

一方、アドバンス助産師になるために必要な資格は、看護師資格と助産師資格の2つに加えて、CLoCMiPレベルIII認証制度の認証です。CLoCMiPレベルIII認証制度では、申請条件として助産師資格の取得を定めています。

・できること
助産師にできることは、女性の妊娠出産にかかわる助産ケアです。妊娠の相談対応から、出産時の分娩介助、出産を終えた産婦と新生児の保健指導までを行います。

アドバンス助産師はあくまでも助産師の能力を認証する資格であり、できることは助産師と明確な違いがありません。ただし、アドバンス助産師は助産師としての能力が一定水準以上であることを示す資格であり、自律した助産ケアを提供できます。

アドバンス助産師は、看護師資格・助産師資格と、CLoCMiPレベルIII認証制度の認証が必要です。アドバンス助産師になると、助産にかかわるチーム医療においても主体的な立場で働けます。

アドバンス助産師を取得するメリット

アドバンス助産師の女性

制度開始が2015年と比較的新しいアドバンス助産師の取得には、多くのメリットがあります。アドバンス助産師を取得するメリットは、主に下記の4つです。

  • 患者や職場からの信頼が厚くなる
  • キャリアアップにつながる
  • 助産師育成に貢献できる
  • 就職・転職に有利になる

以下では、4つのメリットについて詳しく解説します。

患者や職場からの信頼が厚くなる

アドバンス助産師を取得すると、「安心できる助産師に担当してほしい」と考えている患者や、職場からの信頼が厚くなります。

助産師が行う助産ケアは、妊娠から産後までの妊婦と新生児の健康にかかわる内容です。対応を間違えると妊婦や新生児の命が危険にさらされることもあり、助産師の仕事にはミスが許されません。とくに近年は高齢出産が増えており、助産師は高齢出産にも対応できることが求められます。

アドバンス助産師は、助産師として一定水準以上の能力が備わっていることを客観的に証明できる資格です。アドバンス助産師を取得していると、患者や職場に自分の能力を示すことができ、信頼を獲得できます。

キャリアアップにつながる

助産師としての高い能力を示せるアドバンス助産師は、取得することで助産師としてのキャリアアップにつながる資格です。

アドバンス助産師になるためには、前提として助産師資格を取得していなければなりません。つまりアドバンス助産師は、助産師のみが取得できる希少価値が高い資格です。

助産師のキャリアアップにつながる資格としては、他に「産後ケアリスト」や「リフレクソロジスト」もあります。しかし、どちらの資格も取得するときに助産師資格が必須ではなく、資格の希少価値が高いとは言えません。

希少価値が高いアドバンス助産師を取得することで、助産師としてのキャリアを突き詰められます。

助産師育成に貢献できる

アドバンス助産師を取得するときに受講が必須とされる研修では、後輩指導・助産師教育の内容があります。アドバンス助産師を取得すると助産師育成に関する知識が得られ、指導的立場で助産師育成に貢献できることがメリットです。

アドバンス助産師を取得することで、臨床経験を通して得てきた知識・技術を後輩の助産師へと伝えられます。助産師が勤務する医療機関では、助産師の教育制度を整えている施設が多く、アドバンス助産師になることで活躍の幅を広げられるでしょう。

また、助産師育成に貢献した経験は、独立して助産院を経営するときにも活かせます。

就職・転職に有利になる

アドバンス助産師は医療機関における需要が高く、取得することで就職・転職に有利になる資格です。病院や助産院の中には、アドバンス助産師の資格保有者を積極的に採用する施設も存在します。

アドバンス助産師は、助産師としての経験・能力を客観的に証明できるため、就職・転職に有利となります。履歴書・職務経歴書の資格欄にアドバンス助産師の取得を記載することで、豊富な助産の実践経験がすぐに伝わり、前職の職務内容にも説得力が生まれます。

アドバンス助産師の申請方法

アドバンス助産師申請時の勉強をしている様子

アドバンス助産師を取得するためには、CLoCMiPレベルIII認証制度の申請要件をクリアする必要があります。申請を検討している人は、申請料と研修内容も事前に確認しておきましょう。

