• 2021年8月19日
  • 2022年2月18日

職場の人間関係がつらい|関係を良好に保つコツ・NG行動・相談方法

 

厚生労働省が中小企業の労働者に対して行ったアンケート調査では、回答者の24.4%が「職場の人間関係を理由に離職した同僚がいる」と答えています。(出典:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」)

社会人経験を持つ人の多くは、職場の人間関係について大なり小なり悩んだことがあるでしょう。仕事自体は楽しくても、職場の人間関係に問題があると仕事のやりがいを感じにくくなってしまいます。

今回は、職場の人間関係がストレスとなるおもな原因や人間関係づくりに際して心がけたいこと・避けるべきことなどについて解説します。

職場の人間関係にストレスを感じる人は多い

厚生労働省の令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況によると、仕事や職業生活に関して強いストレスを感じている人の割合は 54.2%、そのうち対人関係で悩んでいる人は27.0%でした。仕事の量や質に関する悩みに次ぎ、多くの人が人間関係で悩んでいることがわかります。

■参照元
厚生労働省 – 令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

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職場の人間関係でよくある悩み

企業などの組織に属して働く場合、まったく人間関係を構築せずに働くことはほぼ不可能です。職場における人間関係が仕事のやりがいや満足度を大きく左右することが少なくありません。

多くのビジネスパーソンは、程度の差こそあれ職場の人間関係に関する悩みや不満を持っています。以下は、職場の人間関係に関する悩みの代表例です。

悪口やうわさ話が多い

自分が悪口やうわさ話のターゲットになっている場合はもちろん、そうでない場合も誰かの悪口や根も葉もないデマを聞くことは気分のよいものではありません。悪口やうわさ話が多い環境にいると、自分が周囲にどう思われているか心配になり仕事に集中しにくくなることもしばしばです。

相手との関係性にもよりますが、悪口に対して正面から反論することは難しいでしょう。しかし、波風を立てまいとして「そうですね」などと同調すると、さらにネガティブな話を聞かされる恐れがあります。また、自分まで悪口を言っていると周囲に思われかねません。

特定の相手と相性が悪い

上司からやたらと叱責されたり同僚と意思疎通を図りにくかったりする場合、いろいろな原因が考えられます。相手が自分にだけそうした態度をとっており、かつ自分に落ち度がない場合は、その相手と相性が悪い可能性もあるでしょう。

人と人が出会えば、どうしても相性のよしあしが生じます。しかし、頻繁に顔を合わせる直属の上司・部下や同僚とそりが合わないと、仕事自体が苦痛になることもしばしばです。

コミュニケーション不足、またはコミュニケーション過剰

仕事上のコミュニケーションが足りないと、報連相不足によって業務に支障が出たり詳しい説明なしに仕事を丸投げされたりすることがあります。また、「言った」「言わない」でトラブルになるケースもあるでしょう。

一方、職場でのコミュニケーション過剰にも問題があります。行きたくもない飲み会に誘われて自由時間が減ったり、仕事と無関係のことまで根掘り葉掘り聞かれたりすると、多くの人がストレスを抱えるでしょう。家族がいる人が遅くまで飲み会に付き合わされた場合、家族との関係まで悪化しかねません。

派閥争いに巻き込まれる

仕事上のつながりの深さや仲のよさによって、職場内でグループができることは珍しくありません。しかし、特定の利害関係によって成り立った集団同士が競争したり相手を蹴落とそうとしたりすると派閥争いが生まれます。

派閥争いに巻き込まれたくない場合は、派閥に属さず中立を貫くこともひとつの方法です。しかし、実際には中立を貫こうとして孤立してしまったり、「君はどちらの味方だ? 」などと迫られたりして困ってしまうこともあります。

いじめ・ハラスメント

グループを作って特定の人に嫌がらせをしたり、立場の違いを利用して必要以上に叱責したりする職場いじめも大きな問題のひとつです。

また、パワハラやセクハラといった各種ハラスメントもいじめの一種とされます。近年ハラスメント防止のための法整備が進んでいますが、いまだにセクハラやパワハラが日常茶飯事となっている職場も少なくありません。

孤立してしまう

上手く職場の人と関わることができず、孤立してしまうケースがあります。「成績が自分よりも良い」「上司に好かれている」などの理由によって、嫉妬の対象になることもあるようです。

また、場合によっては「コミュニケーションスキルが低い」「人によって態度を変えてしまう」「空気を読めない」「協調性がない」など、自身の振る舞いが原因となって孤立している可能性も大いに考えられます。

