• 2021年7月21日
  • 2024年1月5日

看護師一年目は辛い時期 | 給料・転職事情や乗り越え方を紹介

 

念願の看護師になれたのに、「辛い」「辞めたい」と感じている看護師一年目の方もいるでしょう。看護師一年目は勉強が大変だったり知識不足で悩んだりなどして、辛いと感じやすい時期です。

この記事では、一年目の看護師が辛いと感じる理由やその乗り越え方を解説。また、看護師一年目の目標や給料事情も紹介しています。転職のコツについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

看護師一年目は何をする? 目標は?

看護師一年目は基本的な知識やスキル、接遇を身につけていく時期です。多くの医療機関では教育プログラムを組んでおり、それに沿って一年目の看護師は経験を積んでいきます。

新人教育は、先輩看護師がマンツーマンで指導・教育・フォローを行うプリセプター制度が一般的です。プリセプターは知識・技術面の指導だけでなく、精神的なフォローも実施。比較的年齢の近い先輩看護師がプリセプターになるケースが多く、質問や相談がしやすいのが特徴です。一年目の看護師はプリセプターのサポートのもと知識・技術を身につけ、日勤業務や夜勤業務に慣れていきます

なお、看護師一年目の具体的な目標例としては、以下が挙げられます。

  • メモを取ることを徹底し、確認ミス・伝達ミスを防止する
  • 患者さんの症状に合わせた環境整備を行う
  • 優先順位と時間配分を意識して、正確かつスピーディーに処置を行えるようになる
  • 患者さんのニーズを把握し、看護計画に沿った自立支援ができるようになる
  • 〇月までに、食事介助を1人で行えるようになる
  • 〇月までに、口腔ケアの技術を習得する
  • 〇分以内に、おむつ交換を行えるようになる
  • 心電図の読み方を理解し、患者さんの病状にあわせた解釈ができるようになる

どのような目標を立てたら良いか迷う場合は、日本看護協会の「看護師のクリニカルラダー」や厚生労働省が作成した「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」にある「研修内容と到達目標」を参考にすると良いでしょう。

参照元:
日本看護協会「教育計画」
厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」

■関連記事
看護目標の必要性と立て方とは? 活用できるフレームワークも紹介
プリセプター制度とは? メリットや役割・必要なスキルを解説
看護師のクリニカルラダーとは? 導入の目的やキャリアラダーの違い

看護師一年目の給料事情

ここでは、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに、看護師一年目の給料・ボーナス・年収について紹介します。

看護師一年目の給料

看護師一年目の給料は25万3,800円です。この給料に、時間外勤務手当や深夜勤務手当などが追加されて支給されます。

同データによると、経験年数が5~9年は約30万円、15年以上は約35万円と、看護師は経験を積むにつれ給料がアップします。

全職種の新卒の給料が高専・短大卒で20万2,300円、専門学校卒で21万2,600円、大卒で22万8,500円であることから、ほかの職種と比べて看護師一年目の給料は高いことがわかります。

看護師一年目のボーナス

看護師一年目のボーナスは9万3,100円です。

一般的にボーナスは夏と冬の年2回ありますが、一年目の夏のボーナスは入社して間もないこともあり、支給されない病院やクリニックが多い傾向にあります。また、支給されたとしても全額ではなく一部支給が多いようです。そのため、一年目のボーナスは約9万円と低い結果になっていることが予想されます。

経験年数が1〜4年のボーナスは70万6,000円、5〜9年は84万6,700円、10〜14年は91万4,900円と徐々にアップし、15年以上で100万円を超えます。支給額は勤める病院やクリニックによって差がありますが、勤続年数に比例して増えていくと考えて良いでしょう。

ただし、そもそもボーナスを支給しない病院やクリニックもあるため、就職をする前に賞与の有無を確認することが大切です。

看護師一年目の年収

看護師一年目の年収は313万8,700円です。

給料・ボーナスと同様、経験年数が上がるにつれて平均年収もアップします。経験を積むのと同時に、専門看護師や認定看護師、助産師、保健師など、スキルアップのための資格を取得することで、さらなる年収アップを期待できるでしょう。

参照元:厚生労働省「令和年賃金構造基本統計調査」

■関連記事
看護師の初任給はいくら? 手取り額やボーナス事情も紹介

マイナビ看護師の転職サポートは、 平均年収の相場もお伝えできます!

