2022年2~9月の間の引き上げ分の財源は21年度補正予算案に計上済みです。10月以降の対応については、来年度予算の編成過程で決めることになっています。
中央社会保険医療協議会総会は12月8日、働き方改革の推進について議論した。医師の働き方改革では、「地域医療体制確保加算」の小児救急医療などへの対象拡大や、「医師労働時間短縮計画(時短計画)」を踏まえた施設基準の見直しなどが、検討課題となった。
「地域医療体制確保加算」は、前回改定で救急医の処遇改善を狙い、新設。施設基準では、救急搬送件数が年間2000件以上であることや、「病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画(処遇改善計画)」の作成などが求められる。
ただ、▶産科救急・小児救急・精神科救急医療では、救急搬送件数が少なくても地域で重要な役割を担う医療機関がある、▶24年4月からの医師の時間外労働上限規制に向けて各医療機関が作成する「時短計画」と、加算で求める「処遇改善計画」の記載内容に相違点がある―などの課題もある。そのため、総会ではこうした点を考慮した対象施設の拡大や施設基準の見直しについて議論した。
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、加算対象を産科救急・小児救急・精神科救急医療の実施施設に拡大することに賛意を表明。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、これらの医療に配慮した既存報酬との関係を整理する必要性を指摘した。施設基準については、時短計画の記載内容に合わせて見直す方向で、各側の意見が概ね一致している。
このほか、▶医師事務作業補助者の実務経験による医師の負担軽減効果の差を踏まえた「医師事務作業補助体制加算」の評価のあり方、▶政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえた看護職員の処遇改善のあり方―なども論点として提示された。
看護職員の処遇改善は基本報酬の引き上げで対応を―診療側が要望
このうち、看護職員の処遇改善は、政府が経済対策の中で、新型コロナ対応などで一定の役割を担う医療機関の看護職員の収入を段階的に3%程度引き上げる方針を打ち出しているもの。22年2~9月の間の引き上げ分の財源は21年度補正予算案に計上済み。10月以降の対応については、来年度予算の編成過程で決めることになっている。診療報酬で評価する場合は、介護報酬の「処遇改善加算」などを参考とすることも想定されるが、診療側は恒久的な取組につなげるには基本診療料の引き上げでの対応が必須と主張。支払側はこれに反対している。
出典:Web医事新報