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  • 2022年6月17日
  • 2022年6月16日

医療DX、かかりつけ医制度化推進を明記─骨太方針2022が閣議決定【まとめてみました】

 
6月7日の臨時閣議で決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針)」について、医療・介護分野では、「医療DX」や「かかりつけ医機能の制度化推進」など、機能分化と連携を一層重視した国民目線での改革が進められる方針です。
日本医師会など各団体から多様な意見がある中、日本医事新報社が主な医療分野の項目について整理していますので、ぜひ今後の動きを注視する際に参考にしてください。

政府は6月7日の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針)」を決定した。今年度の骨太方針は、機動的なマクロ経済運営によって経済回復を実現しながら、「新しい資本主義」の実現に向けた計画的で重点的な投資や規制・制度改革を行い、成長と分配の好循環を実現するという岸田文雄首相が打ち出す経済財政政策の全体像を示したものとして注目される。医療分野では「医療DX」やかかりつけ医機能の制度化推進など「機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進める」と明記した。

首相が本部長の「医療DX推進本部」設置

今年度の骨太方針の最大の特徴は、全体を通じデジタル社会の実現に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を強調している点。医療DXにおいては、首相を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置し、①全国医療情報プラットフォームの創設、②電子カルテ情報の標準化、③診療報酬改定DX─の取り組みを行政と関係業界が「一丸となって」進めていくと明記、得られたデータの利活用を進める法整備の必要性も盛り込んだ。③の診療報酬改定DXは、デジタル時代に対応して診療報酬改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を進めるとされている。

オンライン資格確認については、2023年4月から保険医療機関・薬局への導入を原則義務化するとした上で、2024年度中をメドに「保険者による保険証発行の選択制」導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ「保険証の原則廃止」を目指すと明記した。

医療DX推進の重要性は、政府が同日閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」にも明記された。

かかりつけ医制度化に向けた動きが強まる

地域の医療機関にとって影響が大きく注目されるのは、かかりつけ医機能の制度化を推進する方針を盛り込んだ点。質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するために機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制などの改革を国民目線で進めるとした上で、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と明記した。

かかりつけ医機能については、財政制度等審議会も5月25日に公表した“春の建議”で言及。建議では新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、「我が国の医療保険制度の金看板とされてきたフリーアクセスは、肝心な時に十分に機能しなかった可能性が高い」と批判。医療機関をかかりつけ医として認定するなどの制度を設け、利用希望者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みの導入を検討するよう求めている。

こうした動きに対し、日本医師会は反対する姿勢を示しているが、かかりつけ医機能の制度化は既定路線になりつつあるといえる。

リフィル処方箋の普及・定着も明記

医療機関の経営状況の電子開示システムの整備も盛り込まれた。新型コロナの感染拡大で経営危機が懸念される中、昨夏の“第5波”では、病床保険料を受け取りながらも患者の受け入れ実態がなかった“幽霊病床”の存在が問題視。22年度診療報酬改定を巡る中医協の議論では、コロナ対応の補助金や診療報酬特例を含めると多くの医療機関が黒字状況にあると指摘されたことなどを踏まえ、経営実態の透明化を求める方向となった。

22年度の診療報酬改定率を巡る動きの中で財務相と厚労相の閣僚折衝により導入が決まったリフィル処方箋については、効果の検証とともに周知・広報などリフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現すると明記した。

参院選後に実行に向けた方策を検討

骨太方針は、首相が議長を務め経済財政の司令塔とされる「経済財政諮問会議」が策定し、政府が予算編成の指針とするものだ。NHKが6月13日に実施した世論調査によると岸田内閣の支持率は5月から4ポイント増の59%と昨年10月の発足後最も高くなった。参院選でも与党の優勢は確実視されており、岸田内閣が長期政権化する可能性も指摘されている。

岸田首相は、骨太方針に盛り込まれた医療DXやかかりつけ医機能の制度化の推進など個別項目について「参院選後、決定した方針を前に進めるための総合的な方策を具体化する」としている。

骨太方針2022 主な医療分野の項目

かかりつけ医機能の制度化

質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めることとし、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに、地域医療連携推進法人の有効活用や都道府県の責務の明確化等に関し必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進する。

オンライン資格確認

  • オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に2023年4月から導入を原則として義務付けるとともに、「導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進む」よう関連支援等の措置を見直す
  • 2024年度中を目途に「保険者による保険証発行の選択制」導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ「保険証の原則廃止」を目指す

医療DX推進本部の設置

「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」、「診療報酬改定DX」の取り組みを行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため内閣総理大臣を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する

経営状況の電子開示システムの整備

経営実態の透明化の観点から、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備する

スタッフの処遇改善

スタッフの処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講ずる

オンライン診療の推進

医療DX推進のため、オンライン診療の活用を促進するとともに、「AIホスピタル」の推進・実装に向け取り組む

がん・難病創薬推進に向けた情報基盤の整備

がん・難病に係る創薬推進等のため、臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報を連携させ搭載する情報基盤を構築し、その利活用に係る環境を早急に整備する

がん対策の推進

がん専門医療人材を養成するとともに、「がん対策推進基本計画」の見直し、新たな治療法を患者に届ける取り組みを推進するなどのがん対策を推進する

セルフメディケーション推進

OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討等によるセルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上に取り組む

リフィル処方箋の普及・定着

良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から、2022年度診療報酬改定により措置された取り組みの検証を行うとともに、周知・広報の推進とあわせたリフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現する

バイオシミラーの推進

バイオシミラーについて、医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度(2022年度)中に設定し、着実に推進する

コロナ対応診療報酬特例の見直し

コロナ入院患者受入医療機関等に対する補助の在り方について、これまでの診療報酬の特例等も参考に見直す

国民皆歯科検診の具体的検討

「全身の健康」と「口腔の健康」に関するエビデンス集積と国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療職間・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保、歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む


出典:Web医事新報