清拭のマナー

清拭は病状や治療上の理由によって、入浴やシャワーなどが行えない患者さんに対して実施します。清潔を保持することで、感染予防はもちろん、爽快感が得られ闘病意欲の向上にもつながります。今回は清拭を行う際のマナーについてご紹介します。
清拭の準備と手順
清拭を行う際は、病状の確認として、事前にバイタルサインや全身状態の観察を行い、排泄をすませておきます。室温は22℃~26℃に設定し、カーテン、スクリーンなどを使って羞恥心やプライバシーに配慮しましょう。環境を整えた後は、患者さんの掛け布団をタオルケットやバスタオルなどに取り換え、保温に努めます。
基本的な清拭は、上半身から下半身の順に進めます。具体的には以下の順番です。
1.顔
2.両上肢・腋窩
3.胸部・腹部
4.下肢(足指)
5.背部
6.臀部・陰部
清拭時はタオルケットなどを使いながら露出を最小限にし、羞恥心への配慮や保温などに努めます。時間がかかり過ぎると患者さんの負担になり、病状の悪化にもつながりかねません。安楽な体位で手際よく進めましょう。
注意したいポイント
清拭を行う際には、必要物品、温度確認、患者さんの病状、全身の観察など、注意したいポイントがあります。
例えば、手袋を使用する清拭では、絞ったウォッシュクロスの温度確認を前腕の内側にあててから実施します。最近は使い捨てタオルが多くなっていますが、使い捨てのものは冷めるまでの時間が早いので、寒さを与えないように注意しましょう。
また、食後1時間以内に清拭を実施すると、末梢血管の循環血液量が多くなり、消化機能の低下が起こりやすくなるので避けましょう。

プロフィール
中澤 真弥(なかざわ まや)
看護師ライター
現役の看護師として働きながらフリーライターとして活動。ほかにも大学非常勤教員、パラアスリート専属ライター、カメラマンなど幅広く活動を広げる。また、3人の子育て中に復職、転職を経験したことから、女性のワークライフバランスや看護師の新たな働き方について講演、スピーチなどを行う。著書4冊。