• 2021年4月16日
  • 2021年11月15日

なかなか聞けない「新型コロナ慰労金」のこと。みんなはいつ、いくらもらったの?

 

新型コロナウイルス感染症対策のひとつとして、国から医療従事者に「新型コロナ慰労金」(新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業)が支給されました。申請の受付は昨年(令和2年)7月からスタートし、早い方は翌8月には給付されています。皆さんは、スムーズに給付金を受け取れたでしょうか。今回は、新型コロナ慰労金について振り返りながら、現場で見られたトラブル事例などをご紹介します。

「新型コロナ慰労金」とは?

新型コロナウイルス感染症が拡大を続ける中、看護師や準看護師をはじめとする医療従事者には、心身ともに大きな負担がかかっています。そこで政府は、令和27月からその労に対して「新型コロナ慰労金」を給付しました。給付の対象には、新型コロナウイルス感染症患者と接した医療従事者だけでなく、新型コロナウイルス感染症以外の患者と接した医療スタッフや、受付・会計スタッフ、介護施設のスタッフなど、たくさんの人が含まれました。

なお、この新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業は、以下の理由から慰労金を給付しています。

・看護師や準看護師の仕事は、心身に大きな負担がかかる ・感染すると重症化するリスクが高い患者と接触しなければならない ・外出自粛を求められる中でも業務に従事しなければならない ・医療機関での、集団感染の発生リスクにさらされている

給付額はいくらもらえたの?

◎「新型コロナ慰労金」の額は、「20万円・10万円・5万円」のいずれか

「新型コロナ慰労金」の給付額は、働いている状況などにより「20万円・10万円・5万円」のいずれかが給付されました。

20万円もらえたのは?? ・都道府県から役割を設定された医療機関など(※1)で、実際に新型コロナウイルス感染症患者の診療などを行った医療機関で働いた場合

・実際に新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れている医療機関などで働いた場合

10万円もらえたのは?? ・都道府県から役割を設定された医療機関など(※2)のうち、実際に新型コロナウイルス感染症患者の診療などを行っていない医療機関で働いた場合

5万円もらえたのは?? ・その他病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所、介護施設などで働いた場合 (新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れている場合などは20万円)

※1 都道府県から役割を設定された医療機関は、重点医療機関、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる医療機関、帰国者・接触者外来設置医療機関、PCR検査センターなどが該当します

※2 患者と接する仕事をしていない方は含まれません

◎「新型コロナ慰労金」をもらうには条件がある

「新型コロナ慰労金」をもらうには、次の条件を満たす必要がありました。

1.対象となる期間に10日以上働いた人 勤務先の都道府県で、新型コロナウイルス感染症患者1例目が発生した日、もしくは受け入れた日(受入日)のいずれか早い日(※3)から令和2630日までの間に、1日の勤務時間にかかわらず、10日以上勤務した人が対象になります。

このとき、当直勤務などで日をまたいで働いた場合には、勤務日数を「2日」として計算します。また、複数の事業所に勤務している人は、それぞれ合算して10日以上であれば給付の対象になります。

※3 岩手県は緊急事態宣言の対象地域とされた令和2416日~630日までの間

2.患者と接する仕事をした人 医師や看護師・准看護師などの医療従事者以外のスタッフは、患者と接する仕事をしていることが条件となります。

たとえば、会計の際に患者に対応する事務のスタッフや、普段は患者と接することがなくても、施設内で患者との会話や対面などの対応をした職員は給付の対象です。 一方、本部社員のように患者と接する機会がまったくない人や、期間中にテレワークのみで勤務した人は対象外になります。

◎派遣やパート・アルバイトでももらえたの?

「新型コロナ慰労金」は、正社員、非常勤、嘱託、パート、アルバイト、派遣労働者など、雇用形態にかかわらず給付の対象になります。また、委託業者の職員であっても、医療機関などでの勤務内容によって対象になることがあります。

◎申請はいつまでにすればよかったの?

申請の受付期間は都道府県によって違い、大分県のように昨年9月末に受付を終了した自治体もあれば、岐阜県のように今年の3月末まで受け付けていた自治体もありました。

「新型コロナ慰労金」をめぐってトラブルも。-どんなことがあったの?

「新型コロナ慰労金」をめぐって、一部の現場では混乱もあったようです。具体的なケースをいくつかご紹介します。

◎勤務先がなかなか申請してくれなかった

「新型コロナ慰労金」は、勤務先を通して、医療機関などが所在する都道府県の窓口に申請しなければなりません。その際、勤務先は該当する職員から慰労金の代理申請・受領の委任状を集め、とりまとめたうえで申請する必要がありましたが、勤務先がなかなか手続してくれないといったケースがありました。

◎要件はクリアしていたけど、申請漏れでもらえなかった

「新型コロナ慰労金」の申請では、職員の勤務内容や勤務実態の判断も各医療機関にゆだねられたため、一部では「要件を満たしていたはずなのに、リストから外されてしまい、給付金をもらえなかった」というケースもあったようです。

判断が難しかったのは、普段は患者と接することがないスタッフなどで、実際には期間中、職務のために患者と面談していましたが、その事実を勤務先が把握しておらず、申請リストから漏れていたようです。

◎要件は満たしていたけど、退職していたためもらいそびれてしまった

「新型コロナ慰労金」の申請は、医療機関を通して申請するのが原則。すでに退職している場合も、以前の勤務先を通して申請する必要がありました。しかし、かつての勤務先に申請を依頼してもなかなか取り合ってくれず、申請期間が過ぎてしまったケースもあったようです。 ただ、以前の勤務先を通して申請するのが難しい場合は、必要な書類をそろえて個人で申請することができました。こうしたルールや手続きの方法を把握できておらず、申請期間が過ぎてしまい、給付金をもらいそびれてしまった方もいるようです。

まとめ

「新型コロナ慰労金」では、給付金のもらいそびれを防ぐため、柔軟な対応をした自治体もあります。たとえば、東京都は申請の受け付けを昨年11月末に終了しましたが、医療機関を退職した元従業員の方で、医療機関経由の申請が難しく、個人で申請する場合は、今年の3月末まで受け付けていました。

次に同じような給付金が用意された場合には、今回のルールを参考にして、「自分はもらえない」とあきらめず、各自治体の相談窓口に問い合わせることも必要ですね。

[参照] 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000098580_00001.html

厚生労働省「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00144.html

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000645600.pdf

大分県「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金について」 https://www.pref.oita.jp/site/irokinntop/

岐阜県「岐阜県新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」 https://www.pref.gifu.lg.jp/page/61861.html

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