• 2021年8月11日
  • 2021年11月9日

看護師は休みを取りやすい? 休日事情と4つのお悩み解決策を紹介

 

医療現場に欠かせない看護師は、変則的なシフトで働くことが多いため「休日が少ない」「家族と休みを合わせにくい」と考える人もいるのではないでしょうか。職場によっては休める曜日の自由度が低いものの、看護師の年間休日数や有休取得率の水準は高い部類に入ります。勤務先を吟味すれば、土日祝日に休んだり休日を多く取ったりすることも可能です。

今回は、看護師の平均的な休日数・有給取得率や勤務先ごとの休日事情、希望通りの休みを取りたい場合におすすめの勤務先や解決策を紹介します。

看護師は休みやすい? 休日数・有給取得率と勤務先の事情

シフト制が多く夜勤がある看護師は、「休みが少ない・取りにくい」というイメージを持たれる職業です。しかし、看護師も他の職業と同じく、働いてよい時間の上限や、取得しなければならない有給休暇の日数は労働基準法で決められています。
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
(出典:厚生労働省「年次有給休暇の時季指定とは」

まずは、「公益社団法人 日本看護協会」の調査データをもとに、看護師の休日・有給取得率の事情を解説します。

看護師の平均的な休日数と有給取得率

「仕事を休みにくい」イメージのある看護師は、職場で定められた休日数も少ないと誤解する人も多いのではないでしょうか。日本看護協会の調査によると、就業規則に定められた看護師の年間休日数は、下記のとおりとなっています。

【所定年間休日】

休日数 割合
~99日 4.8%
100~109日 17.9%
110~114日 15.5%
115~119日 9.2%
120~124日 28.5%
125日~ 24.2%
平均休日数 118.13日

日本看護協会「平成29年度 看護職のWLBインデックス調査【施設調査・全体集計】」)

「看護職のWLBインデックス調査」によると、看護師の平均休日数は118.13日です。また、所定年間休日数が120日以上ある看護師は全体の半数以上を占めています。

次に、看護師の有給取得率を見てみましょう。平成29年度における看護師の有給取得率と、その割合は下記のとおりです。

【有給取得率】

取得率 割合
0~20% 5.3%
20~40% 17.9%
40~60% 33.3%
60~80% 28.0%
80%~ 15.5%
平均有給取得率 56.28%

(出典:日本看護協会「平成29年度 看護職のWLBインデックス調査【施設調査・全体集計】」

「看護職のWLBインデックス調査」によると、平成29年度は看護師の平均有給取得率が56.28%でした。有給の80%以上を取得できた割合は15.5%と低めなものの、有休を40%以上取得できた割合は76.8%にのぼります。

厚生労働省が公表した「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」では、一般的な労働者の平均年間休日数は116日、平均有給取得率は56.3%です。このデータと比較すると、看護師は他の労働者より休日が取りやすく、有給休暇取得率に関しては大差ないといえます。
(出典:厚生労働省「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」

勤務先による休日事情の違い

看護師の休日事情は、勤務先の施設形態や雇用状況によって異なります。以下は、看護師の勤務先として代表的な施設の休日事情です。

◯大学病院・国立病院・総合病院
大学病院や国立病院、総合病院などの大規模病院では、年間114~130日が休日の目安となります。運営体制が整っており看護師の人数が多いため、日程の調整がしやすく有給休暇の取得率も高いことが特徴です。ただし、患者の受け入れ状況によっては急なシフト変更を求められます。

◯クリニック・診療所
クリニックや診療所では、年間104~108日が休日の目安となります。クリニックや診療所では大規模な手術が行われず、入院施設もないため日勤のみとなることが多く、急な呼び出しもめったにありません。基本的に「施設の休診日=休日」となる傾向です。

◯訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、年間120日程度が休日の目安となります。1日のスケジュールや訪問先が決められており、残業が発生しにくいことが特徴です。ただし、受け持つ患者が急変した場合は、休日・夜間オンコール対応が求められます。

どの職場にもメリット・デメリットがあるため、休日数と勤務環境を照らし合わせながら求人情報を入念にチェックするとよいでしょう。

看護師の休みにまつわる4つの悩みと解決策

看護師の休みについて悩んでいる女性

看護師の仕事は比較的休みを取りやすいものの、職場によって休みを取りやすい曜日や連休の取りやすさなどが異なります。希望日に休むためには、職場によって休みの取りやすさにどのような傾向があるか知っておくことが大切です。

