• 2021年9月15日
  • 2024年3月25日

オンコールとは? 手当の相場や待機中の過ごし方を紹介

 

看護師の勤務形態には日勤や夜勤のほかに、職場によってはオンコールという働き方があります。オンコールは利用者さんの緊急事態に備える重要な勤務形態であるため、看護師としてすでに働いている方や看護師を目指している方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。

この記事では、オンコールの概要や支給される手当の相場、オンコール待機中の過ごし方を解説します。オンコール勤務に向いている方の特徴も紹介しているので、ぜひ職場を選ぶ際の参考にしてください。

オンコールとは

オンコールとは、緊急事態が発生したときに迅速な対応ができるよう待機する勤務形態のことです。主に医師や看護師などの職種にオンコール勤務があり、「待機」「宿直」「電話当番」と呼ばれることもあります。施設内で待機する「当直勤務」とは異なり、オンコールは自宅で過ごすことが可能です。

ただし、オンコールが入った際は即座に業務に従事できるよう、常に連絡可能な状態を保たなければなりません。施設によってはオンコール専用の携帯電話を用意し、担当者へ支給するところもあります。

オンコール勤務のある職場

オンコール勤務は、以下のような施設・現場で導入されています。

  • 24時間体制で患者対応をする施設
  • 患者が急変する可能性がある施設
  • 急患が運び込まれる可能性がある施設
  • 手術室
  • 産科
  • 入院病棟
  • 慢性期病棟
  • 特別養護老人ホーム
  • 訪問看護ステーション

オンコールは、出勤者の少ない夜間や休日に交代制で割り当てられることが一般的です。オンコール勤務は、1人あたり1ヶ月に4~8回程度といわれています。不測の事態に備えて、メインスタッフ・サブスタッフの2人以上という勤務体制を敷くところも多くあります。

オンコールの電話が鳴る回数および出動回数は、医療機関や施設によってさまざまです。医療依存度の高い終末期や独居の利用者さんが多い施設、利用者さん自体が多い施設などはオンコール頻度も多い傾向にあります。オンコール担当回数や電話が鳴る回数、出動回数が気になる場合は、面接や施設見学の際に確認すると良いでしょう。

オンコール手当の相場

オンコール手当は、メイン担当者の場合は1,000~3,000円、サブ担当者の場合は2,000円未満が一般的なようです。

基本的に、オンコールは法律上の労働時間にあたりません。そのため、オンコール手当の金額は施設によって異なります。オンコールがある施設で勤務をする際は、オンコールの規定を事前に確認することが大切です。

参照元:
一般社団法人 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
日本看護協会「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書」

オンコール当番は寝れない? 待機中の過ごし方とは

オンコール待機中であっても寝ることは可能です。ただし、いつでも電話に出られるようにしておく必要があります。オンコールの電話連絡は「即時対応が必要な緊急事態」であることも珍しくないため、相応の心構えが必要です。

なお、オンコールの電話が鳴ったら、必ず出勤しなければならないというわけではありません。緊急対応ではなく、職員や利用者さんの家族が不明点を質問する目的で電話をかけてくるケースも多くあります。口頭の説明で解決できる場合は、電話による指示のみで十分です。

以下では、オンコール担当看護師の待機中の過ごし方や注意点を解説します。

いつでも電話に出られる状況にしておく

オンコール担当者は、「いつでも・どこでも」電話に出られる状況を保たなければなりません。そのため、外出中はもちろん入浴中や睡眠中などでも、常に電話をそばに置いておく必要があります。

なかには、オンコール専用の携帯電話を支給する医療機関や施設もあります。使いなれない機種の場合は、事前に操作方法を確認しておきましょう。

また、オンコール勤務の日は、いつ連絡があっても対応できるよう下記の点に注意しましょう。

  • すぐに手に取れる場所に携帯電話を置く
  • 電源が入っていることを確認する
  • 十分な充電量を保つ
  • 電波が入る状態を保つ
  • サイレントモードにしない
  • 着信音が聞き取れる大きさに設定する(最大が望ましい)
  • お手洗いにも携帯電話を持って行く
  • 入浴時には防水できる袋に入れて持ち込む
  • 眠るときは枕元に置く

