「申し送りでは何を伝えたら良いの? 」「どうしたらわかりやすく伝えられる? 」と、申し送りに苦手意識を持っている方も多いでしょう。申し送りでは後任者が業務を引き続き行えるように、必要な情報を具体的に伝えるのがポイントです。
この記事では、申し送りをスムーズに行うためのコツを3つ紹介。看護師が申し送りをする際の例文もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
申し送りとは
申し送りとは、前任者から後任者へ業務の進捗や指示などの情報を伝えることです。伝える内容のことを、「申し送り事項」といいます。
申し送りと引き継ぎの違い
「申し送り」と「引き継ぎ」を同じ意味合いで使う方もいますが、実際には異なります。申し送りは業務を行ううえで「必要な情報を伝えること」です。一方、引き継ぎは「他の人がしていた作業を代わりに行うこと」を指します。
情報を伝える申し送りと作業を代わりに行う引き継ぎは、それぞれ意味合いが異なるので使う際には注意しましょう。
申し送りをする職種や業界
申し送りをするのは、看護師や介護職、警備員、営業職などです。特に日勤者から夜勤者、夜勤者から日勤者というように、シフト制で働く職種・業界において申し送りは欠かせません。
なかでも、看護現場ではシフトの交代時だけでなく、外来や病棟、手術室、検査部門など患者さんを移送するたびに申し送りを行います。
厚生労働省が発表した「総業務時間における各業務時間の占める割合」においても、看護師間の申し送りは、割く時間が4番目に多い業務とされています。看護現場において、申し送りは重要な業務といえるでしょう。
申し送りをスムーズに行うための3つのコツ
ここでは、申し送りをスムーズに行うためのコツを3つ紹介します。申し送りのコツを掴んで、的確かつわかりやすく伝えられるようになりましょう。
1.伝える内容や要点を整理しておく
申し送りをスムーズに行うために、伝える内容や要点を整理しておきます。
たとえば、看護師の場合は勤務中に起きた出来事・患者さんの様子・担当医師からの指示などを、適宜メモをしておくのがおすすめです。メモをする際は、「いつ(when)・どこで(where)・だれが(who)・何を(what)・なぜ(why)・どうした(how)」の5W1Hを意識して書くのがポイント。見返したときに内容を把握しやすいだけでなく、物事を正確に伝えやすくなります。
2.時系列順ではなく項目別に伝える
申し送りでは、時系列順ではなく項目別に伝えるようにしましょう。時系列順で申し送りをすると、聞き手側が情報を整理しづらいうえ、最も伝えたい重要なポイントが上手く伝わらない恐れがあるためです。
たとえば、看護師の場合は「体温・血圧・脈拍・呼吸・食事・排泄・患者や家族からの要望」というように項目を分けると良いでしょう。注意点や確認してほしいことを伝えてからいきさつを説明することで、聞き手も状況を理解しやすくなります。
3.事実と所感は分けて伝える
申し送りのときは、事実と所感を分けて伝えるのが重要です。事実と所感を混同して伝えると、後任者が混乱して業務に支障をきたす恐れがあります。
そのため、「ここからは私の意見ですが」というように一言置いてから、「○○の可能性がある」「○○をしたほうが良い」など、推測や自身の意見を伝えるようにしましょう。
看護師が申し送りで伝えるべき内容と例文
看護現場では、シフトの交代時以外にも申し送りが行われています。看護現場で申し送りが重要視されているのには、以下の理由が挙げられます。
- 起こったことや患者の様子を次の担当者に伝えるため
- 担当医師からの指示を伝えるため
- 安全で確実な検査や処置を行うため
- 患者からの要望に対応するため
- 質の良い看護を提供するため
申し送りで大切なのは、情報を正しく伝えることです。患者さんの様子や医師からの指示、必要な処置を申し送りで確実に伝えることで、後任者が継続して看護を提供できます。
以下では、看護師が申し送りで伝えるべき内容と例文を「入院中の患者の場合」と「新規の入院患者の場合」に分けて紹介します。
入院中の患者の場合
入院中の患者さんの申し送りで伝えるべき内容と例文は、以下のとおりです。
伝えるべき内容
- 患者の容体について
- 治療や処置を行った際の状態や結果
- インフォームドコンセントの内容
- 担当医師からの指示や変更内容
- 尿量、排泄回数、飲水量、点滴残量、食事量について
例文
入院中の患者さんの申し送りを行う場合は、以下のように伝えましょう。
入院中の患者さんの場合は、容体や医師からの指示について詳しく伝えるようにしましょう。
新規の入院患者の場合
新規の入院患者の申し送りで伝えるべき内容と例文は、以下のとおりです。
伝えるべき内容
- 氏名、年齢、性別などの個人情報
- 移送区分(担送、護送、独歩等)
- 現病歴
- 既住歴
- アレルギーの有無
- 検査データ
- インフォームドコンセントの内容
- 担当医師の指示内容
例文
新規の入院患者さんの申し送りを行う場合は、以下のように伝えましょう。
新規の入院患者さんの申し送りを行う場合、まずは患者さんの氏名や年齢、性別、病名、アレルギーの有無などの基本的なデータを伝えましょう。さらに、インフォームドコンセントの内容や治療方針、担当医師からの指示をあわせて伝えます。点滴や服薬などが必要な際は、入院中の患者さんと同じように、時間や数値を詳しく伝えるのがポイントです。
まとめ
看護師はもちろん介護職や営業職、警備員にとって、業務を行うために申し送りは欠かせません。申し送りをする際は、具体的かつ正確な情報をわかりやすく伝えることが大切です。重要事項を適宜メモし、先輩の申し送りを参考にするなどして、スムーズに申し送りができるようになりましょう。
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