103万円の壁? 「扶養内で働く」ってどういうこと?<後編>
損をしないで働くためには?
要注意ゾーンは年収130万円~150万円
扶養内で働くメリットはたくさんありますが、看護師の時給はほかの職種に比べて高いので、扶養を気にせず働いたほうがいいケースもあります。ただし、年収が130万円~150万円のゾーンでは社会保険の負担が大きく、手取り額が年収130万円未満のときより少なくなるかもしれないので注意が必要です。扶養を気にしないで働くなら、年収150万円以上をめざしてがんばるといいかもしれませんね。
年金や社会保険に加入するメリットもある
厚生労働省がWebサイトで公開しているモデルケースによると、月収8万8000 円の人が毎月8000円の保険料を払って厚生年金に1年間加入すると、将来受け取る年金が毎月500円、年間で6000円増えます。年金は生きている間ずっともらえるため、老後に受け取る年金が増えるのはメリットといえます。
また、健康保険には「傷病手当」があり、加入している間にけが・病気・出産で仕事を休んでも、給料の3分の2程度の給付金がもらえます。働けなくなった場合に備えて医療保険に入ることを考えれば、健康保険の保険料はムダではありません。
勤務先の厚生年金や健康保険に加入できそうな人は、検討してみてもいいでしょう。
2016年11月現在、配偶者控除や配偶者特別控除については見直しや廃止の声が挙がっており、社会保険についてはパートで働く人の加入を増やす方向で議論されています。近い将来、「扶養内で働く」制度や考え方が変わる可能性もあるので、今後の動向をチェックしておきましょう。

プロフィール
斉藤 勇
ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士
オフィスISC代表。保険や貯蓄、住宅ローンなど、お金にまつわる疑問や悩みごとの相談に応じている。不動産取引では不動産投資を通じて得た豊富な取引経験をもとに、売り手と買い手、貸し手と借り手、それぞれの立場でアドバイスを実施。趣味はマリンスポーツ。モットーは「常に感謝の気持ちを忘れずに」。


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