電子処方箋システム、運用・保守費は年9.8億円~厚労省試算

ナースぷらす 編集部からのコメント

1月13日、厚労省は来夏にも運用が始まる電子処方箋システムについて、全ての機能が稼働する翌年度以降の運用・保守費が年間で9.8億円になるとの試算結果を、社会保障審議会・医療保険部会に提示しました。

電子処方箋システムは、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が主体となって運営する仕組みで、医療機関はオンライン資格確認の基盤を活用したサーバーに電子処方箋を登録するもの。

被保険者への適切な薬学的管理が可能となり、患者は紙の処方箋を薬局に持参する必要がなくなるメリットもあります。厚労省からは全ての被保険者が運用・保守費用を公平に負担する仕組みとする提案が出されています。

厚生労働省は13日、2022年の夏ごろに運用が始まる電子処方箋システムについて、全ての機能が稼働する翌年度以降の運用・保守費が年間で9.8億円になるとの試算結果を、社会保障審議会・医療保険部会に示した。

また、健康保険に加入する全ての被保険者にこの費用を負担してもらうことを提案したが、この新たな仕組みによって医療費の削減がどれくらい見込めるかの概算を出すよう求める声や、公費での負担を検討すべきだといった意見が出た。【松村秀士】

<医療保険部会の様子(13日、東京都内)>

電子処方箋システムは、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が主体となって運営する仕組みで、医療機関はオンライン資格確認の基盤を活用したサーバーに電子処方箋を登録する。

一方、薬局は患者の本人確認を行った上でその患者の電子処方箋をサーバーから取得するとともに、調剤情報をサーバーへ登録。

これらにより、電子処方箋を活用して処方や調剤の情報を他の医療機関や薬局で閲覧できるようにする。

その運用によって、処方内容の電子化により医療機関や薬局間の迅速な情報伝達が可能となるほか、電子化された処方情報をリアルタイムで共有することで、薬の飲み合わせの確認や重複投薬の防止、ポリファーマシーの回避など、被保険者への適切な薬学的管理が可能となる。

患者にとっては、紙の処方箋を薬局に持参する必要がなくなるメリットもある。

こうした効果などを踏まえ、厚労省は13日の同部会で、電子処方箋システムは単に処方・調剤事務の効率化にとどまらず、医療保険制度の運営基盤の1つとして被保険者全体が利益を受けるものだと説明。

その上で、全ての被保険者が運用・保守費用を公平に負担する仕組みとすることを提案した。同省によると、健康保険の加入者1人当たりの負担額は月約0.65円。

議論では、費用負担に関する厚労省案に対し、委員からさまざまな意見が出た。

佐野雅宏・健康保険組合連合会副会長は、「被保険者に負担を求めるのなら、それに見合うメリットが明らかであることが前提だ」と指摘。

また、電子処方箋システムがある程度普及するまでは公的な財政支援を含めて検討すべきだと主張した。

石上千博・連合副事務局長も、電子処方箋の仕組みによって、処方や調剤での効率化や重複投薬の防止などで医療機関や薬局、被保険者、保険者がそれぞれメリットを享受するとされているのに、被保険者だけが費用負担するという厚労省案には納得できないと強調。

負担する主体が決まらないなら、公費による負担も検討する必要があるとした。

このほか、「仕組みの導入によって重複投薬がどのくらい削減され、どのくらいの医療費の削減につながるのかという視点も大変大事。どういうことが起こりうるかの概算を示してほしい」といった要望や、「厚労省で総合的な全体像を示していただき、それを踏まえて費用負担の在り方を議論するのが本来の姿だ」といった意見も出た。

同部会では、費用負担の在り方について引き続き議論する。

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