看護師一年目のあるある | 辛い理由

看護師一年目は覚えることが多かったり仕事が上手くいかなかったりと、辛いと感じることが多い時期です。以下では、一年目の看護師が辛いと感じる理由を紹介します。

勉強が大変

看護師は知識や技術をアップデートするために、つねに勉強が必要です。

特に看護師一年目は、知識不足を補うためにも日々の勉強が欠かせません。休日はもちろん、仕事から帰宅した後も勉強をするのが一般的です。自主的に行う勉強のほかに、先輩看護師から出された課題をこなしたり、業務の振り返りとしてレポートの提出をしなければならなかったりもするでしょう。

忙しい生活の中で勉強時間を確保するのは大変です。特に働き始めてすぐは慣れない環境で心身ともに疲れているため、「勉強するのが辛い…」と感じる一年目の看護師は多いようです。

知識・スキル不足を痛感する

学生時代にしっかり勉強をしていても、実際の臨床現場ではどうしたら良いのかわからなかったり、上手く処置できなかったりと、知識やスキル不足を実感する一年目の看護師は多い傾向にあります。なかには、「なかなか仕事を覚えられない」「迷惑をかけているかも…」と悩む看護師もいるでしょう。

看護師一年目は、知識が十分でなくスキルが不足していて当たり前です。そのため、自分は仕事ができないと一人で悩みを抱え込まないようにしましょう。

人間関係で悩む

どの職場においても人間関係の悩みはつきものです。怖い先輩や苦手な先輩がいて、仕事に行くのが辛いと感じている一年目の看護師は多いでしょう。たとえ、先輩が間違ったことを言っていなくても、指導が厳しく、萎縮してしまう一年目の看護師もいます。

仕事をするうえで、人間関係で悩み続けるのは辛いことです。しかし、職場の人間関係は運に左右されることが多いため、一年目の看護師に限らず、多くの看護師が同じ悩みを抱えて働いています

想像以上に忙しい

想像以上に看護師の仕事が忙しく、辛いと感じている一年目の看護師は多いです。学生時代の実習で受け持つ患者さんは一人でしたが、実際の現場では数名の患者さんを掛け持ちで看ます。そのため、一人の患者さんにじっくりと関われないと悩む人もいるでしょう。

また、先輩から複数の仕事を依頼されたり、ナースコールの対応中にほかの患者さんに声をかけられたりなど、重なる業務に戸惑う人もいます。

人手不足の職場は特に忙しく、慢性的に残業が発生している場合も。想像以上に忙しすぎて、転職を考える一年目の看護師もいます

夜勤や残業が辛い

看護師一年目の当初は日勤で業務を覚えるのが一般的ですが、慣れてくると次第に夜勤に入るようになります。夜勤帯は看護師の人数がぐっと減り、看護師一人に掛かる負担が大きくなるため、一年目の看護師には大きなプレッシャーがかかるでしょう。

また、職場によっては残業が多いところも。慣れない仕事でただでさえ大変なのに、残業もあるとなると身体的にも精神的にも疲れてしまいます。

看護師に向いていないと感じる

知識不足だと感じたり先輩看護師から怒られたりすることで、「自分は看護師に向いていないのではないか」と考えてしまう一年目の看護師は多い傾向にあります。大学や看護学校で勉強したのに上手く処置できなかったり、自分が思い描いていた看護師像と遠くかけ離れていたりなど、理想と現実のギャップに悩んでしまうのです。

今は立派に働いている先輩看護師も、一年目は同じような悩みを抱えて働いていました。そのため、自分は看護師に向いていないとネガティブになる必要はありません。

■関連記事
職場の人間関係がつらい|関係を良好に保つコツ・NG行動・相談方法

一年目の看護師の離職率

日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」によると、 2021年度は新卒採用者のうち10.3%が離職していました。

看護師全体の離職率は11.6%、既卒者の離職率は16.8%のため、割合は少ないですが一年目で離職する看護師は一定数います。

なお、病床規模別で見ると、新卒採用者の離職率が最も高いのは99床以下で13.9%、次に100~199床で12.7%でした。新卒者・既卒者問わず、病床規模が小さいほうが離職率が高い傾向にあるようです。

参照元:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」

マイナビ看護師の転職サポートは、 平均年収の相場もお伝えできます!