ここでは、看護師の休みにまつわる4つの悩みと解決策を紹介します。

土日に休みたい

土日祝日は周囲の会社や学校も休みとなり、さまざまなイベントが開催されるため、「自分も休みたい」と考える人は多いでしょう。

看護師が土日祝日に休みたい場合は、保育園がおすすめです。保育園看護師は、カレンダー通りの勤務パターンとなる上、残業の発生がほとんどありません。夜勤もないため、一般的な会社員と同じような生活リズムを保つことができます。

また、診療所・クリニックは土曜日を半日出勤とする場合があるものの、日曜日や祝日を休診日に設定する施設が多い傾向です。施設によって休日の設定が異なるため、診療日を確認するとよいでしょう。

家族・友達・恋人と休みを合わせたい

家族・友達・恋人の休日が動かせない場合は、看護師が相手の都合に合わせてシフトを調整し、希望休暇を取得することが一般的です。

休みたい日程が確定している場合は、できるだけ早く上司へ休暇申請を行いましょう。このとき、休みたい理由と明確な日付を伝えることが大切です。他の人と休みたい日が被ると却下される場合もあるため、周囲へお願いしておくと休みやすくなります。

相手が休日を調整できる場合は、シフト管理アプリなどを活用して勤務状況を共有しましょう。どちらか一方ではなく、お互いの日程をすり合わせることが休みを合わせるポイントです。体力がある場合は、勤務後や夜勤明けを休日代わりに利用してもよいでしょう。

たくさん休みがほしい

「とにかく休みがたくさんほしい」「まとまった休みを取って旅行に行きたい」という人は、比較的規模の大きい病院がおすすめです。

大学病院や国立病院、総合病院などは福利厚生が充実しており、夏季休暇を始めとした長期休暇を設けている施設も少なくありません。土日祝日に休めるとは限らないものの、有給・産休育休の取得やシフトの調整がしやすい環境にあります。ただし、勉強会や研究会、研修会に出席する場合は休日出勤となる場合もあるため、注意が必要です。

診療所やクリニックのように小規模な病院では、年末年始やお盆の時期を施設ごと休みにする傾向にあります。

急用・急病などで休みにくい

シフトが確定した後に急な用事ができたり、自分や家族が病気になったりしてシフトの変更が必要になった場合は、早急に上司へ申し出ましょう。

職員数に余裕がない場合は、仕事に不具合が生じないよう他のスタッフに休日出勤を頼まなければなりません。シフトの交代や仕事のフォローを頼む相手に都合を付けてもらうためにも、一刻も早い報告が必要となります。

そして、出勤後には急な休みで手間をかけた人へ、感謝の気持ちを伝えることが大切です。自分が休んだら手間をかけた人へお礼をし、他のスタッフが休んだ際は進んでフォローに入ることを心がければ、いざというときに快く代わってもらえます。

看護師は休みをどう過ごす?

下記は、多くの看護師が実践する休日の過ごし方です。

  • 自宅で身体を休める
  • 買い物や食べ歩き、旅行を楽しむ
  • ジムやエステ、美容院で自分を磨く
  • 趣味や習い事に励む
  • 看護の勉強をする

休日には激務で疲労した心身を自宅で癒す以外に、混雑しにくい平日を利用し一人でのんびりと遊びに行ってもよいでしょう。閑散期に割引料金でお得に長期旅行を楽しむケースも少なくありません。とはいえ、遊び過ぎて体調を崩さないよう、休暇最終日には自宅に戻り、ゆっくりと過ごす人が多い傾向です。

次の出勤日にまた仕事に励むためにも、上手にストレスを発散しリフレッシュできる過ごし方を見つけましょう。

まとめ

看護師は、シフト制や夜勤があり激務のイメージがあるため、あまり休みが取れないいと誤解される職業です。しかし、他の労働者と比較しても看護師の平均休日数は多めで、有給取得率も遜色がありません

土日祝日に休みたい場合は保育園、まとまった休みを取りたい場合は大規模な病院など、就職・転職先を選択する際は、希望条件に休日の取り方も入れることが大切です。他のスタッフと譲り合いながら休日を満喫し、プライベートも充実させて次の勤務日に備えましょう。

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