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  • 2021年10月22日
  • 2021年11月16日

【識者の眼】「人口減少社会におけるAI(人工知能)への期待とパーセプション」岡本悦司

 
ネット検索から株価の予測まで広範囲に及んでいるAI(人工知能)の活用分野ですが、これから予測される人口減少社会における大きな役割として、独居高齢者に対する「見守り」機能が期待されています。今回の【識者の眼】は岡本悦司氏(福知山公立大学地域経営学部医療福祉経営学科教授)が「人口減少社会におけるAI(人工知能)への期待とパーセプション」と題して寄稿。

 

AI活用でより進化したスマートな見守りが可能となる近未来と、その具体例について解説しています。ぜひ、お読みください。

AI(人工知能)の活用分野はネット検索から株価予測まで広範囲に及ぶが、人口減少社会におけるAIに期待される役割として、独居高齢者に対する「見守り」機能が考えられる。孤独死を防止するためには定期的な「見守り」が必要だが、親族が遠方だったり、少子化で親族そのものがいない、といった状況は今後急増する。そうしたニードを商機ととらえて日本郵政は既に有料の見守りサービスを事業として実施しているが、人が訪問して安否確認するといった原始的な方法よりAIを活用することでより進化したスマートな見守りが可能になるだろう。

既に複数の自治体で実証実験が進行中で、その内容をみると、テレビ、エアコン、電子レンジといった家電の使用状況を測定するもの(北海道天塩町)、Wi-Fiを用いて呼吸状態を検知するもの(沖縄県の沖縄市、宜野湾市、豊見城市)から、本格的な対話機能を備えた小型ロボット(神奈川県寒川町)に至るまで様々である。総じて、技術的ハードルは現在のレベルでも十分解決できると思われる。筆者は既に専門家と共に、介護保険の要介護認定審査会の業務はAIでかなり代行できることを示した1)。だとすると、AI導入へのハードルは技術的な面よりもむしろ高齢者側の受容性(パーセプション)にあるのかもしれない。筆者の大学では福祉や情報の専門家が中心となって「AIが介護保険行政を代行する際のルールに関する研究」が進行中であり、既に近隣市の市民を対象にAIパーセプションの調査を実施した2)。全国各地で行われている実証実験でも、技術的のみならず心理的文化的な受容性についてどのような成果が得られるか注目される。

【文献】

1)神谷達夫, 他:日医療経営会誌. 2020;14(1):23-8.

2)川島典子, 他:福知山公立大学研究紀要. 2020;4(別冊):35-54.

岡本悦司(福知山公立大学地域経営学部医療福祉経営学科教授)[高齢者対策][AI]


出典:Web医事新報