看護師一年目で辞めたい…転職するデメリットとは?

前述した離職率を見ても分かるとおり、一年目で辞める看護師は一定数います。しかし、すぐに「辞めたい」と感情的にならず、将来を見据えて冷静に判断することが大切です。

以下では、看護師一年目で離職した場合のデメリットを紹介します。

転職先の選択肢が限られる

看護師の一年目で基礎を学ばないまま離職してしまうと、スキル不足により転職先の選択肢が限られる可能性があります。

看護師一年目は、学ぶことが多い大事な時期です。特に新卒採用者には充実した研修が用意されている場合も多く、一年目での離職は貴重な研修の機会を逃してしまうことにもなります。

また、再就職をしようとしても「またすぐに辞めてしまうのではないか」と、マイナスイメージを持たれてしまう場合があります。一年目で離職する場合は、転職先探しが難航する可能性があることを念頭に置いておきましょう。

同期の看護師と比べてスキルに差が出る

看護師一年目で辞めると、同期の看護師とスキルに差が出る恐れがあります。

看護師一年目は看護技術はもちろん、患者さんとの接し方やアセスメントの方法、カルテの書き方など、いろいろなことを教えてもらう時期です。

特にプリセプター制度を導入している場合は、先輩看護師の働き方を側で見ることで、気付けることや学べることもあるでしょう。プリセプター制度は新人看護師が先輩看護師にマンツーマンで指導してもらえる制度なので、一年目で辞めてしまうとプリセプターから学べる機会が無くなってしまいます

そのため、一年目で辞めた看護師は同期とスキルの差がつく可能性があるのです。

辞め癖がつく可能性がある

一度離職を経験してしまうと、人によっては辞め癖がつく場合もあります。

離職をするのは勇気がいることです。離職するまでに本当に辞めて良いのか、それとも続けた方が良いのか、かなり悩むでしょう。

しかし、離職をしたら多くの場合は悩みが解決します。そのため、「少しでも辛いと思ったらすぐに辞めれば良い」と考え、辞めるハードルが低くなってしまうのです。

離職回数が増えるほど、転職は難しくなる傾向にあります。応募先からも「長続きしない」「根気がない」といったマイナスイメージを持たれてしまうので、辞めたいと思ったときはすぐに辞める判断をせず、一旦冷静になって考えるようにしましょう。

■関連記事
看護師を辞めたいと感じる瞬間は? 本音アンケートや対策を紹介
看護師を辞めたい理由とは? つらいときの対処法や転職を成功させるコツを紹介

看護師一年目の乗り越え方

ここでは、「仕事が辛い」「辞めたい」と感じている一年目の看護師に向けて、乗り越え方を紹介します。

先輩や同期に相談する

先輩も過去に同じような悩みを抱えている場合があるので、先輩看護師に相談することで悩みが解決することがあります。一年目の看護師の場合は、身近な先輩であるプリセプターが相談しやすいでしょう。ただし、相談する内容やプリセプターとの相性によっては、ほかの先輩に相談すると良い場合もあります。

また、先輩ではなく同期に相談するのもおすすめです。同期に話すことで気持ちが軽くなり、モチベーションアップに繋がることがあるでしょう。いざ相談してみると、実は同期も同じ悩みを抱えていたという場合もあります。

知識・技術不足は勉強あるのみ

知識や技術に関する悩みは、勉強やスキルアップをすることでしか解決できません。とにかく勉強するのみです。ただし、無理をしすぎないようにしましょう。

たとえば、仕事の日は1時間だけで休日にまとめて行うなど、時間を決めて勉強するのもおすすめです。また、参考書の1ページ目から順に勉強するのではなく、受け持つ患者さんの病状やその日行った看護、今後行うケアの方法をノートにまとめるなどして、知識を増やしていくと良いでしょう。

