オカリナ(おかずクラブ)_看護の日_インタビュー
  • 2022年5月8日
  • 2022年8月29日

「看護師は向いてなかった……でも」オカリナさんが語る看護師経験から得たもの

 

毎年5月12日は看護の日。看護師であるお母様を持ち、ご自身も看護師資格を持つおかずクラブのオカリナさんが、看護師を目指したきっかけや、看護師のキャリアが今の自分にどう活かされているのかお話を伺いました。

甘く見て不合格ーー1年目の看護国試

看護師になろうと思ったきっかけは、中学生の時に祖母が脳梗塞で突然倒れて意識を失ったことです。

当時のオカリナさん

いつも朝は母に起こしてもらっていたのですが、その日は起こされなかったので、「どうしたんだろう?」と思って確かめに行くと、祖母が居間で倒れていて、看護師である母が手際よく処置をしているところでした。

それから救急車を呼んで、祖母は入院。1週間後くらいに息を引き取りました。

祖母の死を体験して、初めて「人って本当に死ぬんだ」と実感しました。

「もしかすると両親も自分より先に亡くなるかもしれない。家族の病気の予兆に気づけないのは嫌だ」

そう思い、そのとき看護の道に進もうと決めました。

高校時代の頃のオカリナさん(高校の卒業アルバムより)
高校時代の頃のオカリナさん(高校の卒業アルバムより)

看護師として働く母から、看護師の仕事の話をあまり聞いたことがありませんでした。

母は夜勤で家にいないことが多かったので、「いつも家にお母さんがいるっていいな」と他の家族が羨ましかったのを覚えています。

でも、夜勤の日、母は私達が学校から帰宅した時に寂しくならないように、よく置き手紙を書いてくれていました。

母特製のカレーの作り置きも夜勤の日のお決まりで、母がいない夜は、父と妹、弟と3人でカレーを食べて過ごしました。

休みの日には私の好きなお弁当を作って遠くまで連れて行ってくれたのも、今思えば母なりの気遣いだったのかもしれません。
当時はこれが当たり前だと思っていたけど、私も看護師を経験した今、母がどれだけ大変ななか用意してくれていたのかと考えると……感謝しかありません。

オカリナさんとお母様
オカリナさんとお母様

ある日、母に「看護師になりたいんだけど」と伝えると、「看護科のある高校行ったらいいんじゃない?」と言ってくれて、高校から看護科に進学することになりました。

私は看護科では成績がまあまあ良かったんです。看護師国家試験は合格率90%で、テストの成績も良かったので「国試に落ちるわけがない」となめていたら、見事に落ちてしまいました。