以下では、アドバンス助産師の申請要件・申請料・必須研修について詳しく解説します。なお、紹介する内容は2022年の情報であるため、2022年以降に申請するときは必ず最新情報を確認してください。

申請要件

アドバンス助産師の新規申請の対象者と申請要件をそれぞれ解説します。

●新規申請の対象者

アドバンス助産師の新規申請の対象者は、下記3つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)日本の助産師資格を保有し、満5年以上の実務経験がある

(2)アドバンス助産師の新規申請要件をすべて満たしている

(3)過去にアドバンス助産師を取得した経験がない

●新規申請の申請要件

アドバンス助産師を新規申請するときは、下記4つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)2017年1月1日~2022年新規申請締切日の期間に、定められた必須研修項目をすべて受講する

(2)助産師資格取得後~2022年新規申請締切日の期間に、定められた実施例数をすべて満たし、承認を得る

(3)2017年1月1日~2022年新規申請締切日の期間に、定められた学術集会のいずれかに1回参加する

(4)CLoCMiPレベルIIIの総合評価でB以上を得る

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「2022年新規申請」

申請料

アドバンス助産師の申請料と内訳は、下記の通りです。

●申請料

申請料 50,000円
申請料の内訳 審査料:20,000円(税込)
会費:30,000円(不課税/認証期間5年分の会費)

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「2022年新規申請」

申請料の支払い後は、キャンセルおよび返金ができません。

ただし、アドバンス助産師を新規申請したものの不合格となった場合は、会費相当額の返還を請求できます。会費相当額の返還を請求するときは、不合格が決定した日~翌年7月末日までに、一般財団法人 日本助産評価機構へと返金に必要な事項を連絡しましょう。

必須研修

アドバンス助産師の必須研修は、下記の20項目が指定されています。

●必須研修

  • 分娩期の胎児心拍数陣痛図(CTG)
  • 妊産褥婦のフィジカルアセスメント:脳神経
  • 妊産褥婦のフィジカルアセスメント:呼吸/循環
  • 妊娠と糖尿病
  • 新生児のフィジカルアセスメント
  • 臨床薬理(妊娠と薬)
  • 医療安全と助産記録
  • 妊娠期の栄養
  • メンタルヘルス
  • 母体の感染
  • 緊急時の対応
  • 助産師と倫理
  • 後輩指導・助産師教育
  • 新生児蘇生法(NCPR)Bコース以上
  • 臨床推論
  • 災害時対応
  • 臨床病態生理
  • 授乳支援
  • 意思決定支援(演習含む)
  • WHC指定項目から選択×2

上記20項目のうち、「臨床推論」から「WHC指定項目から選択×2」までの6項目は、2022年以降に新しく追加された必須研修です。

また、「WHC指定項目から選択×2」は、下記に示すWHC指定項目の中から2つを選んで受講する選択研修となっています。

●WHC指定項目

  • 不妊・不育の悩みをもつ女性の支援
  • 女性に対する暴力予防の支援
  • 多様な性の支援
  • ウィメンズヘルスケア提供のための基盤能力

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「2022年新規申請」

アドバンス助産師の更新方法

アドバンス助産師の更新をする女性

アドバンス助産師には5年間の認証期間があり、5年ごとの更新制となっています。この期間を過ぎると認証が喪失するため、前回の申請・更新から5年ごとに更新を行いましょう。

CLoCMiPレベルIII認証制度は、新規申請と更新申請で対象者の要件が若干異なります。更新するときには更新料も必要です。

以下では、アドバンス助産師の更新対象者・更新料と、更新時期の延長方法を解説します。なお、紹介する内容は2022年の更新申請における情報であるため、新規申請と同様に、2022年以降に更新申請するときは必ず最新情報を確認してください。

