• 2021年3月27日
  • 2023年3月28日

第112回看護師国家試験(2023年)合格発表まるわかりガイド

 

2023年3月24日(金)14時より、厚生労働省のウェブサイトにて、2月12日(日)に実施された「第112回看護師国家試験」の合格発表が行われています。さっそく、気になる合格率やボーダーラインをチェックしていきましょう!

ついに合格発表!第112回看護師国家試験

前回試験と同様、合格発表は厚生労働省ウェブサイト上にて行われます。合格した場合、厚生労働省から合格証書が郵送されてきます。到着したら速やかに免許申請を行ってください。
それでは、合格発表と同時に公表されたデータをチェックしながら、第112回看護師国家試験の結果を振り返っていきましょう!

第112回看護師国家試験 合格率の詳細

>合格者数58,152 人 合格率90.8%(昨年91.3%)
∟新卒者56,276人 合格率95.5%(昨年96.5%)

第112回看護師国家試験は、2023年2月13日(日)に行われ、出願者数64,704人、受験者数64,051人、合格者数58,152人となり、合格率は90.8%(昨年91.3%)。そのうち、新卒者は出願者数59,290人、受験者数58,911人、合格者数56,276人、合格率は 95.5%(昨年96.5%)でした。

看護師国家試験 過去5年の合格率

看護師国家試験 過去5年の合格率推移グラフ

第112回看護師国家試験 合格基準と不適切問題

ボーダーライン(合格基準点)は、(1)必修問題(1問1点:50点満点)、(2)一般問題(1問1点)および状況設定問題(1問2点)計249点満点において、(1)40点以上、(2)152点以上となりました。

(1)必修問題が40点以上/50点
(2)一般問題・状況設定問題が152点以上/249点

看護師国家試験「一般問題+状況設定問題」得点率推移

第112回看護師国家試験 採点除外等問題の対象は2問

・午前の問題
∟なし

・午後の問題
∟[35][95]

「択一式でありながら正答が複数ある」「難易度が高すぎる」「状況設定が不十分で正解が得られない」といったものは「不適切問題」とされます。不適切とされた理由に応じて、すべての受験生について採点除外とする、正解者のみ採点対象(不正解者は採点除外)とする、複数の選択肢を正答として扱うといった対応が取られます。厚生労働省の発表によると、第112回看護師国家試験で採点除外等の対象となったのは2問でした。

第112回看護師国家試験(2023年)の振り返り

第112回看護師国家試験は例年と比較して難しかったのでしょうか?難易度や出題傾向、来年度の第113回看護師国家試験に向けた対策について、大阪医専の関谷浩一先生、名古屋医専の村上信子先生が解説します。

第112回看護師国家試験では、昨年までに比べて臨床を想定した問題が頻出していました。コロナ禍において臨床での実習の経験が少なく、対象の置かれている状態がイメージしづらい傾向にあったからだと思われます。日本看護協会の看護基礎教育検討会での報告書にも「臨床判断能力の強化が必要」とあり、国家試験でも問われることにつながっていると推測します。
また、過去問からの改編問題については、過去問を解いた知識で解ける問題もありましたが、設問文が長くかつ問い方がひねられていたために、いままでの知識に加えてより深く学習しておかないと解けない問題もありました。

そして、必修問題のなかにも難易度が高い問題もあり、一般問題では法律や薬や検査に関する問題でそれぞれ難易度が増していた印象です。状況設定問題においては、母性看護学にて一部助産師レベルの内容が問われる問題もありました。さらに新出題基準からの問題や初出題の問題もあり、試験問題を目にした学生は動揺や難易度の高さを感じたのではないでしょうか。
過去問に加え、模擬問題にも十分に知識を深めなければ解けない問題もあることから、問題を解くだけではなく、テキストまで戻り臨床判断能力を働かせてより深く学習することが今後はさらに必要になるといえます。
  