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職場で人間関係の悩みが発生する3つの理由

家族や友人、恋人といった近しい人との関係は良好でも、職場の人間関係に悩んでしまう人もいます。なぜ職場では人間関係に関する悩みが発生するのか、理由を以下で解説します。

1.価値観が人によって異なるから

プライベートの場合は似た者同士で仲良くなったり、価値観が近い人と付き合ったりすることが多いですが、職場には幅広い年齢かつ異なるキャリアを積んだスタッフがいます。そのため、人の価値観はさまざまです。

価値観が異なるため、意見が合わなかったりすれ違ったりなど対立してしまいます。

2.長く関わるから

勤務時間は多くの人が8〜9時間ほど。残業をするとさらに長い時間を職場で過ごします。日中のほとんどの時間を職場で過ごすため、その分人間関係も密になります。同じ会社や部署内で働く限り、人間関係はさほど変わることがありません。

プライベートであれば、苦手な人でも少しの時間であれば人間関係を問題なく構築できるでしょう。しかし、職場のように長時間・長期間にわたって関わるとなれば、相手の言葉や行動が気になってしまうものです。

3.自分で接する人を選べないから

プライベートであれば付き合う人をある程度選べますが、職場では苦手だからといって避けていては仕事になりません。無理にでも関係を構築する必要があるため、職場の人間関係に関する悩みでストレスを感じてしまいます。

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職場の人間関係を良好に保つ3つのコツ

職場の人間関係を良好に保っている女性

職場の人間関係を良好にして余計なストレスを未然に防ぐためには、まず自分の行動を変えることがおすすめです。時として自分を変えることは難しいものですが、自分の意思でどうにもならない他人を変えようとするよりは簡単でしょう。

以下は、自分を変えたいときに実践しやすいポイントの一例です。

笑顔・挨拶・感謝を忘れない

挨拶をきちんとすることは、人間関係をスムーズにするための第一歩です。挨拶をすることで「あなたの存在を認めています」と意思表示でき、その後のコミュニケーションを進めやすくなります。なるべく自分から挨拶し、相手にきちんと顔を向けて笑顔を作ることで、より好印象を与えられるでしょう。

また、何かをしてもらったときに感謝の言葉を伝えることも重要です。自分より立場が低い相手から助けられたり親切にされたりしたときも、「言わなくても伝わる」といった思い込みは捨ててきちんとお礼を伝えましょう。

ネガティブな態度・発言は慎む

ネガティブな言動ばかりとると周囲にもネガティブな気持ちが伝わってしまい、職場全体の雰囲気がぎすぎすして生産性が低下しかねません。また、「あの人は怒りっぽい」などと悪印象を持たれやすくなります。

職場ではネガティブな言動を控え、誰もいないところや職場以外の場所でうまくストレスを発散しましょう。SNSなどで職場や職場の人を批判する人もいますが、思わぬところから関係者にばれる恐れがあります。苦手な人がいること自体は仕方ないものの、必要以上に苦手意識を持たないことがポイントです。

報・連・相は欠かさず丁寧にする

仕事をスムーズに進めてトラブルを未然に防ぎ、また自分自身の仕事ぶりをきちんと評価してもらうためには、報告・連絡・相談が欠かせません。報連相を通じて双方の認識のずれをなくし、かつ相手に余計な手間を取らせないためには、下記のポイントに注意しましょう。

  • あらかじめ伝えたいことを簡潔にまとめておき、なるべく結論から伝える
  • 自身の主観や誰かの意見より、客観的な事実に基づいて伝える
  • 状況に応じて、口頭・電話・メールなどの伝達方法を使い分ける
  • 相談や質問の際は、なるべく仮説や案を提示することを心がけ、自分で考えようとしている姿勢を見せる

自分がミスをしてしまったときなどは、報連相がおっくうになることもあります。しかし、ミスによる被害を最小限に抑えて素早くリカバリーするためにも、早めの報連相を心がけましょう。

職場の人間関係を悪化させる4つのNG行動

職場の人間関係が悪化している女性

職場の人間関係にストレスを感じるときは、自分の行動を振り返ってみて人間関係を悪化させていないか確認することも重要です。自分の言動が人間関係に悪影響を及ぼしている場合は、言動を改めることで人間関係が改善されるでしょう。