更新対象者・更新料

●更新申請の対象者

アドバンス助産師を更新申請する対象者は、下記3つの更新要件をすべて満たす必要があります。

(1)日本の助産師資格を保有している

(2)2015年・2016年のアドバンス助産師取得者のうち、更新時期延長期間中である

(3)アドバンス助産師の認証更新申請要件をすべて満たしている

2022年の更新申請は、2020年・2021年の更新申請区分を一つに統合しています。2020年・2021年に本来更新する予定であったものの延長した人は、2022年の更新申請で更新が可能です。

●更新料

アドバンス助産師の更新申請には、下記の更新料がかかります。

更新料 50,000円
更新料の内訳 審査料:20,000円(税込)
会費:30,000円(不課税/認証期間5年分の会費)

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「2022年更新申請」

アドバンス助産師の更新申請で不合格となったときは、新規申請の場合と同様の手順を踏むことで、会費相当分の返還を請求できます。

更新時期の延長方法

やむを得ない事情により、指定時期までにアドバンス助産師の更新ができない場合は、更新時期を延長することが可能です。更新延長の対象者や申請料などについて解説します。

●更新延長の対象者

更新延長を申請する対象者は、下記3つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)日本の助産師資格を保有している

(2)アドバンス助産師の認証期間中、もしくは更新時期の延長期間中である

(3)出産・育児・介護・傷病・進学など、やむを得ず延長する事情がある

●申請料

更新時期の延長には、下記の申請料がかかります。

更新延長の申請料 5,000円(税込)

●延長期間中の特典

更新時期の延長期間中には、アドバンス助産師の自己研鑽に活用できる下記の特典があります。

  • アドバンス助産師プラットフォームで配信するオンデマンド研修を会員価格で受講できる
  • 機関紙「アドバンス助産師」最新号を閲覧できる

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「更新時期延長申請」

アドバンス助産師の再認証申請方法

アドバンス助産師の再認証申請をする女性

アドバンス助産師を更新しておらず、認証が喪失した人は、再認証申請することでアドバンス助産師の再取得が可能です。アドバンス助産師の再認証申請における要件と、再認証申請料を解説します。

なお、以下で紹介する内容は2021年における再認証申請の情報である点に留意してください。

再認証申請要件

再認証申請の対象者は、下記2つの要件をすべて満たす必要があります。

(1)日本の助産師資格を保有している

(2)過去にアドバンス助産師の認証を取得した経験があり、現在は認証を喪失している

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「再認証申請」

アドバンス助産師の再認証申請は、要件を満たした任意の年に行えます。再認証申請の要件を整えたら、再認証申請期間中に一般財団法人 日本助産評価機構の「アドバンス助産師プラットフォーム」より申請しましょう。

また、再認証申請を行ったときも、更新申請と同様に審査が行われます。アドバンス助産師を確実に再取得するためには、十分な勉強を行った上で再認証申請の手続きに進むことがおすすめです。

再認証申請料

アドバンス助産師の再認証申請料と内訳は、下記の通りです。

●申請料

再認証申請料 50,000円
再認証申請料の内訳 審査料:20,000円(税込)
会費:30,000円(不課税/認証期間5年分の会費)

(出典:一般財団法人 日本助産評価機構「再認証申請」

再認証申請でアドバンス助産師を再取得したときも、アドバンス助産師の認証期間は5年間です。アドバンス助産師の資格は5年ごとの更新制であるため、認証を喪失しないよう、5年ごとに更新を行いましょう。

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まとめ

アドバンス助産師は、助産師としての高度な知識・技術を認証する資格です。アドバンス助産師を取得した助産師は、自律して助産ケアを提供することが期待されています。

アドバンス助産師を取得すると、患者・職場からの信頼が厚くなることがメリットです。助産師としてのキャリアアップや助産師育成への貢献も可能であり、就職・転職にも有利となります。

アドバンス助産師を取得するときは、紹介した申請要件や申請料を参考に準備を進めましょう。アドバンス助産師の転職は、キャリアアドバイザーのサポートを受けられるマイナビ看護師をご利用ください。

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