学校法人日本教育財団 大阪医専     
実践看護学科
関谷浩一先生
※主な職歴:医療法人社団 更生会 草津病院
※保有資格:看護師

第112回看護師国家試験からは新出題基準となり、必修問題を含め全体的に思考を追究する問題が増加したことから難易度が上がりました。合格予想を出している各予備校なども、昨年と比べ平均点が15点下がっていることを公表しています。
今年度の試験の動向として注目すべき点としては、単に過去問や参考書だけの知識にとどまらず、看護実践から学ぶ知識についての問題が多く出題されていました。たとえば血液透析の半透膜の原理を理解して解く問題や、意識レベルをGCSで答えたり、糖尿病患者の事例から必要な栄養量を答えたりする問題などです。また、新たに設定された地域在宅看護論の分野では、災害時や臨死期の支援、使える社会資源や多職種の連携など幅広く、法律に関する問題も11問と増加していることを合わせて対象の状況と関連づけた学習の重要性が増しています。

以上より、今後も臨地実習が制約される状況であっても、可能な限り事例等を活用してさまざまな状況を設定し、多職種連携や社会資源の活用を含む学習をできるだけ早期から講義に取り入れることが大切となります。さらに、過去問を活用する際には解説書にとどまらず、しっかりと教科書に戻り理解していくことが合格につながる道と考えます。

学校法人日本教育財団 名古屋医専
高度看護学科
村上信子先生
※主な職歴:偕行会名古屋共立病院・厚生連海南病院(救急夜勤専従)
※保有資格:看護師


■専門学校 大阪医専
専門学校 大阪医専(大阪府)は、梅田駅前徒歩9分(地下歩道経由)の救急・看護・歯科・リハビリ・スポーツ・東洋医療・福祉分野まで学べる専門学校。多彩な学科がある環境で、チーム医療に対応するエキスパートを育成します。資格取得・就職においては、学校独自の保証制度『国家資格 合格保証制度』『完全就職保証制度』のもと、一人ひとりに合わせ、徹底してバックアップします。
https://www.iko.ac.jp/osaka

■専門学校 名古屋医専
専門学校 名古屋医専(愛知県)は、名古屋駅前、徒歩3分。(地下歩道経由)の救急・看護・歯科・リハビリ・スポーツ・東洋医療・福祉分野まで学べる専門学校。多彩な学科がある環境で、チーム医療に対応するエキスパートを育成します。資格取得・就職においては、学校独自の保証制度『国家資格 合格保証制度』『完全就職保証制度』のもと、一人ひとりに合わせ、徹底してバックアップします。
https://www.iko.ac.jp/nagoya


これから看護師として働く皆さんへ

ところで、2022年4月に女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が改正されたことをご存じでしょうか。遅ればせながら、仕事で活躍したいすべての女性が能力や個性を十分に生かしながら働ける社会の実現のため、女性に対する「採用、昇進等の機会の積極的な提供」「仕事と家庭の両立」などがめざされています

もちろん、看護の世界は女性活躍が最も進んだ業界の一つですが、だからこそ世の中の働く女性すべてのロールモデルになれるよう、いきいきと光輝く職業生活を送っていただきたいもの。それには雇用する側のさらなる努力も必要ですが、働く側一人ひとりの意識の持ちようによっても実現に近づけるはずです。

この点、日本看護協会は「女性の社会進出・活躍が注目されている昨今の社会状況に鑑み、女性の労働の在り方に先駆的に取り組んできた経験と実績を生かし、日本全体の女性の労働の在り方について社会に発信、けん引する活動に取り組む。このことは、看護職が働き続けられる環境を整備するための理解を広く国民から得る機会にもなる」(看護の将来ビジョン)と宣言しています。

仮に、皆さんが今後、より光輝ける職場を求めて転職を考えるときがあれば、マイナビ看護師がお役に立てます。看護師のキャリアに関する悩みを解決できるように、専任のアドバイザーがサポートさせていただきます。個別の無料キャリア相談会も行っているので、気になることや不安なことなど、何でもお気軽にご相談ください。

参照:厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表について」

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