• 2021年8月5日
  • 2024年3月28日

看護師(看護職)には4種類ある! 各職種の資格やスキルアップについて解説

 

看護職といえば、「看護師」を思い浮かべる人が多いでしょう。看護職は4種類あり、保有している資格や仕事内容、役割などがそれぞれ異なります。

この記事では、看護師・准看護師・助産師・保健師の違いを詳しく解説します。また、看護師がスキルアップをめざせる資格も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

看護職には4種類ある

看護職には、看護師・准看護師・助産師・保健師と4つの種類があります。保健師助産師看護師法によって定められている、各職種の定義は以下のとおりです。

看護師 厚生労働大臣の免許を受けて、
傷病者もしくはじよく婦に対する療養上のお世話または診療の補助を行うことを業とする者
准看護師 都道府県知事の免許を受けて、
医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、
傷病者もしくはじよく婦に対する療養上のお世話または診療の補助を行うことを業とする者
助産師 厚生労働大臣の免許を受けて、
助産または妊婦、じよく婦もしくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子
保健師 厚生労働大臣の免許を受けて、
保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者

看護師・准看護師・助産師・保健師は、必要な資格や仕事内容、活躍の場が異なります。

参照元:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

看護師

看護師は、患者さんの療養上のお世話や医師の診療の補助を行う看護職のことです。
患者さんのケガや病気に対する医療的なケアだけではなく、精神的な痛みや苦しみに寄り添った心のケアも行います。

必要な資格

看護師免許(国家資格)

看護師になるには、高校卒業後に4年制大学や看護師養成所などで教育を受けたうえで、看護師国家試験に合格する必要があります。

仕事内容

  • 医師の診療の補助
  • 患者さんに対する医療ケア
  • 患者さんやその家族の心のケア

看護師は病気や怪我の治療を受ける患者さんに対して、医師の指示に従って、点滴や採血、予薬といった医療行為を行うのが仕事です。また、食事・入浴・排泄介助や移乗といった身の回りのケアのほか、心のケアも行います。

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活躍の場

  • 病院
  • クリニック
  • 訪問看護ステーション
  • 美容クリニック
  • 健診・検診センター
  • 介護施設
  • 福祉施設
  • 保育園・幼稚園
  • 企業

看護師の勤務先といえば、病院やクリニックを想像する人が多いでしょう。
しかし、看護師は病院やクリニック以外に、訪問看護ステーションや介護・福祉施設、教育機関、企業などでも活躍しています。また、昨今は美容クリニックで働く看護師も増えてきました。

給料

月収 35万1,600円
ボーナス 86万2,100円
年収 508万1,300円

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、看護師の平均月収は約35万円で、平均年収は約508万円でした。

看護師の給料は夜勤の有無や勤務先の規模、勤務地などによって大きな差があります。

参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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准看護師

准看護師も看護師と同様、患者さんの療養上のお世話や医師の診療の補助を行う看護職のことです。ただし、看護師とは異なり、准看護師には実施できない業務があります

必要な資格

准看護師免許

准看護師になるには、中学卒業後に准看護師養成所へ入学して2年間の教育を受けたうえで、准看護師試験に合格する必要があります。

仕事内容

  • 医師の診療の補助
  • 患者さんに対する医療ケア
  • 患者さんやその家族の心のケア

准看護師の仕事内容は看護師とほぼ同じです。
しかし、准看護師は自己判断で看護を行えず、すべての業務において医師や看護師の指示を受ける必要があります。また、看護師へ指示や看護計画の立案もできません。

活躍の場

  • 病院
  • クリニック
  • 訪問看護ステーション
  • 介護施設
  • 福祉施設

准看護師の主な勤務先は病院とクリニックです。
日本看護協会の「看護統計資料」によると、2019年時点では准看護師の半数以上が病院とクリニックで勤務していました。准看護師は医師や看護師の指示のもとで業務を行う必要があるため、勤務先の選択肢が看護師よりも少ない傾向にあります。

給料

月収 29万6,200円
ボーナス 62万7,300円
年収 418万1,700円

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、准看護師の平均月収は約30万円で、平均年収は約418万円でした。

准看護師は行える業務が限られています。また、看護師への指示ができず管理職への昇進が難しいことから、看護師よりも給料が低い傾向にあります

参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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助産師

助産師は、分娩の介助と妊産婦や乳児に対する保健指導を行う看護職のことです。看護職の中で唯一、独立開業が認められています

なお、ほかの看護職とは異なり、女性のみが就ける職種です。

必要な資格

看護師免許+助産師免許(国家資格)

助産師になるには、看護師免許と助産師免許の両方が必要です。看護師免許を取得した後に、助産師の養成学校に1年通って助産師免許を取得する方法と、大学の4年間で看護師と助産師のカリキュラムを修了し、同年に2つの試験を受けて各免許を取得する方法があります。

仕事内容

  • 妊婦の体調管理や心のケア
  • 出産時の介助
  • 新生児ケア
  • 妊娠、出産、子育てに対する保健指導、ケア
  • 女性ならではの健康問題に対する相談、サポート

助産師の主な役割は、分娩の介助および妊産婦や乳児に対する保健指導をすることです。不妊治療に関するデリケートな相談から妊婦の体調管理、新生児ケアや子育ての指導まで行います。

活躍の場

  • 病院
  • クリニック
  • 助産院
  • 保健所・保健センター
  • 産後ケアセンター

助産師の主な勤務先は、病院・クリニックの産婦人科(産科)や助産院です。そのほかに、保健所・保健センターや産後ケアセンターでも活躍しており、産後の女性と子どもの生活をサポートしています。

