• 2021年8月30日
  • 2022年9月13日

看護師を辞めたいと感じる瞬間は? 本音アンケートや対策を紹介

 

ハードな業務や精神的なストレスから、「看護師を辞めたい」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、他の看護師がどんなときに「辞めたい」と感じているのか、そう感じたときに乗り越えるための対処法などをご紹介します。

看護師を辞めたいと感じる理由と対処方法

理由その1「収入が低い」

「労働の割に見合った収入が得られない」「ボーナスが十分に支給されず、家計が苦しい」などの不満を持つ看護師は多いです。収入を増やすためには、「夜勤や休日出勤の回数を増やす」などの方法もありますが、プライベートな時間が削られたり、体力がもたず、かえって辞めたい気持ちが強くなることも。

また、「今より給料が高いところに転職を」と安易に考えることもおすすめできません。無理に収入を得ようとするのではなく、まずは家庭の固定費などの見直しをして、支出を抑えることをおすすめします。

理由その2「人間関係」

職場での人間関係の悩みでとくに多いのは「上司のパワハラ」です。
また、人間関係のトラブルは、看護師間だけの問題ではありません。「院長が横柄で、次々と無理な仕事を押しつけてくる」など、多職種との人間関係が原因で辞めたい気持ちになる場合もあります。

大事なのは過度にへりくだらないこと。相手のご機嫌をうかがったり、ビクビクと怯えるような態度をしていたりすると、支配関係を助長する場合があります。

理由その3「休暇が取りづらい」

人員不足で休暇が取りづらいことに理不尽さを感じ、辞めたいという思いが頭をよぎる看護師も少なくありません。
他の人を優先していつも我慢していると、知らない間にストレスが蓄積しやすいもの。ときには自分の希望を通すべく交渉してみましょう。

■関連記事

看護師に聞いてみた! 辞めたいと感じる瞬間は?

では、現場で働く看護師は実際にどんな瞬間に「辞めたい」と感じているのでしょうか? マイナビ看護師が看護師さんを対象に実施したアンケートでは、このような結果になりました。

Q1.業務の中で辞めたいと感じる瞬間は?

  • 第1位 インシデントなどミスをしたとき(39.6%)
  • 第2位 医療者間でトラブルが発生したとき(26.7%)
  • 第3位 すごく忙しかった勤務後(16.5%)
  • 第4位 その他(9.3%)
  • 第5位 患者とトラブルを起こしたとき(8.0%)

ミスやトラブル、あるいは患者からのクレームなど、突発的なアクシデントが発生したときに「看護師を辞めたい」と強く感じやすい傾向にあります。

膨大な量の業務をこなせないときや、知識不足を実感したのをきっかけに「私は看護師に向いてない……」と自信を喪失し、「辞めたい」という思いにかられる方も非常に多いです。

また、転職した方の「看護師を辞めたい理由」もさまざま。私のところにも、転職した方がよくお悩み相談に来られます。私が聞いた声の一部をご紹介します。

【老人福祉施設などの仕事に転職した看護師の辞めたい理由】

  • 「医者が常駐していないので夜勤での自己判断が怖い」
  • 「オンコールがプレッシャー」
  • 「病院より給料が安い」

など

【保育園や乳児院での仕事に転職した看護師の辞めたい理由】

  • 「保育士や保護者との関係がうまくいかない」
  • 「看護師としての自分は必要ないのでは……と感じる」

など

【特色が大きく異なる仕事に転職した看護師の辞めたい理由】

※急性期から回復期リハビリ、回復期から終末期の緩和ケア病棟など、

  • 「以前の病棟に比べてマンネリで刺激がない」
  • 「死と向き合うのが想像以上につらく、自分の心の冷ややかさや汚い部分がイヤになる」

など

【病院から美容外科、検診センターなど、これまでと異なる分野の環境に転職した看護師の辞めたい理由】

  • 「看護師としてやりがいがない」
  • 「採血の腕は磨かれるが新しい学びが得られにくい」
  • 「思っていたよりも業務が多い」

など

【眼科や精神科での仕事に転職した看護師の辞めたい理由】

  • 「看護師のスキルを活かす場面がほとんどない」
  • 「患者の暴言や暴力に耐えられない」

など

■関連記事

看護師に聞いてみた! 辞めたいと思ったのはいつ頃?

では、看護師を辞めたいと一番強く思ったのはいつ頃なのでしょうか。アンケートではこのような結果になりました。

Q2.看護師を一番辞めたいと思ったのはいつ頃?

  • 第1位 1年目(48.7%)
  • 第2位 2年目~3年目(27.1%)
  • 第3位 5年目~10年目(11.3%)
  • 第4位 その他(8.3%)
  • 第5位 10年目以降(4.5%)

※2020年12月、看護師708人を対象に実施

第1位は新人として働く1年目でした。この時期は、多岐にわたる知識や技術の習得、社会人としてのマナーなど覚えることがもりだくさん。緊張感が強かったり、リアリティショックに苦しんだりする看護師が多いのが実状です。

第2位の「2年目~3年目」はリーダーやプリセプターなど、新たな仕事を任せられたときに辞めたいと感じる人が多い傾向にあります。

また、30代後半~40代前半にかけ、体力的な面も考慮し、老健や特養、老人ホームへの転職、あるいは訪問看護などへシフトする看護師も多く見られます。

■関連記事

看護師を辞める前に考えてほしいこと

後悔のもとになりやすいのが「勢いにまかせて仕事を辞めること」です。
ミスやクレームなど、予期せぬ事態が起こり、感情が不安定になったときに「もう看護師の仕事なんて辞めたい」と強く思うのは無理もありません。ですが、一時の感情の揺れで決断をすると、判断を見誤りやすくなることを肝に銘じておきましょう。
このようなときは決断ではなく、自分のメンタルを整えることを優先してください。

また、「看護師を辞めたいけど、この選択が正しいのか不安」と悩む場合は、一人で考えこまず、転職サービスの担当者など、第三者からアドバイスをもらうのもいいでしょう。メリットとデメリットを考慮しつつ、新しい環境で働くことを検討するのもひとつの方法ですよ。

■関連記事

著者プロフィール