業界ニュース情報便

vol.96

中堅看護師必見!チームの組織力を高める3つの方法

「ナースステーションに活気がない」「職場の人間関係がギスギスしている」「退職の連鎖が止まらない」——。中堅看護師ともなれば組織のリーダーを担うことも多くなり、チーム運営に頭を悩ませることもあるでしょう。そうした皆さんに、看護師・保健師として臨床経験を持ち、現在は独立して医療組織のコンサルティングに携わる上村久子さん(組織力アップトレーナー)からアドバイスをいただきました。

病院やクリニックが抱える組織の課題とは?

新人のうちは業務を覚えるのに手いっぱいだった人も、経験を積むうちに病院やクリニック全体が見えるようになってくるもの。主任などの役職に就けばなおさら、自身が所属する組織のチームワークが気になり始めるのではないでしょうか。

株式会社メディフローラを立ち上げて「組織力アップトレーナー」として活躍する上村久子さんは、もともとは現場の看護師・保健師でした。病院での臨床経験に加えて、大学院での研究や医療系経営コンサルティング会社で学んだことを踏まえ、数多くの医療現場でコンサルティングや研修を実施しています。

「どのような組織にも共通して言えることですが、リーダーが『自分のところは大丈夫』と信じてしまい、問題が潜在化してしまうケースが少なくありません。リーダーは、自身が束ねる組織が抱える課題を客観的に把握し、顕在化させていく方が良いと思います」(上村さん、以下カッコ内は同様)

上村さんによれば、組織の問題の根底にあるのは、ほとんどの場合が「何らかのコミュニケーションエラー」なのだとか。しかし、医師の指示を待つ立場になりやすい、いわゆるコメディカルの人たちは、当然、日ごろのコミュニケーションにおいても受け身になることは不思議なことではないとのこと。

「相手任せの態度はコミュニケーションエラーを引き起こしがち。『あなたが上手にボールを投げてよ』ではなく、そもそも自分がボールを受ける用意ができているかどうか、自分の気持ちや言動を振り返って確認することが重要です」

中堅看護師が知っておきたい3つのポイント

それでは、組織内のコミュニケーションを改善させるためには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。大切な3つのポイントを上村さんに教えてもらいました。

ポイント① 「言ったこと=伝わったこと」と思い込まない

自分が言ったことと、相手に伝わったことは、必ずしもイコールではありません。例えば、そっぽを向いて「ありがとう」と言っても、マイナスの意味にとられてしまう可能性がありますよね。あくまでも相手がどう受け止めたかが重要だということを、あらためて認識しましょう。

ポイント② 思いをため込まず、適切なかたちで表現する

意見があってもその場では口にせず、不満がたまりにたまってから爆発的に相手へ訴えてしまった……。そんなケースは少なくありません。そんなときは、感情に任せるのではなく、伝え方やタイミングを戦略的に考えることが重要です。相手の意見に同意することだけが良好なコミュニケーションではありませんが、反対意見を言うときは、建設的な方向に着地できるよう発信の仕方に工夫を。もちろん、話しやすい雰囲気づくりも大切です。何より、相手が受け止められる状態かどうかの確認も忘れずに!

ポイント③ 自分のコミュニケーションのクセを知る

「とりあえず否定から入る」「エネルギッシュにしゃべりすぎて相手を疲れさせやすい」といった「コミュニケーションのクセ」は、誰もが持っているもの。自分で自分のクセに気付くことは難しいので、信頼できる第三者に評価してもらうことが有効です。また、動画を撮影することにより、客観的に自分を振り返ってみることもおすすめです。

組織力がアップすることでこんな効果が!

コミュニケーションを改善し、組織力が上がることで、想像以上の効果が期待できることもあります。続いては、上村さんがこれまで目にしてきた、組織力アップの事例を紹介しましょう。

●円滑なコミュニケーションを実現することで職場全体の雰囲気が明るくなり、以前より楽しく日々の業務に取り組めるようになった。

●人間関係のストレスを理由とした退職者が大幅に減少。新しい人材の採用や教育に必要以上の労力を割く必要がなくなり、忙しさが軽減された。

●異なる職種や病棟のスタッフとも話す機会が増え、患者さんの情報を収集しやすくなった。また、より良いケアを提案できる機会が増えた。

●コミュニケーションエラーが減ることにより、医療事故やインシデントを未然に防ぐことにつながった。

【上村さんのワンポイントアドバイス】

一般企業の例と同じように、コミュニケーションの改善による業務効率化がベッドの回転率アップにつながり、病棟の利益増に結び付きます。組織力アップは、現場のスタッフだけでなく、必ず病院全体に良い効果をもたらしてくれます。

上村さんが提供している研修は、「パワータレント」「モチベーション」「コミュニケーション」「メンタルヘルス」の4コース。しかし、これらの区分は便宜的なもので、実際の課題は複数の領域にまたがっていることがほとんどだといいます。

「組織の中でリーダー的な役割を担うようになったら、全体を俯瞰して課題を把握し、より本質的な解決を目指してみてください。あなたはどんなリーダーで在りたいですか? 高度な専門性を追求する医療現場では、なりゆきに任せていると閉鎖的なチームになりがち。だからこそ、組織力の向上に注目し、その改善に向けて行動できるリーダーが必要なのです」

文:ナースぷらす編集部

上村久子(うえむら ひさこ)

株式会社メディフローラ代表取締役。東京医科歯科大学にて看護師・保健師免許を取得後、医療現場における人事制度の在り方に疑問を抱き、総合病院での勤務の傍ら慶應義塾大学大学院において花田光世教授のもと、人事組織論を研究。大学院在籍中に組織文化へ働きかける研修を開発。
その後、医療系コンサルティング会社にて急性期病院を対象に診療内容を中心とした経営改善に従事しつつ、社内初の組織活性化研修の立ち上げを行う。2010年には心理相談員の免許を取得。2013年フリーランスとなる。大学院時代にはじめて研修を行った時から10年近く経とうとする現在でも、培った組織文化は継続している。

メディアフローラ http://uemurahisako.com/

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