vol.42
診療報酬改定は看護現場に直結! 給料やニーズが変わるってホント!?

2016年度の診療報酬改定により、「7対1入院基本料」や「72時間ルール」計算式など、さまざまな見直しが行われました。こうした見直しは、現場の看護師にどのような影響が予想されるのでしょうか?今回は給料や雇用の予想される変化についてを解説いたします。
忙しくなるのに給料が減る可能性も!?
「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者の割合が引き上げられると、必然的に医療機関では重症患者の占める割合がこれまで以上に増えることになります。そのため、「7対1入院基本料」を算定する病院で働く看護師は、これまで以上に多忙になることが予測されます。また、医療機関が「10対1入院基本料」に移行した場合は、一床につき1日あたりの収入が約3,000円減となるため、必然的に医療機関自体の収益が減少。それに伴い、看護師の給料も減る恐れもあります。
診療報酬改定により、変化する看護師のニーズ
今回の診療報酬改定の背景には「2025年問題」があります。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護に対するニーズが急増。医療に関する財政バランスが崩れるだけでなく、病床数や医師の不足、必要な医療提供がうまくできないなどの問題が発生し、日本の医療現場が崩壊しかねないと指摘されています。こうした問題に対応すべく国は、医療機関の機能分化や在宅医療の充実を目指す「地域包括ケアシステム」を推進しています。
現在、看護師の約8割は、病院や診療所に勤務しています(厚生労働省「看護職員の現状と推移」より)。しかし、今後は「地域包括ケアシステム」の影響もあり、在宅ケアや訪問看護などの地域医療に携わる看護師のニーズが増えていくことが予想されます。
地域医療では、患者さんに適切なケアを行うため、患者個々の抱える状況に合わせた専門機関との連携が欠かせません。また、不安を抱える家族のサポートも必要になります。地域医療にシフトしていくなかで、看護師の役割は今まで以上に重要なものとなりますが、現状では需要と共有のバランスがとれていないのも事実です。
その状況を打破するため活躍の期待が高まっているのが、資格を眠らせている“潜在看護師”の存在。訪問看護などの在宅医療では、医療機関のような時間的制約が少ないため、働き方を選びやすくなっています。また、患者やその家族一人ひとりとじっくり向き合う機会も多く、“大きなやりがい”を感じられる場面もあるでしょう。
時代のニーズに合わせて、新しい働き方にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
文:看護師 水谷良介