技術は先輩の手技を見て学び、実践することが大事です。上手くいかないときは、先輩や同僚にアドバイスをもらってコツを掴みましょう。

体調管理を徹底して生活パターンを確立する

慣れない勤務で体調を崩してしまう一年目の看護師もいるので、日頃から体調管理を徹底しましょう。また、疲れているとミスを引き起こす可能性があります。看護師のミスは、患者さんの健康状態に影響を与える恐れも。夜勤があるシフト制ではなかなか難しいですが、しっかり食べて睡眠を取るなど、できる限り規則正しい生活を心がけましょう

なお、ストレスを溜め込まないようにするのも大切です。映画を観る・スポーツをする・カラオケに行く・読書をするなど、自分なりのストレス発散方法を見つけておきましょう。

マイナビ看護師の転職サポートは、 平均年収の相場もお伝えできます!

本当に辛いときは休職・転職を検討しよう

残業代が支払われなかったり過重労働だったりなど、労働基準法に抵触するような職場で働いている場合は、離職したほうが賢明といえます。また、職場環境が合わず過度なストレスによって心身ともに体調を崩す可能性がある場合も、休職や転職をしたほうが良いでしょう。

一年目の看護師は、病院に勤めて一通りの業務を身につけるのが一般的といわれていますが、病院の業務が合わないという人もいます。看護師の働く場所は病院だけではありません。看護師はクリニックや介護施設、訪問看護ステーションなど、さまざまな場所で活躍しています。

どうしても仕事が辛いときは休職をして、自分にとって働きやすい環境や最善の状況を考えましょう。

■関連記事
【新人看護師の転職ストーリー】経験者は語る!辞めたい理由と転職後の看護師人生

一年目の看護師が転職を成功させるコツ

転職を成功させるには、事前準備が大切です。看護師一年目での転職はスキル不足によって転職先の選択肢が限られたり、マイナスイメージを持たれたりする可能性があるため、転職活動をする前にしっかり対策しておきましょう。

以下では、看護師一年目の人が転職を成功させるコツを紹介します。

転職理由を明確にする

転職をする際は、「なぜ転職するのか」といった理由を明確にすることが大切です。特に一年目の看護師が転職面接を受ける際は、必ずといって良いほど早期退職した理由を聞かれるでしょう。

面接官が転職理由を聞くのは、同じ理由で辞めるのを避けるためです。また、仕事に対する考えを知る目的もあります。転職理由が曖昧だと、仕事に対する考え方や求めている人材とマッチしているかが判断できないため採用に至りにくいでしょう。

転職理由は、志望動機と一貫性を持たせることが大切です。たとえネガティブに捉えられがちな転職理由でも、志望動機と一貫性があれば納得されやすく信憑性が高まります。

希望条件や転職先を妥協しない

希望条件や転職先を妥協しないのも、転職を成功させるポイントです。

看護師一年目で転職する場合、スキル不足によって転職先の選択肢が限られる可能性があります。だからといって、「転職できればどこでも良い」と妥協して転職先を決めるのはおすすめできません。たとえ転職できたとしても、理想と違った勤務先や仕事だった場合に、また転職を考える羽目になります。

転職をする際は「譲れない条件」と「妥協できる点」を具体的に設定して、条件にあった転職先を選択するようにしましょう。

看護師/准看護師求人・転職・募集おすすめ一覧 – マイナビ看護師・公式

まとめ

一年目は慣れない仕事で悩んでしまったり、心身ともに疲れてしまったりする人が多い時期です。辞めたいと考え、転職をする看護師も少なくありません。ただし、看護師一年目での転職は転職先の選択肢が限られるだけでなく、同期とのスキルに差が生まれるといったデメリットもあります。そのため、辛いからといって衝動的に退職するのは避けましょう。まずは休職して、自分の目標や無理なく働ける環境を考えるのがおすすめです。もしどうしても心身ともに疲弊して仕事を続けるのが難しい場合は、転職を視野に入れてみてください。

マイナビ看護師では、看護師に向けて求人紹介や転職活動のサポートを行っています。抱えている悩みを解決できるようキャリアアドバイザーが親身になって対応するほか、応募書類の作成や面接のサポートも行っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

マイナビ看護師の転職サポートは、 平均年収の相場もお伝えできます!

著者プロフィール