訪問看護先で利用者さんやそのご家族から、お茶やお菓子を勧められることが多いものの、原則いただくことはできません。無碍にできないし、どうやって断れば……? このお悩みに対して、人気ブロガーのDJあおいさん、作家のワタナベ薫さん、産業医の井上智介さんらスペシャリスト3人がアドバイスします!
今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち
訪問看護先でお茶を勧められる。上手な断り方を教えて!
うちの事業所は原則いただかない方針です。契約書に「差し入れお断り」と記載があり、契約時にも説明しています。
でも、「今作ったから」「温かいうちに……」などと言われると無碍にできなくて、お断りするのがつらいです。
利用者さんやそのご家族によっては、断ったら気を悪くするのではないか、可愛げがないと思われるのではないかと心配でもあります。
最近ではお茶に薬を盛られていた事件なども耳にします。信頼関係……と言いますが、それはある程度の関係性ができてからになるので、判断は大変難しいです。
どう対応するのがいいのか、アドバイスをください。
スペシャリスト3人のアドバイスは?
多少のワガママも、頼まれごとを断っても、可愛げがあるという理由だけで許されてしまうわけですから、人生を生きやすくするためにもぜひ持っておきたい能力です。
“可愛げ”とは、“非言語コミュニケーション能力”です。
非言語コミュニケーション能力とは、表情や態度、声のトーン、仕草など、言語ではない部分のコミュニケーション能力のこと。可愛げがある人というのは、この非言語コミュニケーションが可愛らしいのですよ。
人は「何を言うか」という言語コミュニケーションに囚われがちですが、コミュニケーションにおいて最も大事なのは「どう言うか」という非言語コミュニケーションです。
人の印象は非言語コミュニケーション能力によって決まりますからね。お断りする時ほど非言語コミュニケーションに気を遣ってください。それで可愛げを得ることができれば、あなたはもう無敵ですよ(by DJあおいさん)。
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私もボランティアでご老人のお宅を訪問していた時期がありましたが、そこでも断るつらさを感じていました。
しかし、お断りするというのは、規則に従う以上の意味があります。それは利用者さんを守るためという意味です。
もしお茶をいただき、その後看護師が具合悪くなったりなどしたら、どこで何を食べたり飲んだりしたのか調べられたりするケースがあります。それをちょっとだけ説明してもいいかもですね。
お断りする際は、言葉の伝え方や表情、声のトーンなどを乗せて「本当に申し訳ないです。でもありがとうございます」と言えば、相手に気持ちが伝わります。あとは、ほんのちょっとの割り切りも必要かもしれませんね(byワタナベ薫さん)。
もしかしたら「断る=相手を傷つける」と思っていませんか。
断ることは、あくまでもあなたの行動であり、相手がどう感じるかは全くの別問題です。自分の行動と相手の感情をセットにせず「自分は決められたルール通りにお断りをする」という行動だけにコミットする意識をもちましょう。
また、“仲間への罪悪感”も断ることを後押ししてくれます。あなたが断らないと、いつか別の担当者が訪問した時「あの人は食べてくれたのに」と患者さんからの苦言やプレッシャーを生み出します。これはチームメンバーへの悪影響と言っても過言ではありません。
一緒に働くメンバーの顔を思い浮かべることが、断ることへの強力な味方になってくれるでしょう(by 井上智介さん)。
三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 断り方のテクニックはもちろん、断ることの本質的な意味を理解することが大切なのかもしれません。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。
企画・構成/藤田佳奈美(TAC企画)
DJあおいさん
月間600万PV!の大人気ブロガー。独自の恋愛観と核心をついた鋭いアドバイスで、Twitter合計フォロワー35万人の人気を誇る謎の主婦。女性誌やサイトで連載多数。著書に『キャリアなどに興味はない。それなりに稼げて、ストレスフリーなら、それがいいのだ! 』(ワニブックス)、『女の人間関係はめんどうなのよ 人付き合いの処方箋』(KADOKAWA)、『結婚は「だから、好き」より「だけど、好き」。』(幻冬舎)など。
ワタナベ薫さん
株式会社WJプロダクツ代表取締役
メンタルコーチ、作家。国内最大級のオンラインサロン運営やコーチング養成スクール運営など。女性たちの悩みを解決すべく人生を謳歌する方法を発信している。自身がプロデュースした手帳『人生が変わる未来手帳』ほか、著書多数。
井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。