• 2020年6月26日
  • 2021年11月4日

尿道カテーテルQ&A「尿道カテーテルが“困難”な場合、どうする?」

 

『エキスパートナース』20183月号<尿道カテーテル[挿入][継続][抜糸]の根拠Q&A>より抜粋。「Q2尿道カテーテルが困難な場合、どうする?」を紹介いたします。

松本尚子 大阪市民病院機構 大阪市立十三市民病院 看護部、6階病棟看護師

カテーテル挿入に集中することは大切ですが、患者の状態に配慮することも大切です。プライバシー保護はもちろん、声かけや会話をすることで患者の緊張がほぐれます。挿入もしやすくなり、苦痛の軽減につながります。

尿道カテーテル挿入の手技に慣れていない看護師は1人で行わず、先輩や同僚スタッフの協力をあおぎましょう。

解剖の把握

いま一度、尿道の解剖図を確認しましょう(図1)。

1 尿道の解剖

挿入困難な場合の対応

1)男性の場合:前立腺肥大症、膀胱頸部硬化、尿道狭窄

前立腺が肥大すると、その内部の尿道が圧迫されるため、尿の通過障害が生じます。そのため尿閉が生じた場合は、手術まで尿道カテーテルを挿入することになります。その際尿道損傷が生じないような尿道カテーテルの挿入手技が必要です。

陰茎をしっかり引き上げても挿入困難なときは中止し、医師に依頼しましょう。カテーテルが進まないときに無理をすると偽尿道をつくることになります。

2)女性の場合:骨盤臓器脱

骨盤臓器脱は骨盤臓器によって腟が下垂して起こる疾患の総称です(図2)。高齢者の場合、骨盤底筋の緩み、膀胱瘤・直腸瘤、子宮脱、腟脱を起こすことがあります。そのため尿道口が見えず、尿道カテーテル挿入が困難になります。そこで、患者にリラックスしてもらい、しっかり開脚位をとってもらうことが必要です。

外尿道口がわからないときは、1人で実施せず、2人で確認しながら行います。それでも挿入困難なときは無理をしないで、必ず医師に依頼しましょう。

2 女性の骨盤臓器脱

*【kinking】=尿道のまがりやよじれ。

挿入困難時に使用するカテーテル

尿道が狭く挿入しにくい場合は、先端が若干硬く、曲がっているチーマンカテーテル(図3)が挿入されます。留置時に膀胱を損傷しないように医師によって慎重に挿入されます。このほかにカテーテルの先端の形状にはさまざまなものがあり、医師の指示に従い準備します。 尿道カテーテル挿入困難時は、膀胱瘻も考慮されます。膀胱瘻の造設について、尿道の閉塞・屈曲があれば尿道スタイレットを使用し、透視下で挿入されます。それでも挿入できないときは内視鏡下で行われます。看護師は準備・処置の介助ができるようにします。

尿道カテーテル挿入時に困難を生じると、患者は不安になります。そのため熟練した技術が必要であり、挿入する技術を繰り返して習得することが大切です。挿入に不安を感じたら、悩まずスタッフ間で相談しながら行いましょう。 さらに、排泄ケアについての研修は全国で行われています。このような研修に参加することでも、新たな技術習得や日ごろの疑問解決につながるかもしれません。

3 チーマン(型)カテーテル

コラム 認知症がある患者の尿道カテーテル留置、どうする?

認知症患者に排尿障害が生じた場合、必ず「尿道カテーテルが必要であるか」を主治医と相談しましょう。そのうえで必要であれば挿入します。
尿道カテーテル挿入に伴い、不安拘束感からADLが下がり、廃用症候群が生じることが予測できます。
挿入時は説明を繰り返し行い、必要性を理解しているかを確認します。
患者の不安も強いため、看護師2人で行うことも考慮します。声かけを行うとともに、安全に挿入するために身体が動かないように介助することも必要です。
尿道カテーテル挿入後は、事故(自己)抜去がないようズボンの中にランニングチューブを通してしまうとよいでしょう(図4)。そして手に尿道カテーテルや蓄尿バッグが当たらないようにして、気にならないようにすることも必要です。
尿道カテーテル挿入による不快、膀胱刺激症状が出ることがあり、痛薬や、ADLに合わせた気分転換、リハビリテーションが必要となります。

 

4 手に当たらないように設置した例?

 


[参考文献]
1..NPO愛知排泄ケア研究会 編:排泄機能指導士テキスト:128-132.
2.医療情報科学研究所 編:病気がみえるvol.8 腎泌尿器 第2版.メディックメディア,東京,2014:42-43.
3.後藤百万,渡邉順子 編:徹底ガイド排尿ケアQ&A.総合医学社,東京,2006:108-109.
4.日本創傷・オストミー・失禁管理学会 編:排泄ケアガイドブック.照林社,東京, 2017.

[PROFILE]

松本尚子(まつもと・なおこ)

大阪市民病院機構大阪市立十三市民病院 看護部、6階病棟看護師

6階病棟外科、泌尿器科、消化器内科病棟勤務。排泄機能指導士、日本コンチネンス協会電話相談員、おむつフィッター、間歇導尿指導士。

本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)照林社 [出典]エキスパートナース2018年3月号 P.56~「尿道カテーテル 挿入・継続・抜去の根拠Q&A」


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