日本医師会の中川俊男会長は20日の記者会見で、政府の新型コロナウイルス感染症の対策本部が「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」の骨格において、十分に稼働しなかった病床を「幽霊病床」と表現したことに対して全国知事会が、レッテル貼りが行き過ぎてしまい、結果として真に必要な医療提供体制の確保に悪影響を及ぼさないように配慮を求めるとの見解を示したことについて、日医も同じ考えであると表明した。【齋藤栄子】
中川会長は、事前に確保された病床の中で、活用されなかった病床が生じたのは、即応病床と準備病床についての理解を行政と医療機関が共有していなかったことや、患者を病状に応じてどの医療機関に収容できるのかという、「情報の共有と連携が必ずしも十分ではなかったということが背景にある」との見方を示した。日医と全国知事会は、コロナに関して5日に意見交換会を開催しているが、年内にも次の意見交換会を開催し、病床確保を重要なテーマとして、さらに連携を深めていく方針だとした。
また、全国自治体病院協議会や厚生労働省などとコロナ感染症患者受け入れ病床確保対策会議を月内に開催し、今後に向けて踏み込んだ議論をする予定で、病床確保を取り決める際には受け入れ可能な患者像を具体的にイメージし、それぞれの地域や医療機関の実情に応じて、顔の見える関係でしっかりと話し合いながら役割分担を明確化できるように、日医として支援していく考え。
一方、感染者数の急激な縮小から、感染の再拡大は来ないのではないかなどの意見も出ているが、新型コロナから回復した457人のアンケート調査の回答では、発症時もしくは診断時から半年後でも、4人に1人に記憶力低下、集中力低下、抑うつ、脱毛などの後遺症が続き、1年後でも10人に1人に何らかの症状が残っていて、特に、女性や痩せている人に後遺症が多く、男性、高齢者、肥満などの重症化リスクが高い人とは傾向が異なるなどと指摘。「死亡・重症者数が少なければいいと考えるのは早計だ」と懸念を示した。
出典:医療介護 CBニュース