給料

月収 39万8,700円
ボーナス 105万7,700円
年収 584万2,100円

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、助産師の平均月収は約40万円で、平均年収は約584万円でした。

助産師は、看護職の中で最も高い給料を得ています。

助産師は業務上、夜勤・残業・オンコール対応などがあり、夜勤手当・待機手当・分娩介助手当といった手当がつくことから、ほかの看護職よりも高い給料を得ていると考えられます。

また、少子化が大きな社会問題とはいえ、助産師は人手不足です。不妊治療に関する知識や高齢出産に対応したケアの技術が求められるなど、専門性が高いことも助産師の給料が高い理由の一つといえるでしょう。

参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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保健師

保健師は、健康を維持するための指導や病気・ケガを予防するための指導を行う看護職のことです。勤務先によって、名称が異なります

行政保健師 行政施設勤務
市民の健康相談や医療相談受付、難病に対するサポートを行う
産業保健師 企業勤務
社員の健康管理やメンタルサポートを行う
学校保健師 学校勤務
ケガの応急処置をするほか、生徒や教師の相談に応じ必要に応じたサポートを行う
病院保健師 病院勤務
院内スタッフへの健康相談やサポートを行う

必要な資格

看護師免許+保健師免許(国家資格)

保健師になるには、看護師免許と保健師免許の両方が必要です。看護師免許を取得した後に、保健師の養成学校に1年通って保健師免許を取得する方法と、大学の4年間で看護師と保健師師のカリキュラムを修了し、同年に2つの試験を受けて各免許を取得する方法があります。

仕事内容

  • 健康増進、病気予防のための保健指導
  • 健康相談、健康管理活動
  • 感染症予防対策
  • 生活習慣病予防対策

保健師の主な仕事内容は上記のとおりです。ただし、行政保健師であれば高齢者の生活支援や妊婦・褥婦への保健指導、産業保健師であれば定期健診後のフォローやメンタルヘルスケアというように、勤務先によって仕事内容が異なります。

活躍の場

  • 保健所、保健センター
  • 市区町村の役所、役場
  • 病院
  • クリニック
  • 福祉施設
  • 教育機関
  • 介護保健施設
  • 企業の健康管理室

保健師の勤務先は、行政や医療機関、企業、教育機関と多岐にわたります。なかでも、就業者数が多いのは市区町村と保健所です。保健師の半数以上が行政保健師として勤務しています。

参照元:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

給料

月収 33万3,800円
ボーナス 80万7,200円
年収 481万2,800円

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、保健師の平均月収は約33万円で、平均年収は約481万円でした。

看護師と保健師のダブルライセンスが必要なのにもかかわらず、看護師よりも給料が低い理由は、勤務先によっては夜勤がないためと考えられます。

ただし、必ずしも看護師より給料が低いとは言い切れません。病院保健師として夜勤を行い、夜勤手当を得る保健師もいます。また、産業保健師が就業するのは大手企業が多く、そもそもの給料水準が高い傾向に。夜勤をせずとも看護師と同等、もしくはそれ以上の給料を得ている保健師もいます。

参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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看護師がスキルアップをめざせる資格の種類

看護師はより専門的な分野の資格取得し、スキルアップすることが可能です。
資格は簡単に取得できるものではありませんが、専門性を証明できるため、給与面の待遇向上も期待できるでしょう。以下では、看護師がスキルアップをめざせる認定看護師と専門看護師について紹介します。

認定看護師

認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した看護技術および知識を有していると認められた看護師のことです。日本看護協会の認定看護師認定審査に合格することで、認定看護師の資格を取得できます。

2019年に認定看護師規定が改正され、既存のA課程認定看護分野(21分野)は2026年度に教育が終了、2029年度には認定審査を終了すると決まっています。2020年度からは、B課程認定看護分野(19分野)の教育が開始されました。

B課程認定看護分野は、以下のとおりです。

  • 感染管理
  • がん放射線療法看護
  • がん薬物療法看護
  • 緩和ケア
  • クリティカルケア
  • 呼吸器疾患看護
  • 在宅ケア
  • 手術看護
  • 小児プライマリケア
  • 新生児集中ケア
  • 心不全看護
  • 腎不全看護
  • 生殖看護
  • 摂食嚥下障害看護
  • 糖尿病看護
  • 乳がん看護
  • 認知症看護
  • 脳卒中看護
  • 皮膚・排泄ケア

参照元:日本看護協会「認定看護師」

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専門看護師

専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人や家族、集団に対して、水準の高い看護ケアを効率よく提供するための知識・技術を有していると認められた看護師のことです。日本看護協会の専門看護師認定審査に合格することで、専門看護師の資格を取得できます。

認定看護師との違いは、専門分野の処置を行うだけではないという点です。看護分野全体のスペシャリストとして、医師と患者さん、各機関との調整役を担うほか、看護学研究も行います。

2024時点で特定されている専門看護分野は、以下の14種類です。

  • がん看護
  • 精神看護
  • 地域看護
  • 老人看護
  • 小児看護
  • 母性看護
  • 慢性疾患看護
  • 急性・重症患者看護
  • 感染症看護
  • 家族支援
  • 在宅看護
  • 遺伝看護
  • 災害看護
  • 放射線看護

参照元:日本看護協会「専門看護師」

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まとめ

看護職には、看護師・准看護師・助産師・保健師と4つの種類があり、職種によって資格や仕事内容が異なります。勤務先も病院やクリニック、介護・福祉施設、企業、教育機関、行政機関など多種多様です。看護職は社会にとって欠かせない存在で、今後も需要が減ることはないでしょう。

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