• 2022年3月4日
  • 2024年1月12日

公認心理師の合格率は? 国家試験の概要や勉強方法を紹介

 

公認心理師をめざす方へ向けて、公認心理師試験の合格率を紹介します。公認心理師の資格は国家資格ということもあり、簡単なものではありません。

この記事では、公認心理師試験の受験資格や試験内容、勉強方法などをわかりやすく説明しています。公認心理士の将来性についてもまとめているので、公認心理師をめざす方は参考にしてください。

公認心理師とは

公認心理師とは、相談者の心理状態を観察・分析し、助言や指導、援助を行う専門家のことです。

「公認心理師法」では、以下のように定義されています。

「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

1.心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること

2.心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと

3.心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと

4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと

e-Gov法令検索「公認心理師法」

公認心理師は国内初の心理系の国家資格です。2015年9月9日に公認心理師法が成立し、2017年9月15日に同法律が施行。2018年9月に第1回公認心理師試験が実施されました。

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公認心理師試験の合格率【2018~2023年】

2018年実施の第1回から2023年実施の第6回までの公認心理師試験の合格率は、以下のとおりです。

実施年 受験者数 合格者数 合格率
2018年(第1回) 36,103人 28,574人 79.1%
2019年(第2回) 16,949人 7,864人 46.4%
2020年(第3回) 13,629人 7,282人 53.4%
2021年(第4回) 21,055人 12,329人 58.6%
2022年(第5回) 33,296人 16,084人 48.3%
2023年(第6回) 2,020人 1,491人 73.8%

公認心理師試験は国家試験ということもあり、簡単ではありません。過去に第6回まで実施されており、合格率は第1回は約80%と高めでしたが、第2回~第5回は50%前後です。

問題数は約150問で、正答率60%以上で合格です。試験時間は約4時間と長丁場なため、しっかりと勉強・対策をする必要があります。

参照元:
厚生労働省「第1回公認心理師試験(平成30年9月9日実施分)合格発表について」
厚生労働省「第1回公認心理師試験(追加試験)合格発表について」
厚生労働省「第2回公認心理師試験(令和元年8月4日実施)合格発表について」
厚生労働省「第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)合格発表について」
厚生労働省「第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表について」
厚生労働省「第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)合格発表について」
厚生労働省「第6回公認心理師試験(令和5年5月14日実施)合格発表について」

公認心理師試験の概要

ここでは、公認心理師試験を受けるための受験資格および試験内容を紹介します。公認心理師をめざす人は、まずは自身が受験資格を満たしているかを確認しておきましょう。

受験資格

公認心理師試験を受験するには、受験資格の区分A~区分Fのいずれかをクリアする必要があります。区分A~区分Fの対象者は以下のとおりです。

区分A

4年制大学で指定された25科目を履修したのち、大学院で指定された10科目を履修した人

区分B

4年制大学で指定された25科目を履修したのち、指定の施設で2年以上の実務経験を積んだ人

区分C

区分Aや区分Bと同等以上の知識および技能を有すると認定された人

区分D

・公認心理師法が施行される2017年9月15日以前に、大学院で指定された6科目を履修した人
・公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に大学院に入学し、2017年9月15日以降に指定された6科目を履修した人

区分E

公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に4年制大学で指定された12科目を履修済または履修中で、2017年9月15日以降に指定された10科目を履修した人

区分F

公認心理師法が施行される2017年9月15日より前に4年制大学で指定された12科目を履修済または履修中で、その後指定の施設で2年以上の実務経験を積んだ人

なお、5年間の実務経験後に公認心理師現任者講習会を受講することで受験資格が得られる区分Gは、第5回公認心理師試験で終了しています

試験内容

公認心理師試験は全問マークシート形式で、5つまたは4つの選択肢から1つを選択します。

試験範囲は「公認心理師として必要な知識及び技能」とされており、公認心理師としての職責の自覚を問う問題から各分野の心理学、人体の構造と疾病など幅広く出題されます。出題内容の割合はブループリント(公認心理師試験設計表)で確認可能です。

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【2024年第7回】公認心理師試験について

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2024年に行われる第7回公認心理師試験の概要を紹介します。受験をする方はスケジュールを把握して、スムーズに試験日を迎えられるように準備しましょう。

受験申込期間および受験申込方法

受験申込期間は、2023年12月11日(月)から2024年1月9日(火)(消印有効)までです。
受験申込みは、オンライン手続きと郵送手続きの両方が必要です。

オンライン手続き(PC・スマートフォン・タブレット)

オンライン手続きは以下の方法で行います。

  1. 日本心理研修センターのホームページ上の「受験関連書類作成システム」でメールアドレスを登録する
  2. メールアドレス登録後に、WEB受付番号とパスワードが記載されたメールが送られてくるのでログインする
  3. ログイン後は「受験申込書作成」の手順に従って、「顔写真アップロード」→「受験申込情報の入力」→「受験手数料の決済」の順に手続きをする
  4. 手続き完了後、『第7回公認心理師試験 受験申込書』と『受験申込郵送用ラベル』が含まれたPDFデータ一式がダウンロード可能になるため、印刷をする

