• 2020年11月24日
  • 2022年4月19日

疼痛管理のマナー

 

疼痛の苦しみはあくまでも主観的なものであり、看護者側はその程度や疼痛の感じ方を患者さんと同じように捉えることは難しいもの。患者さんと信頼関係を築くためにも、主観的な訴えから必要な看護援助を判断することが大切です。 まずは疼痛を正確に捉えるためのアセスメントや学びを深める必要があります。今回は、疼痛管理のマナーについてご紹介します。

看護計画を取り入れながら疼痛管理をする

疼痛にはさまざまな分類がありますが、痛みの種類は大きく「侵害受容性疼痛」「神経因性疼痛」「精神心因性疼痛」の3つに分かれています。まずは疼痛がどの痛みであるのかを判断しましょう。

<侵害受容性疼痛>
口の中を誤って噛んだり、調理中に包丁で指を切ったりする「表在性疼痛」、足をくじいて捻挫したり、運動後に起こる筋肉痛などの「深在性疼痛」など、身体の組織が損傷することによって生じる痛み

<神経因性疼痛>
帯状疱疹後の神経痛や、下肢切断後に起こる幻肢痛など、神経経路の損傷や機能障害に起因する痛み

<精神心因性疼痛>
精神的なショックによる痛みやうつ状態など、神経経路には問題なく生じる痛み

まずは疼痛の原因をアセスメントし、それに伴う全身症状を把握します。患者さん自身も痛みの原因を知ることで、その後の予測ができ安心感にもつながります。

また判断基準として用いられている評価法には、患者さん自身が痛みのレベルを評価するNRS(Numerical Rating Scale)、10cmの直線上のどの位置に痛みがあるのかを示すVAS(Visual Analog Scale)、痛みの強さを言語として表すVRS(Verbal rating scale)などがあります。

<参考:痛みの評価法>
日本ペインクリニック学会「痛みの基礎知識」

治療方法としては薬物療法や神経ブロックによる鎮痛が行われますが、疼痛には個人差があり、体位や精神状態などにより日ごとに違いがあります。ただ単に痛みを抑えたり取り除いたりするだけでなく、アセスメントや統合的な評価を継続的に行う必要があります。

疼痛の観察・アセスメント・看護のポイント

疼痛の観察ポイントとしては、下記の評価を行う必要があります。

・痛みの部位:限局的、複数的
・痛みのはじまり:いつ痛みがあるのか、回数、間歇的・持続的、強さの変化など
・痛みの強さ:スケールを用いて評価する
・痛みの性質:体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛であるか
・痛みの影響因子や生活への影響など

鎮痛薬を使用した場合には、開始時間、用量と副作用、薬剤の効果、持続時間などの評価が求められます。

急性疼痛の場合には、薬物療法と並行して痛みの緩和を図ることが優先されます。心因性疼痛の場合、薬物療法の効果がないことが多いため、時間をかけて患者さんの訴えを聞くなど心理学的療法も取り入れる必要があります。

また、術後疼痛管理では、なぜ痛みが出ているのかのアセスメントが大切です。例えば腹痛の場合、術後縫合不全や出血、感染、イレウスなどの合併症が考えられます。患者さんの痛みの訴えには十分注意が必要です。発見の遅れが命に関わることもあるため、早期発見・早期治療につなげましょう。

<術後の疼痛管理についてもっと詳しく>
術後回復が大切な理由
術後回復を促進するには?
疼痛コントロールのコツ
患者さんの回復意欲を高めるには?

お一人で悩まず、看護師専任の
キャリアアドバイザーに相談してみませんか?

著者プロフィール