給与明細は、おもに「勤怠」「支給」「控除」と3つの項目に分かれています。 「勤怠」は出勤、欠勤、勤務日数、勤務時間、残業時間(時間外労働、休日労働)、有給休暇などを記載する項目。実際に勤務した日数とズレはないか、確認する習慣をつけましょう。また、残業時間は残業代を算出するもととなる数字です。自分でも計算して、残業代が合っているかチェックすると安心です。
控除ってなに?
給与明細書に記載されている「控除」とは、所得から引かれるお金のこと。控除されるのは、おもに「社会保険料」と国や市町村に納める「税金」です。 なにが毎月の給与から差し引かれているのか、内容や金額をチェックして理解することで、社会保障や税金の仕組みについて知るきっかけになりますよ。
社会保険料の種類
健康保険料
健康保険料は、4~6月の平均給与額(標準報酬月額)に保険料率をかけて算出され、事業主(会社や病院など)と被保険者(社員や看護師など)が折半して負担します。
介護保険料
介護が必要な65歳以上の方の医療・福祉サービスの費用を負担するもので、満40歳以上の人は介護保険料を納めます。介護が必要な状態であると認定された際に、自己負担額1割で介護サービスを受けることができます。
厚生年金保険料
高齢になってから、また障害を負ったときなどに、年金を受け取るために加入する保険です。また、自身が死亡した際は、自身により生計が維持されていた遺族(配偶者や子など)に対して遺族年金が支払われます。厚生年金保険料には国民年金の保険料も含まれており、保険料は健康保険料と同様に事業主と被保険者が折半して負担します。ただし、パート勤務などにより厚生年金に加入できない場合は、国民年金を自分で納める必要があります。
雇用保険料
仕事を辞めたときに、次の就職先が見つかるまでの失業給付が支払われる保険です。保険料の6割強を事業主が負担し、残りの約4割を被保険者が負担します。
税金の種類
所得税
個人の給与所得に対してかかる税で、国に支払われます。所得税は、給与所得から雇用保険料、社会保険料、非課税通勤手当を引いた金額と扶養家族の人数により計算されます。概算額が毎月の給料や賞与から源泉徴収され、12月の年末調整で過不足額の精算が行われます。
住民税
都道府県民税と市区町村住民税を合わせたものです。住民税は、住民が均等に負担する「均等割」と、給与所得に応じてかかる「所得割」で構成されており、住んでいる市区町村に支払われます。税率は市区町村によって異なります。所得割額は前年の1月から12月までの所得から生命保険料や社会保険料などの所得控除を引き、一定の税率をかけて計算された規定の額が6月から毎月引かれる仕組みになっています。新入社員の場合は1年目は引かれませんが、2年目の6月以降、税金を支払います。 「総支給額-控除の合計額=実際に振り込まれる手取り額」です。 社会保険や税金の個人負担を知るためにも、この機会にじっくりと給与明細を見直してみましょう。次回は、支給額の内訳のひとつ、「各種手当」についてご紹介します。
文:看護師/カウンセラー 坂口千絵