• 2023年5月24日
  • 2023年5月15日

パーキンソン病患者と健常者で会話内容に差異~名古屋大が研究グループの成果発表

 
名古屋大大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授らは、「認知障害のないパーキンソン病患者と健常者との間で、会話内容に差異がある」と研究成果を発表しました。勝野教授ら研究グループは、パーキンソン病患者と健常対象者、それぞれ53人を解析。この会話の変化を応用することにより、サポートベクタマシン(機械学習モデルの一種)で80%以上の精度でパーキンソン病と健常者を判別できることが判明し、「パーキンソン病の診断に利用できる可能性」を示唆しています。

名古屋大は、同大大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授らの研究グループのパーキンソン病に関する研究の成果を発表した。認知障害のないパーキンソン病患者と健常者との間で、会話内容に差異があることが見い出されたという。【新井哉】

研究グループは、パーキンソン病患者と健常対象者、それぞれ53人を解析の対象とした。「か」で始まる単語を1分間にできるだけ言ってもらう「言語流暢性課題」や、動物の名前を1分間にできるだけ言ってもらう「意味流暢性課題」には、有意差はなかったが、品詞の数は、パーキンソン病群が健常者群よりも有意に少なかった。文の数に関しては「有意な群間差」は見られなかったという。

 これらの解析で、パーキンソン病患者と健常者を見分ける重要な手掛かりとして、▽動詞の割合▽格助詞の分散▽1文当たりの一般名詞▽固有名詞▽動詞▽フィラー(特に意味がない、間をつなぐ文句)-の6項目の「特徴量」が選択された。これを分析したところ、全項目でパーキンソン病群と健常者群との間に有意差が認められた。パーキンソン病患者の会話は、健常者に比べて「自発的な会話で1文に話す品詞の数が少なく、1つの文章が短い」「動詞と格助詞(分散)が多く、名詞とフィラーが少ない」ことなどが分かった。

 この会話の変化を応用することにより、サポートベクタマシン(機械学習モデルの一種)で80%以上の精度でパーキンソン病と健常者を判別できることが判明した。これらの結果は「パーキンソン病の診断に利用できる可能性」を示唆しているという。「今後、認知機能の低下を来したパーキンソン病患者の会話の解析や、パーキンソン病以外のアルツハイマー病を中心とする神経変性疾患の患者の会話の解析を自然言語処理により行っていく予定」としている。研究の成果は、米国科学雑誌「Parkinsonism & Related Disorders」(電子版)に掲載された。


出展:医療介護CBニュース