ここでは、職場で嫌われる人が取りがちな言動について解説します。

プライベートなどに必要以上に踏み込む

プライベートな話題を通じて心理的距離が縮まることもありますが、多くの人は職場でプライベートなことを話したがりません。職場で個人情報を公表すると思わぬ形で情報を悪用されたり、事実に尾ひれがついて変なうわさが流れたりしかねないためです。また、質問内容によってはセクハラになることもあります。

職場で他人のプライベートにうっかり踏み込んでしまうことを避けるためには、以下の内容に関する話題を振らないことがポイントです。

●本人または家族・友人に関すること

  • 年収
  • 学歴
  • 健康状態
  • 家族構成
  • 宗教
  • 休日の過ごし方 など

●セクハラに該当しうること

  • 結婚の予定や恋人の有無
  • 子どもの予定
  • 容姿に関すること
  • SNSのアカウントや連絡先を無理に聞き出そうとすること
  • 性的な話題全般

自己中心的な行動を取る

自己中心的な人は他人を思いやることができず、周囲に迷惑をかけることも少なくありません。すぐ自分を正当化する人や集団の輪を乱す言動が多い人は、自己中心的と思われやすくなります。

周囲から自己中心的と思われたくない場合は、まずプライベートに踏み込まない範囲で相手に関心を持ちましょう。相手に興味を持つことで相手を慮りやすくなり、自分の行動によって相手がどう思うか考えやすくなります。

むやみに人と張り合ったり人前で感情を露わにしたりしないためには、心に余裕を持つことも重要です。どうしても感情を抑えられなくなったときは、しばらく別の場所でクールダウンするとよいでしょう。

相手によって態度を変える

立場が強い人や気に入った人の前ではいい人を演じ、自分より下と見なした人や嫌いな人には冷たくする人がいます。冷たくされた相手から嫌われやすいことはもちろん、ほかの人からも「あの人は信用できない」「打算的」と思われる恐れがあります。

TPOや好き嫌いによって相手への接し方がある程度変わることは、自然なことです。しかし、人によって態度を変えすぎないようにしたいときは、下記のポイントを心がけるとよいでしょう。

  • 性別や立場に関係なく、接する人すべてに敬意を持つ
  • 相手を嫌な気持ちにさせないよう心がける
  • 相手によって意見を変えない
  • 「この人に好かれたい」「完璧な人と思われたい」と思いすぎない

相手の人格・価値観を否定する

自分の好きなものや大事にしていることをけなされたり、他人から頭ごなしに価値観を押し付けられたりして喜ぶ人はいません。また、多くの人にとって自分の話を聞いてもらえないことは大きなストレスとなります。そのため、相手の人格や価値観を否定する人は嫌われやすくなります。

相手を否定する人は、視野が狭かったり自分に自信がなかったりすることが少なくありません。まず自分の価値観に自信を持ち、「彼(彼女)はなぜこういう価値観を持つに至ったのか」と想像力を働かせることで、自分と異なる価値観も受け入れやすくなるでしょう。

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職場の人間関係を気にしないための3つのコツ

職場の人間関係を良好に保つためには、前述した3つのコツを実践したり人間関係を悪化させる行動を控えたりすることが大切です。しかし、自分自身の行動だけでは人間関係が良くならないこともあるでしょう。

以下では、人間関係を気にしないためのコツを紹介しているので、職場の人と関わりづらいと感じている人はぜひ実践してみてください。

1.性格や考え方が合わない人がいるのは当然と考える

人はそれぞれ育った環境が異なるため、性格や考え方が違うのは当然です。そのため、理解しようとしても分かり合えないことは多々あるでしょう。相手のすべてを理解しようとするとストレスが溜まり、疲れてしまいます。

人間関係を築く際は、「考え方が違って当然」「分かり合えないのは当たり前」と考えるようにすることで、少し気持ちが楽になるでしょう。

2.仕事と割り切る

職場の人と仲良くなろうと無理をすると、特に人付き合いが苦手な人の場合はつらくなったりストレスが溜まったりしてしまいます。職場は友だちを作るために行くわけではありません。そのため、仕事中の会話は業務内容に留め、プライベートなどに深入りしないのがおすすめです。

職場でコミュニケーションを取ることは重要ですが、「仕事とプライベートは別」と割り切ることで無理せず人間関係を構築できるでしょう。

3.苦手な人に無理して関わらない

苦手な上司や同僚、後輩には、無理して話しかける必要はありません。必要な場合のみ関わるようにしましょう。

業務上、可能であればメールやチャットツールを利用してコミュニケーションを取るのもひとつの手です。顔を合わせて話さないだけでも、ストレスは軽減されるでしょう。

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職場の人間関係の悩みを相談する相手は?

