高齢で耳が遠い、あるいは疾患などにより難聴がある患者さんとコミュニケーションを取るときは、話し方や接し方に工夫が必要です。そのポイントについてご紹介します。
患者さんの耳元に近づき、低い声でゆっくりと話す
難聴の患者さんは高音域に障害があることが多いため、できるだけ耳元に近づき、低い声で一語一語を区切りながらゆっくりと話しましょう。マスクをしているとさらに聞き取りにくくなるので、可能であれば外すことをおすすめします。難聴が高度な患者さんと接するときや、具合の悪い人が同室にいて大きな声を出せない場合は、ジェスチャーや筆談も活用するとよいでしょう。
一つひとつ区切りながら、短い言葉で話す
一文節が長かったり、内容が難しかったりすると、ゆっくりと低い声で伝えても相手は理解できません。専門用語の使用はできるだけ避け、一つひとつ区切りながら簡潔な言葉で伝えるようにしましょう。
【例】
×「明日は朝6時に血糖の採血検査がありますので、もしも採血前に喉が渇いたら、水やお茶を摂ってください」
○「明日/朝6時に/血糖の/検査があります。/もしも/検査前に/喉が渇いたら/水かお茶を/飲んでください」
×「明日は朝6時に血糖の採血検査がありますので、もしも採血前に喉が渇いたら、水やお茶を摂ってください」
○「明日/朝6時に/血糖の/検査があります。/もしも/検査前に/喉が渇いたら/水かお茶を/飲んでください」
コミュニケーションで大切なのは「伝える」ことではなく「伝わる」ことです。難聴の患者さんと接するときは特に、どのように話したら伝わりやすいかを、常に意識するようにしましょう。
文:看護師/カウンセラー 坂口千絵
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