「オンコール=即対応」が基本です。近場への外出であっても、携帯電話の電源をオフにしなければならない場所や電波が入らない場所は避けるようにしましょう。

遠出や飲酒は控える

医療機関や施設の規定によって異なるものの、オンコール担当者の待機場所は基本的に自宅か、職場まで30分以内の範囲の外出先に限定されることがほとんどです。つまり、オンコールが鳴り次第「30分以内に勤務しなければ、患者の命に関わる事態を招きかねない」ということでもあります。オンコールの連絡時に電話対応のみで済む職場であっても、万が一の場合を考慮し、必ず近場で待機するようにしましょう。

また、医療行為に関わる以上、明瞭な思考・指示能力を保っていなければなりません。たとえ出勤せずに済むことが分かっている場合でも、飲酒は控えましょう。

オンコール勤務の魅力・やりがい

オンコール勤務にはスキルアップを図れるなどの魅力があり、働きがいに大いにつながります。ここでは、オンコール勤務における魅力・やりがいについて詳しく紹介します。

利用者とスタッフの架け橋になれる

オンコール勤務は、利用者さんとスタッフをつなぐ役割を果たします。特に夜間は現場の人員が少なく、医学的知見にもとづいた適切な判断のできる看護師は、欠かせない存在といえるでしょう。

利用者さんやその家族からはもちろん、ともに働く訪問スタッフをはじめとした医療従事者からも感謝されることが多く、やりがいやモチベーションの向上に大きくつながります。

さまざまな症例を経験できる

オンコールではさまざまな症例の看護を経験できるため、自身の勉強や成長につながります。特にオンコール代行を行う看護師は、より多くの患者さんの看護に携われるでしょう。

さまざまな実務経験を積むことでスキルアップにつながり、結果的に収入アップも期待できます。加えて、経験から得た知識や技術は転職時にも有利となるでしょう。

常駐するよりも自由に過ごせる

オンコール勤務中は、携帯電話が通じる場所にいる・遠出をしない・飲酒をしないといった制限はありますが、過ごし方は比較的自由です。また、電話が鳴ったからといって、すぐに駆け付けるわけではありません。電話相談で終わるような内容であれば、自宅ですべての対応が完結します。よって、常駐の夜勤よりも、オンコール勤務のほうが自由に過ごせるといえるでしょう。

オンコール勤務が向いている人

以下のような性格の方は、オンコール勤務に向いているといえるでしょう。

  • 主体的に対応できる人
  • 臨機応変に対応できる人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 責任感が強い人

介護施設や訪問介護などでオンコールの電話が鳴った場合、出勤するにせよ指示を出すにせよ、看護師が的確な判断を下さなければなりません。そのため、冷静かつ的確に判断できる能力が必要です。臨機応変に対応しつつ、周囲のスタッフと円滑に連携できる方が向いているでしょう。

なお、子育て・介護・家庭の事情などで忙しく、電話対応や急な出勤が難しい方にとって、オンコール勤務は負担が大きいといえます。また、遠出をしたい方やゆっくりと休みたい方も、オンコール勤務がある勤務先は避けたほうが無難でしょう。

オンコール勤務にストレスを感じたら…

責任感の強い人ほど、「オンコールだから気が抜けない」と頑張り過ぎてストレスを溜め込むことは珍しくありません。身体や心の健康に支障をきたすほど「つらい」と感じているときは、「オンコールなし」の職場へ転職することも一つの方法です。

オンコール勤務のない職場は以下のとおりです。

  • デイサービス
  • 健診センター
  • クリニック
  • 一般企業
  • 保育園

上記以外にも、看護師が24時間常駐している医療機関や施設は、オンコール勤務がない場合が多いです。また、オンコール勤務を派遣看護師やオンコール代行業者に依頼している医療機関や施設もあります。

オンコール勤務をしなくて良い職場は多数あります。心身ともに疲れてしまう前に新たな環境へ移りましょう。

■関連記事
看護師がストレスを感じる原因と、発散・マネジメントの方法

まとめ

緊急事態が起こりやすい医療機関や施設では、看護師がオンコール勤務を行うことがあります。オンコール勤務は交代制で組まれるのが一般的で、責任感の強い人は「つらい」と感じることも少なくありません。

オンコール勤務が「体力的につらい」「気が休まらなくてつらい」と感じる場合は、オンコールのない職場へ転職することをおすすめします。オンコールなしの職場を探す際は、好条件の求人情報が多く登録されている「マイナビ看護師」をご利用ください。

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