WEB受付番号は合格後の登録手続きまで必要なので、WEB受付番号とパスワードが記載されたメールは大切に保管しましょう。

郵送手続き

郵送手続きは以下の方法で行います。

  1. オンライン手続きで印刷した『第7回公認心理師試験 受験申込書』と受験申込区分ごとの提出書類を任意の角2封筒に封入する
  2. 『受験申込郵送用ラベル』を角2封筒に貼付のうえ、必ず簡易書留で郵送する

受験申込区分ごとに必要な提出書類は異なるので、漏れがないよう事前に確認しておきましょう。

受験手数料

受験手数料は28,700円(非課税)です。

払込期限は2024年1月9日(火)までで、払込は「受験関連書類作成システム」におけるクレジットカード決済またはコンビニエンスストア決済で行います。

決済後に決済完了メールが送られてきます。
領収証は発行されないので、払込みの証明が必要な場合はコンビニエンスストア決済を選択して、お客様控えを保管しましょう。クレジットカード決済の場合は、利用明細で代用してください。

受験票交付日

2024年2月14日(水)に受験票が交付されます。
日本心理研修センターのホームページ上の「受験関連書類作成システム」より、ダウンロード可能です。郵送されるわけではないので、ご自身でダウンロードしてA4サイズの用紙に印刷しましょう。

試験日・試験地

試験日は2024 年3月3日(日)です。

試験地は東京または大阪府で、申し込み時に希望した試験地で受験します。試験会場は、受験票に記載されているので確認しましょう。

試験範囲と出題割合

公認心理師試験は、公認心理師法第5条に基づき「公認心理師として必要な知識及び技能」について出題されます。そして、公認心理師試験出題基準の各大項目の出題割合を示したものが「ブループリント(公認心理師試験設計表)」です。出題割合は以下のとおりです。

内容 出題割合
1.公認心理師としての職責の自覚 約6%
2.問題解決能力と生涯学習
3.多職種連携・地域連携
4.心理学・臨床心理学の全体像 約3%
5.心理学における研究 約2%
6.心理学に関する実験 約2%
7.知覚及び認知 約2%
8.学習及び言語 約2%
9.感情及び人格 約2%
10.脳・神経の働き 約2%
11.社会及び集団に関する心理学 約2%
12.発達 約5%
13.障害者(児)の心理学 約3%
14.心理状態の観察及び結果の分析 約8%
15.心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助) 約9%
16.健康・医療に関する心理学 約9%
17.福祉に関する心理学 約9%
18. 教育に関する心理学 約9%
19.司法・犯罪に関する心理学 約5%
20.産業・組織に関する心理学 約5%
21.人体の構造と機能及び疾病 約4%
22.精神疾患とその治療 約5%
23.公認心理師に関係する制度 約6%
24.その他(心の健康教育に関する事項等) 約2%

公認心理師試験では、社会変化に伴う国民の心の健康の保持増進に必要な分野を含めた幅広い分野から出題されるほか、頻度や緊急性の高い分野についても優先的に出題されます。

公認心理師試験出題基準は大学および大学院の教育内容すべてを網羅するものではないため、試験を受ける方はブループリントに沿った勉強が必要です。

合格発表

合格発表は、2024年3月29日(金)14時の予定です。
日本心理研修センターのホームページ上の「受験関連書類作成システム」から試験結果通知書等をダウンロードできます。郵送による結果報告はないため、合格発表日以降に自身で確認しましょう。

参照元:日本心理研修センター「公認心理師試験」

公認心理士試験の勉強方法

公認心理士試験の試験資格を得るには、大学や大学院に進学して所定の科目を修了する必要があります。しかし、大学や大学院での授業だけでなく、問題集やブループリントを活用した勉強も必要です。

公認心理士試験の勉強をする際は、過去問を解くのがおすすめです。過去問は出題傾向がわかるうえ、繰り返し解くことで自身の得意・不得意な分野がわかってきます。自分の不得意な分野の対策をすることで、効率的に知識を蓄えられるでしょう。

また、公認心理士試験のための対策アプリもあります。タブレットやスマートフォンで気軽に勉強することができるので、電車・バスの移動中や空き時間に活用すると良いでしょう。

公認心理師の将来性

公認心理師は心理職における国内初の国家資格で、認知度は年々高まっています。

日本では精神疾患を有する患者数が年を追うごとに増えており、2002時点では約258万人だったのが、2017年には約419万人と15年で約161万人も増加。また、日本は先進国の中でも自殺者数が多く、毎年約2万人が命を落としているのが実情です。

メンタルヘルスを必要とする人は多く、近年は企業内カウンセラーとして公認心理師を採用する企業が増えています。公認心理師が行う業務はAIによって代替できないため、活躍が期待される将来性のある仕事といえるでしょう。

参照元:
厚生労働省「精神疾患を有する総患者数の推移」
厚生労働省「令和4年中における自殺の状況」

まとめ

公認心理師は日本初の心理系の国家資格であり、試験は毎年実施されています。合格率は50%前後で、比較的難しい試験といえるでしょう。

第7回公認心理師試験は2023年3月に実施されます。試験を受ける方は問題集や過去問を解くなどして、しっかりと対策しておきましょう。
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