職場の人間関係を相談する女性

人間関係に悩むことは悪いことではなく、甘えでもありません。しかし、人間関係の問題をひとりで抱え込むことで仕事自体が嫌になってしまったり、心身ともに疲れてしまったりする恐れがあります。

誰かに悩みを聞いてもらうことで気分が楽になることはもちろん、第三者の立場から解決のヒントをもらえることもしばしばです。悩みを相談する際は、状況に合わせて相談相手を選びましょう。

上司・人事担当者

部署内でトラブルが起こっている場合やトラブルによって業務に支障が出ている場合は、直属の上司に相談してみましょう。上司と相性が悪い、またはトラブルの相手が上司本人である場合は、人事担当者への相談がおすすめです。

メンバーひとりのやる気が落ちると、チーム全体の生産性低下につながりかねません。そのため、上司や人事担当者はしっかり話を聞いてくれることが多く、上長として解決策をくれたりうまくフォローしてくれたりする可能性が高いでしょう。

忙しい上司に相談するときは、上司の機嫌がよいときや、さほど忙しくないタイミングを見計らって相談することがポイントです。なかなか結論が見えないと上司をイライラさせかねないため、相談内容を簡潔にまとめてから相談しましょう。

信頼できる同僚

職場の人に話を聞いてほしいが上司への相談は気が引ける場合は、信頼できる同僚に相談することも有効です。自分と立場が似ている同僚はこちらの状況を理解してくれることが多く、共感も得やすいでしょう。

同僚に相談する場合は、相手の性格をしっかり見極めたうえで相談することが重要です。客観的な立場からアドバイスをくれる人もいますが、単なる傷のなめ合いになってしまうと解決へ至りにくくなります。また、相談内容をほかの人に話してしまうような口の軽い人には要注意です。

家族や友人など身近な人

会社の人に相談しづらいときやただ話を聞いてもらえればよいときは、職場と無関係の友人や家族がよい相談相手となります。家族や友人は職場の人より近しい存在であり、また自分のことをよく知っているため、親身に相談に乗ってもらえるでしょう。

ただし、家族や友人は会社の状況を知らない場合が多く、そのために適切なアドバイスをもらえないこともあります。また、家族に仕事の愚痴を言いすぎたために家庭内の雰囲気が悪化することもしばしばです。ときどき相談する程度であれば問題ありませんが、頻繁にネガティブな話題を出すことは避けましょう。

外部の相談窓口

相談相手がいないときや、ほかの人に悩みを知られたくないとき、あるいは身近な人に相談しても解決しなかったときは、外部の相談窓口を活用しましょう。窓口の人は話を聞くプロであり、公平な立場から相談に乗ってもらうことができます。また、相談先から秘密がもれる心配はありません。

職場の悩みを外部機関に相談したい場合は、各都道府県の総合労働相談コーナーやメンタルヘルス関連の相談窓口などがおすすめです。法律問題にかかわる内容であれば、法テラスなどに相談してもよいでしょう。

ほとんどの窓口では、電話・メール相談に加えて相談員との面談を実施しています。セクハラなどのデリケートな悩みがある場合は、女性相談員のいる窓口もおすすめです。

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職場の人間関係に疲れたら転職するのも一つの方法

職場では接する人を選べず、長時間かつ長期間にわたって関わる必要があるため、人間関係の悩みを抱えて働くのは精神的につらいでしょう。なかには、相談できる人がおらず無理をしてしまったばかりに、体調を壊してしまう人もいます。

体調を壊した状態が続いて仕事に支障をきたす場合や、仕事を続けることが精神的に難しい場合は、転職するのもひとつの手です。自分の心身を守るためにも、無理はしすぎないようにしましょう。

ただし、つらいからといって無断欠勤をしたり突発的に退職したりするのは、社会人として良い行動とはいえません。きちんと事情を説明したうえで、退職手続きを行うようにしましょう。

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まとめ

職場にはいろいろな人が集まるため、どうしても好きになれない人と出会うこともあります。そのため、職場の人間関係に悩む人は少なくありません。

そもそも職場の人と深く付き合う必要はなく、仕事に差し支えない範囲で分かり合えれば十分です。この事実を頭に入れつつ、自分が周囲に嫌な思いをさせないよう心がけることで、人間関係のストレスを軽減しやすくなるでしょう。

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