患者さんに坐薬挿入をする際に気をつけたいポイントがいくつかあります。今回は、坐薬挿入のマナーについてご紹介します。
患者さんの苦痛が最小限になるように挿入する
腹圧をかけずスムーズに挿入できるよう、患者さんには口呼吸を促し、苦痛を最小限にできるように援助を行います。
坐薬をそのまま挿入すると潤滑が悪く、浅い挿入になりやすいため、患者さんの苦痛をともなうばかりか十分な効果が得られません。坐薬の排出防止のためにも、適量の潤滑剤を使用し、内肛門括約筋より奥(肛門から3~5cm)まで挿入しましょう。また、患者さんには、万が一坐薬が排出された場合には速やかに看護師を呼ぶよう説明しておきます。
禁忌・注意事項を把握する
高齢者の患者さんなど、殿部の皮膚のたるみが著明な場合、肛門部が見えにくいこともあります。女性の場合は膣に誤挿入する危険もありますので、挿入困難時はしっかりと肛門部を確認したうえで確実に挿入するようにしてください。また、痔疾患や頻繁な下痢、下血が見られる場合、状況に応じて医師と相談し、内服薬、注射などで別の薬剤を投与することも検討しましょう。
坐薬には解熱鎮痛剤、制吐作用のある薬剤、下剤などさまざまな種類のものがあり、mg数もそれぞれ異なります。挿入前は必ず正しい種類や用量であるかをしっかりと確認しましょう。
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文:看護師/カウンセラー 坂口千絵