vol.75
医師や看護師の就業管理がスマホで可能に

インフォコムは、医療従事者の勤務状況を管理する「CWS就業管理システム」のスマートフォン版を2019年1月より提供開始することを発表しました。
医師や看護師、事務部門などにそれぞれ求められる就業管理機能をパッケージ化し、ICカードやスマートフォンと連携させて就業時間をリアルタイムに集計できるようになります。また、当直やオンコール体制など多様な勤務体系にも対応。さらに、看護師のシフト作成や、看護配置とも関わりのある入院基本料算定に必要な様式にも対応可能となっています。電子カルテや給与システムとの連携もできるため、病院全体で包括的に管理できるメリットがありそうです。
このシステムは、「働き方改革」という面でとくに期待ができそうです。看護部長や師長などの管理者レベルであれば、シフト作成を現場で行う必要がなくなります。自宅で空いた時間に気軽に行えるので、職場での業務負担軽減につなげることができそうです。
また、現在紙ベースで勤務状況を管理している職場もあると思いますが、「CWS就業管理システム」を導入すると、勤務状況のチェック時にわざわざ部署まで出向く必要がなくなります。
個々のスタッフの作業として、依然としてタイムカードの打刻や残業申告の書類作成が求められる職場もありますが、スマートフォンで管理ができるようになればこれらの作業の手間を省くことができます。
多様な働き方が混在する医療現場。これまでは職種ごとの勤務状況を事務部門が正確に把握できていなかったり、給与の各種手当が実際の勤務状況と乖離したりするなど、混乱を招きやすい環境下にありました。ここで、システムの導入が実現すれば、効率的かつ正確に勤務状況の管理ができそうです。
特定看護師 医師が不在のときに力を発揮できる存在に

高齢化が加速するなか、在宅医療を支える人材として、医師の診療補助で高度な医療行為ができる「特定看護師」に期待が高まっています。
全国で「特定看護師」の研修を修了した看護師は、2017年12月時点で738人。山形大大学院医学研究科でも2017年度から研修を始めており、現在は2人が研修を受けています。このように、都市部だけでなく、地方でも特定看護師の育成が進められています。
特定看護師がもっとも期待されることは、医師がいない場面でも、手順書に従い、患者の求める特定の治療を提供することだと言われています。とくに、医師が不在になりやすい訪問看護において、特定看護師の需要が高まりそうです。
ただし、研修が行われているのは大学病院。病院で育成された特定看護師が、在宅医療に対応できるのかという点で懸念があります。特定看護師を在宅医療で活躍させるには、訪問診療を行っている医師からの指導が得られる環境作りや、研修実施機関の拡大が必要と言えます。
なにより、特定看護師は、訪問看護認定看護師や在宅看護専門看護師から目指すのが最もスムーズだと考えられるので、このような背景に配慮した働きかけや制度改正が求められるでしょう。
また、特定看護師が仕事を行う上で不安視されるのが、医療事故のリスクです。従来、医師が行っていた分野である特定行為ですから、いくら熟練し、研修を修了した看護師であっても、高度な技術が求められる場面や判断の難しさに直面する可能性があります。このあたりのフォローアップも重要です。
文:看護師 水谷良介
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