【識者の眼】「コロナ陽性者の経過観察にオンライン診療を」黒木春郎

ナースぷらす 編集部からのコメント

今回の日本医事新報【識者の眼】では、欧米では新型コロナウイルス感染症治療の第一選択は「telemedicine」であるにも関わらず、日本ではなぜ、コロナ禍に直面しつつもオンライン診療が選択されないのか?の問題について、黒木春郎氏(外房こどもクリニック理事長、日本遠隔医療学会オンライン診療分科会会長)が意見を述べています。

その大きな理由の一つは、実際に新型コロナ診療を担う指定病院、協力病院などの公立病院や大学病院等の外来診療で、これまでオンライン診療が導入されなかったことにあるようです。ぜひ、お読みください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病床が逼迫し、自宅待機者が増えている。待機中の残念なニュースが後を絶たない。

欧米ではCOVID-19治療の第一選択はtelemedicineである。感染症に非対面での診療を取り入れることの有益は論を俟たない。

では、なぜ、日本ではコロナ禍に直面しながらオンライン診療が選択されないのか? それは、誠に残念ながら、日本の各地にオンライン診療のインフラがないからである。

インフラとは、設備の面だけではなく(オンライン診療に必要な設備はごくわずかなものである)、「オンライン診療を知っている」「見たことがある」「したことがある」医師がどれだけ存在するか、という周知の面でのインフラである。それが、この期に及んでも「ない」のである

その理由は幾つかあるが、中でも大きな理由と考えられるのは、実際にCOVID-19診療を担っている指定病院、協力病院などの公立病院や大学病院等の外来診療で、これまでオンライン診療が導入されなかったことだ。

現在、外来でオンライン診療を実施している保険医療機関はほぼ100%開業医である。

保険点数が低くても患者志向の診療形態であるから取り入れようと個人で意思決定できるところは、導入する。採算性を計算し、組織としての決定が行われるところでは、オンライン診療は採用されない。保険診療においてオンライン診療は、やるほどに減収してしまうからである。

そうなると、実際にCOVID-19治療に携わる医師はオンライン診療を知らず、保健所も、その地域でどれだけオンライン診療ができる開業施設があるかを調査する余裕がない、という現状が生まれているのである。

私の地域(千葉県いすみ市)でも陽性者が入院する病床は無くなりつつある。保健所に対して、オンライン診療の有益性を提案したところ、自宅待機者の経過をオンライン診療で診てほしいと依頼されるようになった。

地域でオンライン診療を取り入れている開業の先生と協力して、保健所の依頼に応えつつ、オンラインでCOVID-19患者を治療し、その例を蓄積している。

治療として奏功した事例を重ね、コロナ禍にオンライン診療という提案をぜひ世の中に「知って」もらいたいと考えている。

黒木春郎(外房こどもクリニック理事長、日本遠隔医療学会オンライン診療分科会会長)[新型コロナウイルス感染症][オンライン診療 ]

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