• 2022年8月2日
  • 2022年8月22日

看護の処遇改善を諮問、入院料のみに細分化点数を上乗せする案が有力~中医協総会

 
7月27日、後藤茂之厚生労働相は、看護の処遇改善が柱の2022年10月の診療報酬改定について中央社会保険医療協議会に諮問しました。
算定要件や処遇改善要件の案も示され、上乗せ点数による処遇改善の合計額の3分の2以上をベースアップに充当する必要があることが明記されています。
点数設定方法については8つの試算モデルのうち、「入院料」のみに100種類の点数を上乗せするモデル①―2と、「初・再診料」にも15種類の点数を上乗せするモデル③―2の2案に絞られてきています。また、基本診療料への上乗せ点数は「看護職員数(常勤換算数)」や「延べ入院患者数・外来患者数」を基準に設定するとされ、医療機関はこれら実績を定期的に届け出ることとし、実績に一定割合以上の変動があった場合には変更届の提出を求める枠組みが示されました。

後藤茂之厚生労働大臣は7月27日の中央社会保険医療協議会総会に、看護の処遇改善が柱の2022年10月の診療報酬改定について諮問した。同日の総会には算定要件や処遇改善要件の案も示され、制度の枠組みがおおよそ見えてきた。点数の設定方法では細分化された点数を入院料のみに上乗せする案で調整が進められることになりそうだ。次回以降の総会で答申される見通し。

点数設定方法については8つの試算モデルが示されており、これまでの議論で「入院料」のみに100種類の点数を上乗せするモデル①―2と、「初・再診料」にも15種類の点数を上乗せするモデル③―2の2案に絞られてきている。ただ、看護職との接点が少ない外来患者にも負担を求めることには慎重論もあり、この日の総会では上乗せ対象を入院料に限定する①―2を軸に検討を深めることで各側の意見が概ね一致した。

算定要件のうち、医療機関の適格性の基準については、▶「救急医療管理加算」の届出を行っており、かつ年間の救急搬送件数が年200件以上、▶三次救急を担っている―のいずれかへの該当を求める案を厚生労働省が提示。基本診療料への上乗せ点数は、「看護職員数(常勤換算数)」や「延べ入院患者数・外来患者数」を基準に設定する。医療機関はこれら実績を定期的に届け出ることとし、実績に一定割合以上の変動があった場合には変更届の提出を求める枠組みを示した。

■患者数、看護職員数等を3カ月ごとに届出、1割以上の変動で変更届

救急搬送件数や患者数などの実績対象期間や届出頻度については複数案を提示。各側は、▶救急搬送件数/前々年度1年間の実績を用いる、▶延べ入院患者数・外来患者数、看護職員数の届出頻度/3月ごとに直近3月の実績、あるいは3月ごとに直近6月の実績を届け出る、▶前回届出時から延べ入院患者数・外来患者数または看護職員数の変動が1割以上の場合に変更届の提出を求める―ことが適当との認識で一致している。

処遇改善の算定要件案では、安定的な賃金改善を確保する観点から、上乗せ点数による処遇改善の合計額の3分の2以上をベースアップに充当する必要があることを明記。処遇改善の対象者は医療機関の判断でコメディカルに広げることが可能としたが、現在の案に追加要望が出ていた病棟薬剤師は含まれていない。

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出展:WEB医事新報