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  • 2022年3月3日
  • 2022年4月11日

【識者の眼】「地域包括ケア病棟の改革」武久洋三

 
厚労省の医系技官の多くが関わることとなり、2年に1回行われる診療報酬改定の2022年度の内容が発表されました。今回の【識者の眼】では武久洋三氏(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)が「地域包括ケア病棟の改革」と題して寄稿。
今年の改定を「メッセージ性の強い改定」と評価する武久氏は、今回の改定において、回復期リハビリテーション病棟は入院時重症患者割合の引き上げ等で済んだものの、「次こそは回復期リハビリテーション病棟の改革だろう」と早くも2年後を見据えたうえで提言しています。ぜひ、お読みください。

2022年度診療報酬改定内容が発表された。診療報酬改定は、厚労省の医系技官の多くが関わって、2年に1回行われる。病院や診療所にとっては患者の治療などに関わった結果として収入を得ることで医業を営んでいる仕組みとして、非常に重要である。

医師として、臨床現場ではなく、医療の仕組みを国民のために最良のものとしながら、一方で、医業としても成り立つように最大公約数を求め、かつ不正が生じないようなシステムをつくり上げることは至難の業である。私は彼らを信じているし、よりよい仕組みをつくってほしいと思っている。

それにしても今年はメッセージ性の強い改定である。特に、①急性期医療の厳密化と評価、②急性期後医療と在宅医療・介護を含む地域包括ケア病棟の機能確立、③慢性期医療のレベルアップ、④栄養・薬剤・リハビリテーション重視、⑤質の向上を目指した機能分化・タスクシフト、の5つの主なテーマ以外にも実に細かいところまで配慮されており、私は今回の改定を全面的に評価している。

さて、今回の診療報酬改定の目玉は、特に「地域包括ケア病棟」である。米国のLTAC(Long-Term Acute Care)に類似した病棟で普遍的に起こりうる地域の高齢者を主体とする軽中度急性期の患者のための病棟として2014年に新設されたが、今回の改定でこれまで一部の高度急性期病棟とみなされていた病棟の入院患者の入院期間延長のための受け皿的な便宜上の病床として使われていた機能を明確に否定され、はっきりと地域多機能病院の中心病棟として位置づけられた。現在、地域で一応急性期病院とされていた「なんちゃって急性期」病院も含む200床以上の地域急性期的病院も、この地域包括ケア病棟に包含されるだろう。そして在宅機能の具備も要件化された。

一方、療養病床から地域包括ケア病棟を届出するにあたり、より急性期の治療の必要な患者にも対応することで、地域での慢性期多機能病院として地域救急をはじめ、在宅支援機能も担う病棟にすることが求められている。まさに正しい改定であり、正しい選択である。

さて次期改定について、以前からこの連載でリハビリテーションシステムの改革の必要性については何度も述べてきた。今回の改定では、回復期リハビリテーション病棟は入院時重症患者割合の引き上げ等で済んだものの、次こそは回復期リハビリテーション病棟の改革だろう。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[地域包括ケア病棟][診療報酬改定]


出典:Web医事新報