クラスメイトの中でも私だけ落ちてしまって、あんなに惨めな気持ちになったことはなかったです。

その時に「合格率90%だとしても、試験に受かりやすいってことではなく、みんなが努力をしているからこそ高い合格率なんだな」と痛感しました。

だから2回目の国試は必死に勉強しました。

国試の試験は一度落ちてしまうと、同級生と給料も違うし惨めな思いもするので、これから国試を受ける人は最後まで頑張ってほしいと思います。

看護師を経て、気楽に生きられるようになった

看護学校時代に私の勉強に対する甘い姿勢を見抜いてたのか、学校の先生から「看護師に向いてない」と言われたことがありました。

看護師は人と話すのが好きな人や人に奉仕するのが好きな人じゃないと出来ない仕事。

私はすごく人見知りで、家族を助けたくても他人を助けたいという気持ちがベースにありませんでした。

だから晴れて看護師デビューしたのも束の間、看護師としてのモチベーションがなかなか続かなかったんです。

自分のミスが患者さんの命に直結するというプレッシャーや技術面で苦手なこともたくさんありました。仕事がデキる先輩にフォローしてもらってばかりでしたね。

お笑い芸人になったからといっても、それは同じで。

今でもお笑いという仕事が向いているのかどうかも、何が正解かも分かりません。

だけど、芸人仲間やテレビの編集者さんのおかげで、おもしろく仕上げてもらっています。看護師時代も今も助けてもらってばかりです。

私は4年目で看護師を辞めましたが、今感じるのは「看護師はどんな現場でも重宝されるということ」です。

病棟の中にいた時は気づかなかったけど、一歩外に出ると看護師さんの重要さに気付かされることが多くて。

周りの人に自分のキャリアを話すと、「この薬ってどう思う?」とか「私の家族が病気なんだけど、どうしよう?」とか、何かと頼ってもらえることが増えました。

看護師として働いていた経験を活かした仕事のオファーも来たりするんです。今回もそうですしね。

だからこそ「もっと努力して看護の技術や知識をちゃんと身につけておけばよかった」と後悔しています。もちろん、看護師の仕事って慣れと相性もあると思うんですけど。

ただ、私にとって看護師のキャリアは無駄じゃなかったし、今の仕事に影響していることがたくさんあります。

何がって、一番は看護師の仕事をやってからすごく忍耐強くなったことです。

看護師として緊張感が伴うなか働いた経験があるからこそ、すごく落ちこんだり、むちゃくちゃ腹が立ったりすることが、ほとんどなくなりました。

それに、お笑いの世界ならスベっても人が死ぬことはないですから。

今も仕事で大喜利する時なんかは「苦手だし、イヤだな」って思いますけど、最終的には「死にはしないから大丈夫」って、物事を気楽に考えられるようになりましたね。

今はコロナ禍ということもあり、私が働いていた時よりも今の看護師の仕事はとても大変だと思います。

それに、看護師は人の死に立ち会ったりして心が折れてしまうことがあるもの。

だけど、そんな時こそ自分は重要な仕事をしているって誇りに思って欲しいです。

もし辛くなった時は、看護師になりたいと思った時の気持ちを思い出してみてください。

看護師だった母への思い

お母様におんぶしてもらうオカリナさん

看護師を経験してからは、同じく看護師だった母への印象もずいぶん変わりました。

私は4年間だけ看護師として働いたんですけど、人の命を扱っているという緊張感があるなか、本当に大変なことが多かったです。

特に、生活リズムが乱れがちな夜勤がつらくて辞めてしまう看護師も多いので、それを私の母は3人の子どもを育てながら、定年まで勤め上げたなんて本当にすごいと思います。

母は忙しい毎日のなかでも、私達のために努力してくれていました。

母が働いていた病院には当時、育児施設が併設されていて、私が保育園に行く3歳までそこに預けられていていたのですが、母は休憩時間には必ず私に会いに来てくれました。

1歳頃のオカリナさん
1歳頃のオカリナさん

両親に対して尊敬しているのは、私のやりたいことを一度も否定せず、全部応援してくれたことです。

「私立の学校に行きたい」とか「そろばんを習いたい」など、私がやりたいことを何でもやらせてくれたので、のびのびと自分らしく過ごせている今の私に繋がっているんじゃないかなと思います。

ただ、どれも全然続かなかったんですけどね(笑)。でも何が苦手で何が好きか、そして自分がどんな性分なのか、何でもやらせてもらったおかげで分かった気がします。

そう思うと、看護師になりたいと思った私に、「看護科に行ったら?」と母が背中を押してくれたからこそ、今の自分があるんだと思います。

もし高校生の時に看護の道を選んでいなかったら、どうなっていたんだろう。

看護の道に進んでいなかったら、お笑い芸人にもなっていなかったかもしれませんね。

母には誰よりも感謝しています。

もういい大人なんですけど、未だに両親には甘えていて、コロナ禍前は母のご飯を食べるために宮崎の実家によく帰っていました。

自分は母の料理で育ってきたので母のご飯がどこよりも美味しいんです。

宮崎にいた頃からずっと母のご飯を食べていたので、あまり宮崎の味には詳しくなくて。

なので、『秘密のケンミンSHOW極』に宮崎代表として出演する時は、正直戸惑いましたよ(笑)。

取材/小沢あや(ピース株式会社)+構成/吉野舞
企画・編集/藤田佳奈美(TAC企画)
撮影/小原聡太

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